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※ 君と僕との出会いのキセキ 第三十二話~ 夏と海と水着と…… ~ ※

小説のWeb投稿が趣味の霧島祐也きりしまゆうや。彼は文月玲央奈ふづきれおなと出会い、人生の大きな転換期を迎えた。 高校二年生になり、裕也のダイエットも架橋を迎えた。そして、目標体重に達祐也したをねぎらう為? 玲央奈は祐也を海に誘ったのだった。

※ 君と僕との出会いのキセキ ~ 夏と海と水着と…… ~ ※



「でさ、これどういうこと? 」


玲央奈は眉間に青筋を立てながら僕に尋ねてきた。うん、ものすごい不機嫌だね。怖くて何も言えないよ。

 季節は夏真っ盛り、ここ最近僕はダイエット漬になっていた。目標体重60キロに向けてのダイエットだ。兄貴の助言もあり、色々と苦労しながらも目標を達成させた。それが丁度夏休みが始まる直前だった。目標達成を報告すると、玲央奈は当然のことのようにご苦労様の一言もなく、勝手に夏休みの予定を組まされたのだ。それがいわゆる海水浴のお誘いだった。

 まぁ確かに、玲央奈が不機嫌になるのは良く分かる。だけどさ、たまには愚痴言いたくなるじゃん……。という経緯からうっかりアルバイト先の先輩である早坂莉奈はやさかりなさんに話してしまったというのが今回の失敗(?)になるらしい。莉奈さんから話が派生して、ハイキングに参加した全員がここに再集結したという運びになるのだ。完全に自分に非があるため黙っていると、この僕を代弁してくれる素敵な人物が現れた。


「まぁまぁそういうなって玲央奈。コイツだって悪気があってこんなことになったわけじゃないんだからよ」

「……悪気がないからさらに始末に負えないのよ」


珍しくため息を付くように玲央奈が答えた。苦笑いをしつつ玲央奈が折れたことを僕に報告してくれた。彼は僕の兄貴、霧島隼人きりしまはやと。僕と違って背が高くて人あたりが良い。今大学生だけど、この性格と抜群のスタイルを使い、イタリアでモデルをしていた経験を持っている。色んな意味で僕は全く歯が立たない。兄貴が太陽なら僕は月の様な感じがかもしれない。


「だってよ。玲央奈許してくれるってさ」



「許すわけ無いでしょ! 」


隼人が軽口を言うものだから玲央奈がムキになったよ。そんな大きな声で言うもんだから……僕は改めて後ろを振り返る。ここは玲央奈とよく待ち合わせをする繁華街の駅前噴水広場だ。本当にここでは色んな事があったなと思う。


「祐也っち何たそがれてんの? 」

「遠くを見つめる祐也さん……何かステキ……」

「何噴水見つめて遠い目してんの? バカじゃないの? 」


「ハハ……こりゃ手厳しいな……」


僕がちょっとよそ見をしてるだけで何でこんなに突っ込まれるんだろう……。黎苑れおんさんだけは僕の事を同情してくれた。この優しさが身にしみるよ。


 さて、話を戻そうかな。僕たちは今、玲央奈達と待ち合わせで繁華街の駅前噴水広場にいる。玲央奈の家の最寄駅になる。そこで待ち合わせるため、僕が噴水の前に行くと、既に莉奈さんと悠舞ゆまちゃんがいた。そして、慌てる僕を尻目に莉奈さんが話を続けていく……すると、玲子れいこと兄貴が来て、僕が更に慌てているとぶすっとした玲央奈と共に黎苑さんが来たのだ。そして彼女の「でさ、これどういうこと? 」というきつい一言が始まったのだ。


「……ま、まぁ……来ちゃったのは仕方ないからさ……い、いいでしょ? 」


怯えながら僕は尋ねる。するとジト目のままの玲央奈はため息を着くと仕方ないという表情をした。その後も僕をジト目で見つめながらも何とか承諾してくれた。……彼女にしては珍しく素直だったのが気になるけど、承諾してくれたのなら結果オーライ。


「……次はないよ……」


ん? な、何かものすごい怖いセリフが聞こえた気がするけど、聞こえなかったことにしよう……

 今回は少し遠出をして海に向かった。大きな砂浜がある有名な場所らしいけど、僕はそもそも泳ぎは得意じゃないからあまり海行かないんだよね。どういうところか良く分からないや。と思っていると、段々目的地に近づいてきたようで、海が見えてきた。ん~海って思ったより澱んでるんだなぁ~。


「あー海が見えてきたね」


莉奈さんがニコニコしながら言う。悠舞ちゃんもニコニコしている。玲子は真面目な顔をして海を見つめている。玲央奈は……不機嫌そうに海を見た。

 一方、僕は……兄貴達と海とは反対の山側を見ていた。……だってあっち側怖いんだもん。大貧民をしているらしく本当のセレブの玲央奈が大貧民という不名誉を負っているのだ。貧民になっている玲子。莉奈さん、悠舞ちゃんは大富豪と富豪だ。何かはじめのカード交換で莉奈さんにものすごい優越感に浸った顔で要求され、屈辱にまみれた玲央奈がブスッとしながらカードを出している姿がとても印象的だったけど、僕が見つめるとものすごい形相で睨まれるから山側を見るしかなかった。玲子は悠舞ちゃんの申し訳なさそうな顔を見ながら無表情でカードを交換していた。……妙な温度感あるよねぇ。

 それからしばらくして、というか片道二時間なんだけど(すごく長くない? )目的地についた。太陽はとても暑く、すぐに熱射病になりそうな勢いだ。女性陣は先に着替えるために個室に向かった。僕たちは場所取りをしてから着替える。兄貴はパラソルと敷物をさっと広げると、すぐに服を脱ぎだした。あ、そっか。僕たちは既に海パンを履いたままだからそのまま脱げばいいんだよね。

兄貴達がすでに準備できていたので、慌てて僕も着替える。あれ、思ったより服が脱げないぞ。

足場が砂地のため、ちょっと着替えにくいや。もたもたしていると、太陽の熱視線とは別に変な視線を感じる。振り返ると、着替え終えた女性陣が何故か僕を注視していた。……皆目を向いて見つめている。超怖いんだけど……


「な、何見てるんだよ! 」


恥ずかしくなった僕は脱ぎかけの服をまた装着して体を隠す。顔がものすごく熱い。これは太陽の熱さじゃないと断言できる。体を隠すように彼女たちを睨むと皆は” チッ ”と舌打ちをし、海に向かったのだった。え……何なの一体?


「祐也大人気だな……」


隼人は若干呆れつつも僕を半笑いで見つめていた。いや、違うだろ。僕が裸になるのが何でそんなに注目されるような内容なんだよ! 僕は服を脱がずに上半身はシャツをつけたまましばらくパラソルの下で佇んでいた。


「祐也っち~海入らないの? 」

「……いい。体が熱い……」

「何言ってんのよ! 海に入らないから暑いんじゃないの? バカじゃないの? 」

「バカでいいから放っといてくれよ……ウワッちょっと何すんだよ! 」


莉奈さんと玲子の言葉に適当に答えると二人は僕の両腕を掴んだ。そして、いつから居たのかわからない悠舞ちゃんと玲央奈が僕の両足を掴むと僕を運び出した。チョッ! 女の子に担がれる僕って……やだっ……恥ずかしいっ! って僕は何を言ってるんだ!

 混乱しながらも僕は両手と両足をバタバタさせようとするが、我が女性陣は皆力が半端なかった。どこでそんな体力を持ってるんだよ……慌てていると僕の体が宙を仰いだ。無重力になった僕は訳が分からずそのまま身を任せてしまう。そして、入水したのだった。



「グエェ~気持ち悪い……」

「大丈夫か? 」


しばらく僕は気を失っていた。そして意識を戻した時には途方もない嘔吐感に苛まれた。そう、僕は溺れていたようだ。僕が気がついたのを確認した女性陣達は謝ってきた。


「祐也っち……ごめんなさい」

「祐也さんごめんなさい」

「祐也……アンタ泳げないなら先に言いなさいよ! 」

「ちょっと調子に乗りすぎちゃったね。次はゆっくり入ろ」


莉奈さんと悠舞ちゃんの謝罪が聞こえる。ん? 後半は全然謝罪がないんだが……まぁいいか。どうせ彼女たちは素直じゃないんだし……


「玲央奈さんそんな甘ったれたこと言ってたらいけませんよ! アイツは甘やかしたらつけあがるんだから! 」


……一人反省してない奴がいた。


そんなこんなで波乱はあったものの、僕たちは浜茶屋で焼きそばを食べたり、かき氷やアイスを食べたり、ビーチバレーなどを楽しんだ。バレーはほとんど隼人と黎苑さんの独壇場だった。僕全く役に立たないじゃん!


「ちょっと……手加減してよ」


これはビーチバレーじゃない……ビーチという名のドッヂボールじゃん! 兄貴達コントロール良すぎ! 全部僕にヒットしてるじゃん!


「だって……なぁ」

「女の子に攻撃なんてできねーじゃん」



「いやいや! これバレーだよ! 僕に当てる必要ないじゃん! 」


兄貴達は女の子に……とか言ってるけど完全に僕を狙っている。確信犯だ。打ちのめされていると玲央奈が珍しく優しく手を出した。


「ほら、立ちなさいよ。だらしないんだから……」

「あ、ありがとう」


僕が彼女の差し出した手を握る。立ち上がって彼女を見つめると、玲央奈は暑さのせいだろうか、頬が赤かったきがする。思い切って僕は誘ってみた。


「ちょっとバレー疲れたから海に入ろうか」

「え? あ、うん……行こうか」


無意識に僕はシャツを脱いで上半身裸になって玲央奈の前にいた。玲央奈は顔を赤くして僕の上半身を見ている。その視線で何故か僕は恥ずかしくなる。

恥ずかしさを堪えて僕と玲央奈は海に入った。太陽の炎天下では体が焼けるように暑いけど、海に入ると本当にひんやりとして気持ちいい。浮き輪に乗って漂うようにボーッと出来た。


「あれ? アンタちゃんと泳げるんだ」

「あ、うん。さっきのは驚いて溺れたんだよ」


僕の言葉に玲央奈はちょっとバツが悪くなったのだろうか視線を空した。


「あ、さっきの……ゴメンネ。本当に調子に乗りすぎちゃった」

「ううん。いいよ。気にしてない」


「…………」


玲央奈は無言になった。でも居心地の悪い無言じゃなかった。僕たちは海の流れに漂いながら浮いていた。無限の時間を感じる。喧騒もなく静かな時間。でも、僕たちの手はしっかりと繋がれていた。


「そろそろ戻ろうか」


玲央奈は気がついたようにそう言った。時計を見ると結構漂っていたようだ。僕たちは手を繋ぎながら帰る。一方あちらではビーチバレーがヒートアップしており、ものすごい数のギャラリーがいた。

丁度決着がついたみたいで、なんと隼人、黎苑さんペアがガテン系のガチムチ漢のいるムキムキマンチームに勝った所だった。


「う、クソッ強すぎる」

「ハハッ! 久しぶりに強敵に会えて満足したぞ」


隼人、黎苑さんチームとムキムキマンチームの二人はがっちりと握手をしていた。イケメンチームとガテンチームの握手の姿。その姿はまるで腐った人が見たら題材にしてしまいそうなぐらい絵になる姿だった。


「……ハッ! 祐也っち……! アンタ何で祐也っちと手を繋いでいるのよ! 」


…………莉奈さん……よだれ出てるよ。


「莉奈さん……よだれ出てますわよ」


さりげなく僕から手を離した玲央奈はしれっと莉奈さんに指摘した。莉奈さんは慌ててよだれを拭くと噛み付くが、玲央奈によだれの訳を聞かれると劣勢になっている。気になるけど、この内容は聞かない方がいいと僕の本能が訴えていた。

 ビーチバレーで浜が賑わい、伝説のイケメンチームとして兄貴達が君臨したのは言うまでもない。おかげでこの界隈が人気のパワースポットとなったようだ。


 その後、太陽も沈みだし、空がオレンジ色に光りだした。僕たちは帰る準備を始める。そんな時、玲子が頬を膨らませながら僕に話しかけてきた。


「…………玲央奈さんと二人で楽しかった? 」


予想外の言葉に驚いた。でもできるだけ表情を隠して「まぁな」と答えると軽くチョップが僕の頭に投下される。イテェ!


「……バカ……そういう事は冗談でも言わないでよ」


じゃあ聞くなよと言いたいところだが、あえて黙っておく。すると、玲子はモジモジしながらも質問する。


「玲央奈さん綺麗だったね。本当に、スタイル良くてさ。ビキニとかすごい似合うもんね……ね、ねぇ、わ……私は、どう……かな? 」


さりげなくグラビアモデルのようなポーズをして水着姿を見せる。正直海に来た時点でするべき所をこんな夕方に見せる時点でこの子はどこかネジが抜けているんだろう。冷めた目付きで僕が見ていると恥ずかしくなったらしい。


「チョ、チョット! 少しは何らかの反応をしてよ恥ずかしいじゃない! 」


今度は容赦なしのチョップが脳天に投下される。超イテェ!! 若干呆れながらも玲子を見る。やっぱりモデルの端くれなだけに可愛い。燃えるような赤のセパレート水着と彼女の独特な赤毛がこの夕日に映えていた。良く見るとひよこの玲子も立派な女の子になった。それが実感される。僕は自然に玲子の頭に手を乗せ撫でた。


「可愛いよ。玲子」


「…………」


アレ? 言葉の選択間違えたかな……いつも黄色い嘴を尖らせる玲子が黙って俯いている。僕のナデナデも手を振り払わなかった。異様な空間だ……僕はこの雰囲気に耐え切れず手を離す。その時一瞬玲子の顔が見えたけど――


” すごく嬉しそうで、幸せそうな表情をしていた。僕の初めて見る玲子の表情だった ”


その時、玲子は本当に可愛くなったなと実感したのだった。その時、軽くチョップが僕の脳天を直撃した。イテェ! 振り返ると玲央奈だった。不機嫌そうな顔をしていたものの、時節玲子に見せる表情はとても優しかったのが印象的だった。


 また二時間僕たちは電車に揺られ、家に帰った。疲れて風呂に入るとバッタリとベッドに横たわる。目を閉じると彼女たちの水着姿が眼に浮かぶ。やはり玲央奈は綺麗だ。莉奈さんは赤のセパレート水着で子供っぽい体つきなのになんだか大人っぽかった。一方悠舞ちゃんは全体的にピンクのワンピでパレオをつけて可愛かったな。


……今日は疲れた。あ、今日の分の小説……


と思いながらも僕は眠りについてしまった。そして、次の日、締切に追われた僕は寝不足になりながらも根性で小説を仕上げたのだった。



夏と海と水着と……END



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