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※ 君と僕との出会いのキセキ 第二十五話 ~ ひよこのレイコ ~ ※

霧島祐也きりしまゆうや趣味は小説のWEB投稿。レオさんこと文月玲央奈ふづきれおなと出会い、彼の人生は変わった。最近徐々に小説を書く時間が減っていることを危惧している。土曜日にバイト、そして今週の日曜日には従兄妹の藤島玲子ふじしまれいこと付き合わなければならなくなった。


” 祐也の気は焦るっ! ”

※ 君と僕との出会いのキセキ ~ ひよこのレイコ ~ ※



「ブゥ~お兄ちゃんまたあたしを笑ってる! 」

「あはは。そんなことないって」

「あ~また笑った! 」


少女はそう言うと顔を真っ赤にしてジダンダを踏んだ。でも、僕が歩き出すと、彼女もついてくる。その姿がとてもひよこに似ていた。どこに行っても顔を赤くしながらもついてくる。その姿はとても――


” とても可愛かった ”


「……あ、夢か……」


僕はベッドから飛び起きた。まさか、僕はアイツのことを可愛いと思っていたのか……若干ショックを受けながらも僕は起きた。そう、今日は日曜日、半ば兄貴から強制的に玲子と出かけて来いと言われている。土曜日はファミレスのバイトに出かけた。ん~何かここ最近忙しい気がする。

手早く準備をして、外に行こうとする。その時、隼人はやとと遭遇した。


「おっと」「あ、ごめん」


ぼくたちはぶつかりそうになり、お互い声を上げた。隼人は声を上げたあと、しばらく僕をマジマジと見つめて口笛を吹いた。


「ヒューッ。お前結構高い服持ってるんだな。全く気がつかなかった。それ” バッロ・ディ・アンジェリ ”のだろ? 」

「え? 兄貴知ってるの? 」


僕は驚いた。兄貴やっぱりファッション系とか得意なのかなと思っていると得意そうに話した。


「まぁ、そりゃな。俺、イタリアでこのブランドの服着てモデルしてたんだからよ」

「え? マジで!? 」


兄貴の予想外の言葉に僕は驚いた。兄貴がモデルの仕事をしていたとか、しかも本場イタリアで。スケールが違いすぎるよ。


「ま、色々あってなー。黎苑れおんの誘いもあってね。それで一年イタリアに留学してたんだよ。んで、資金がないから叔父さん頼って出してもらってたんだ。んで、そのお金返そうとしたら叔父さんが……な」

「そっか……そういう事なんだ」

「うん」


僕たちは視線を下に落とした。多分僕たちの頭には同じ姿が想像される。そう玲子だ。僕たちは叔父さんから返しきれないほどの恩を受けた。とても優しい叔父さんだった。その叔父さんが愛した一人娘、彼女の存在。


「……すまんな。これから出掛けるってのにこんなこと話して」

「いや、兄貴のこと全く知らなかったから嬉しいよ。また色々教えてよ。イタリアの生活とかさ」


僕の言葉に隼人は驚いた。そりゃそうだろう。今まで他人との関わりを極力避けていた僕。周りのことなんてお構いなしにいた僕が、自ら相手に接触しようとする。今までの僕を知っていたら皆一様に驚くかもしれない。


「ああ、分かったよ。祐也、ありがとな」


隼人はそう言うと、自分も出かけるからと言い残して、自室に戻っていった。隼人の後ろ姿を見て思った。やっぱり僕は変わった。今まで興味がなかった外界に自ら接触しようとしている。全ては、そう……玲央奈のおかげ……かな。

 そろそろ時間になりそうなので、慌てて僕は最寄りの駅に行って、電車に乗る。そして、学校の駅の次の駅についた。相変わらず繁華街らしく、噴水の前では沢山の男女がソワソワしながら待合いをしている。僕もその一人だ。そして、少し早いかなと思いつつ辺りを見回すと――


” あの玲子も何故かソワソワしつつ僕を待っているようだった ”


ハハッ! アイツ普段強気に話してるはずだが、頻繁に時計を見て不安そうにキョロキョロしてる。その姿がとても……クププッ

ほくそ笑んでいると玲子は僕の姿に気がついた。はじめ嬉しそうに 僕を見つめていると、僕が笑っているのに気がついて、段々と顔色が変わっていった。


「アーッ! 笑っているな! 気がついたら早く呼びなさいよ! 」


玲子は指を指して怒鳴ると、そのまま大股開きでドスドスと歩いてきた。完全に顔が真っ赤だった。まるで大魔神の様相だ。周りのみんなも恐れおののいて見てる。そして、僕の腕を掴むと引き寄せ、そのまま腕を組む状態で引きずり出した。


「チョッ、チョット……」

「うるさい! 」


玲子はそう言うと、顔を真っ赤にしたまま噴水前を後にした。


「う~んこれでいいかなぁ~」


玲子は早速最寄りの服屋に行くと、僕の目の前で、一人ファッションショーを始めた。ん~暇だ。かれこれ三十分ぐらい悩んでは着せ替えをして、僕の前で見せつけてくる。あ~可愛い可愛い……


「ど、どう? この感じ! 」

「ファ~……いいんじゃない? 可愛い可愛い……」


「!! 」


ずっと立ちぼうけで僕は思考が停止していた。あくびをして、死んだ魚の目で適当に反応しつつ、軽く拍手をしながらそんなセリフを言った。すると、玲子は信じられないという表情をしてまた顔を赤くした。


「ちゃんと見なさいよバカ! 」


そう言うと、フルスイングで僕の頬を張っ叩いた。” スパアアァァン! ”と平手打ちの音がフロアに響いた。周りの店員達も驚いて僕を見ている。そう、僕の頬にはとても形のいいもみじ腫れが出来ていた。


「……行くわよ」


そう言うと玲子は、また僕を引きずって、店員達が心配そうに見る中、店を立ち去った。いやぁ、あの張り手で、僕の心ここにあらずの意識が、本当に現世で亡くなりそうになったよ。

 しばらく歩くと、玲子はとある雑居ビルの一角に立ち止まった。ここに何があるんだろう。そう思っていると、玲子はサッサと中に入っていく、当然僕の腕も掴んだままだ。


「ど、どこ行くの? 」

「うるさい。黙りなさい」


玲子はそう言うと階段を上っていく。すると、どこかのタレント事務所だろう。華やかな女の子のポスターがちらほら見えてきた。その中に、玲子がいた。玲子が水着姿でニッコリとウインクしてピースサインをしつつポーズをとっているという内容だった。思わず立ち止まって見ると、玲子は食いついたか。とも言わんばかりに話しかけて来た。


「私さ、モデルやってんだ」

「へぇ……そうなんだ」

「……思ったより反応薄いな……」


玲子は勝ち誇った顔から、一気に残念そうな表情に変わった。確かに玲子がモデルしてたのは驚いたけど、今朝隼人がイタリアでモデルしてたって話してたからなぁ。何か、無意識に比較しちゃったんだよね……


「と、とにかく事務所に来なさいよ」


若干焦り気味の玲子は、僕を無理やり自分の所属事務所に入れる。すると、事務所にいた社長さんと思われる女性の人が僕を見ると、嬉しそうに事務所の応接室に連れて行った。しばらく応接室で待機していると、玲子は大きな写真の入った冊子を持ってきて見せてきた。社長もニコニコしながら見つめている。何なんだ……


「ど、どう? 」

「うん、可愛いね」

「……それだけ? 」


僕は頷く。玲子は目が点になっている。その顔がとてもひよこ見たいで可愛い。うん、ひよこは可愛いよねっ。


「はぁ……今までの私は何だったんだろう。無駄だったのかな……」


そう言うと玲子は燃え尽きたように真っ白になった。社長も悲しそうな目で僕と玲子を交互に見ていた。社長さんは何か事情でも知ってるのかな。そう思ったけど、あえて聞くことはしなかった。


 事務所を後にして、僕たちは帰りの途に着く。玲子は青い顔のまま、僕のあとについて行く。まるで調子の悪いひよこが付いてくるような頼り無さだった。チョット罪悪感があった僕はほぼ常連となりつつある喫茶キャッツアイに行った。僕はコーヒーとケーキ、玲子はコーヒーとパフェだった。ん~僕の知る女性陣は皆パフェが好きだな……無表情のまま絶え間なく食べ続けている。そして全部食べ終えると視線を落として外を見つめていた。


” 頬にパフェのクリーム付いてる…… ”


気になった僕は玲子の頬についたクリームを拭ってやる。すると玲子は顔を真っ赤にして怒った。


「な、何すんのよ! 」

「あ、いや。頬にクリームついてたからさ……」

「なら言いなさいよ! 」


そう言うと玲子は癇癪を起こして、僕の言うことを全く聞く耳持たなくなった。仕方なく喫茶店を後にして、駅に行く。相変わらず玲子は僕の後ろを付いてきた。でもさっきのような青い顔じゃなくて赤い顔。プンプンしながらついてくる。それが、今朝見た夢とソックリだった。噴水の前についた時、僕は振り返った。すると、夢の時と同じようにプンプンしながらも玲子は、一定の距離で立ち止まった。そして僕を睨みつけている。その姿を見て思わず微笑む。


「な、何がおかしいのよ! 」

「あ、いやチョットな……」


” 相変わらずお前可愛いな ”


僕はひよこのレイコはいつもこんなんだったと思いつつ、そう言った。すると玲子は口をパクパクしながら信じられないぐらいに顔を赤くした。さながらゆでダコのようだ。


「ば、バカッ! 」


そういうと玲子は僕をグーで殴りつけ、そのまま駅のホームへと走り去った。超イテェ!! 


「な、何なんだ一体……」


僕は一人、痛む頬を押さえつつボーゼンと玲子がいなくなった駅の入り口を見つめていたのだった。



~ ひよこのレイコ ~END

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