※ 君と僕との出会いのキセキ 第二十四話 ~ 意外な後輩 ~ ※
霧島祐也趣味は小説のWEB投稿。レオさんこと文月玲央奈と出会い、彼の人生は変わった。高校二年生になった祐也だが、クラス替えでは岩田光雄以外知らない人ばかり、そして、先生からのトドメの二つ名紹介。落ち込む祐也にとある後輩が話しかけてきた。
※ 君と僕との出会いのキセキ ~ 意外な後輩 ~ ※
高校二年生になって数日が経った頃。僕は未だにクラスに馴染めなかった。ポツポツと女生徒の子達が僕に話しかけてくれるが、やっぱり初めの担任の” サ○ババ ”が効いている。おかげで、返事はおざなり、うまく会話も繋げることもできずに、彼女達も遠慮して、疎遠になっていった。どうして僕はこんなにも周りとうまくコミュニケーションできないんだろうか……
学校も終わり、放課後、家に帰る途中、僕はある女生徒に呼びかけられた。
「あ、祐也じゃん。お久……ってアンタ誰? 」
「ん? アレ、ってお前誰? 」
二人揃って指を差し合いながら硬直した。でも相手は僕の名前を知っている。どういう事だ。
「あ、あ~人違いみたいね……後ろ姿の雰囲気がアイツに似てたから。ごめんなさい」
「いや、僕霧島祐也だけど? 違う祐也? 」
「!! 」
僕がそう言うと、相手の女生徒は驚きで目を見開いていた。
「え? 嘘っ! ほ、本当に祐也なの? まさか……あの裏サイトが事実を書いていたなんて……」
う、裏サイト……また嫌な単語が聞こえる。先生と岩田の言葉を思いだし、一気に気分が悪くなる。その表情を見て彼女は安心した顔になった。
「あ~やっぱりよく見ると祐也だね。良かった良かった。アンタ本当に格好良くなったね。と言うかアンタあたしのこと忘れてるわけ? サイテーなんだけど」
「いや、分からん。お前誰だよ……」
本当に誰だか分からない。こんな可愛い子僕の記憶にない。いや、最近色んな可愛い子が何故か僕の周りにいるけどさ……そのどれとも顔が違うんだよね……本当に分からないという表情を見て、彼女は完全に落胆した表情を浮かべた。若干不機嫌な感じもする。
「あー。ホントサイテー! あたしはアンタの従兄妹の藤島玲子だよ。今年からアンタと同じ高校に通うことになったからさ、よろしくね~」
「あ、あーずっと顔真っ赤にして兄貴についてまわってた、” ひよこのレイコ ”か……」
「チョッ! あの時は、まだ子供だったでしょ! 今はそんなことしないんだから。ホンットバカじゃないの? 」
玲子の怒った顔を見て、思い出した。あ、あー確かにこんな顔してたわ……。あの頃はそんなに対人関係興味なかったからよく覚えてなかった。今思うと僕ってかなり薄情で酷いやつだよね。玲子は僕のこと覚えてたわけだし。僕は従兄妹がいるなーぐらいで全くどんな奴になってたかも把握してなかったよ。
「んで、何か用? 」
「……用がなかったら声掛けたらいけないわけ? 」
僕の愛想のない返事に玲子は顔をしかめて完全に不機嫌モードだった。いや、特に僕はそんなつもりで言ったわけじゃないんだけど、玲子は僕が嫌そうに対応してるように見えるんだろうね。
「ゴメンな。僕さ、対人関係そんなに得意じゃないんだ。だからそっけないと思っても許してくれよ」
「ヤダ!! 」
何だこの不機嫌生物……。なんでこんなに絡んてくるんだよ。辟易してきた。もういいやと思って、立ち去ろうとする。すると玲子は慌てて僕を捕まえる。
「チョッ! ア、アンタさ、会話のキャッチボールできないわけ? 私の言いたいことや聞きたいことちゃんと汲みなさいよ」
無理難題である。正直そんなこと知るか。と言いたいものだ。
「で、何か用なわけ? 」
「…………」
玲子は目頭を抑えて思考している。ん~僕のナイスな受け答えに大ダメージ受けてるようだな。玲子は口をヒクつかせながらもやっと答えた。
「と、とてもナイスな反応ね……さすがの私も言葉をなくしそうになったわ」
「そりゃどーも」
玲子は信じられないという表情をして僕を見返す。そして、イライラした表情に変化し、僕に話しかけた。
「もーいーや……アンタと話をしていたらこちらの脳が腐りそうだわ。じゃあ命令よ」
「め、命令!? 」
玲子は否応もなく僕に命令を下してきた。いつの間にこんなに尊大な奴になったんだ。
「今度の日曜日私に付き合いなさい! 」
「……ヤダ」
「!! 」
めんどくさそうに断ると、更に玲子は信じられないという表情をした。そして、握りこぶしをしてワナワナと震えだした。なんだこの百面相の生物……クププッ……
「笑うな! いつもアンタはそうだ! あたしをいつもいつも半笑いで見やがって! どんだけ傷ついたのか……」
そう言うと玲子は涙目になって僕を睨みつける。いつも半笑い……全然コイツに興味なかったから覚えてないや。苦笑いをすると指を指してまた笑ったと怒りをぶつけてくる。どうしろと……
「ん~すまん。ひよこの玲子」
「それを言うなっ! 」
「あーだからな。俺はお前のこと、ひよこしか覚えてないんだわ。ろくに話した覚えもなくてさ。……ごめんな」
僕は済まなそうに謝る。その態度が玲子にとってとてもムカつく内容だったらしい。特に自分を全く意識されていなかったという事実を知ってショックが大きかったみたい。
「……こ、こんな奴にあたしは、あたしは……」
” バカアアアァァァ!! アンタのお兄ちゃんに言いつけてやるんだからねっ!! ”
玲子は泣き出すと、そんな捨て台詞を吐いて逃げ出した。折角可愛くなったのに、何だろう、この三下感が拭えないのは。
やることがないので、家に帰ると、丁度玄関に兄貴が困った顔で僕を出迎えてくれた。と言うか僕に用があったらしい。
「やっと帰ってきたか……祐也話がある」
そう言うと、兄の隼人は僕を自分の部屋へと連れて行く。今、家には両親が帰っており、父さんと母さんにはこの話を聞かれたくないようだ。部屋に着くと隼人は僕に適当に座るように言う。そして隼人も座るとため息をついて話を切り出した。
「お兄ちゃんな……お前が男前になってくれて嬉しい。だがな、面倒事を俺に向けるのはどうかと思うんだ」
「え? な、何のことだよ」
慌てて隼人に自分は思い当たるフシがないことを伝えるが、隼人は首を横に振ると、ため息をまた吐いた。
「……お前のその鈍さがこの状況を招いたようだな」
かなり失礼なことを言われて、僕は憤慨した。それを軽くいなしながらも隼人は話を聞くように促す。そして隼人の話を聞いた。
「まずは、莉奈な……お前アイツに何をした」
早坂莉奈悠舞ちゃんのお姉さん。そして、僕がホワイトデーの材料集めのために働いた職場の先輩で、隼人と同級生の大学生の子だ。彼女がどうしたんだろうね。
「え? 何もしてないけど……」
一瞬キスされた事を思いだし、赤面しつつ答える。その姿を隼人は鋭い目線で見つめる。とりあえず追求せずに理由を話す。
「アイツ、最近お前のことばかり話してくるんだ。そして、俺にどんな理由をつけても早くバイトに連れ戻せってうるさいんだ」
「へぇ……」
僕の素っ頓狂な反応に兄貴はため息をついて、半ば強制的に僕をシフトに入れることにした。毎週土曜日、九時~一二時の四時間勤務だ。この時間に莉奈さんをブッキングさせるとのこと。兄貴はうんざりした表情で僕に話した。
「とりあえず。これでアイツを黙らせるからな……後はお前が何とかしろ。俺はもう知らん……次はな」
「え? まだあるの? 」
僕の反応に隼人は睨むような目で見つめる。何かと兄貴に迷惑をかけてるみたいだな僕。全然自覚ないけど。
「次は藤島玲子な。俺たちの従兄妹だ。アイツが何か知らんけど俺に泣きついてきたんだわ」
” バカアアアァァァ!! アンタのお兄ちゃんに言いつけてやるんだからねっ!! ”
というセリフが思い出される。……本当に通報しやがった。
「アイツな。亡くなった叔父さんの大切な一人娘だ。お前もわかるだろ? もう少し、優しく対応してやれ」
「……いや。そう言うけどさ。ひよこは兄貴のことが好きなんじゃないの? アイツの言ってること無茶苦茶でさ、いちいち話聞いてられないんだけどさ」
そう言うと、隼人も困った顔をした。言っていいのか悪いのか、そんな表情にも取れる。
「……めんどくせぇ……俺はアイツとは関係ない。それよりも、命令だ。玲子と来週の日曜日付き合ってやれ」
「な、何でだよ! ヤダよ! 」
「叔父さんとの借り、返すものだと思ってやってくれ……玲子が癇癪起こしたら面倒なんだよ」
隼人の本当に困った顔を見て、僕は渋々全ての条件を飲むことになった。すると、隼人はホッとした表情をして僕に感謝した。
「すまんな祐也。俺も色々と力になりたかったんだけどな。お前の周りにいる女は皆” 我 ”が強くてどうしようもないんだ。……お前のように鈍いほうがうまくいくのかもな……」
とても失礼な言葉を投げかけられつつ、僕は自分の部屋に戻った。隼人から玲子の携帯の電話番号を受け取り、彼女に連絡した。
《……なんか用? 》
ものすごい不機嫌な声が聞こえた。アレ……まだ僕玲子に電話番号伝えてないはずなんだけど、なんで僕って分かったんだろうね。不思議に思いつつ、彼女に日曜日遊びに行こうと誘う。兄貴が誘えと言うからやるんだぞ。
すると、彼女は面倒臭そうな声を出しながらも了承した。何で面倒臭いならこんな手の込んだことしてくるんだよ……。
《じゃ、じゃあ日曜日に駅前の噴水に来なさいよっ! 遅れたらぶっ殺すからね》
「へぇいへぇい……」
僕は玲子の言葉に適当に相槌を打ちつつ、電話を終えた。ベッドに倒れこみ、僕は今の状況を整理した。
” なんでこうなった!! ”
としか言い様がなかった。土曜日バイトに日曜日デート……何か段々僕の小説書く時間減ってる気がするよ……何でこんなこじれた事に。どう考えても分からないけど、玲央奈と僕が出会ってから、僕の生活は急激な変化を遂げる。これからどうなるのか全然分からなかった。
「あー疲れた……」
精神的に疲れた僕は小説を書くことなく、そのまま眠りについてしまったのだった。
~ 意外な後輩 ~END




