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※ 君と僕との出会いのキセキ 第二十三話 ~ 高校二年生の春 ~ ※

霧島祐也きりしまゆうや趣味は小説のWEB投稿。レオさんこと文月玲央奈ふづきれおなと出会い、彼の人生は変わった。

 祐也はこの一年色々あった。趣味だった小説のWEB投稿を始める。それと同時に玲央奈に目をつけられた彼はいじめにあった。一方、玲央奈は腹に据えかねた思いがあり、祐也をいじめていた。そんな二人が思いがけず学校以外で出会い、そして、仲良くなった。それは” 奇跡 ”のことであり、この物語は彼らの出会いの” 軌跡 ”を書いている。


 そして、高校の一年は終わり、彼らは進級した。

※ 君と僕との出会いのキセキ ~ 高校二年生の春 ~ ※





 今日から僕たちは高校二年生になる。少し大人になったような気がする。学校の周りに植えられた桜の花びらが僕たちの新しい門出を祝っているかのように咲き、散っていく。今は祝福ムードがあるんだけど、中学生の卒業の時に見た同じ桜とは違う。やっぱり、高校卒業の時にはこの桜の花も哀愁の桜になるんだろうか。


「よっ。サ○ババっ! 」


一人この雰囲気をぶち壊す最低の男がいた。岩田光央いわたみつおだ。そして、更に最低なことをしてくれた。


「俺とお前、次の組も一緒だぞ! 宜しくな」

「……嬉しくないけど。よろしく……」


慣れ慣れしく肩を抱く岩田。この男は僕と同じでコウモリの様な性質がある。自分にとって得なところがあると目ざとく付いていくのだ。それが分かるから僕は彼のことが好きじゃない。流石に彼ほど露骨じゃないけど。僕も……


「ああ、そう言えば、お前をいじめてた文月玲央奈は違う組みたいだぞ」

「……え? 」


僕は驚いた。そうなんだ。彼女は、僕と一緒のクラスじゃないんだな。去年の僕だったらかなり喜んで踊っていたかもしれない。でも、今は何だか胸の奥がチクチクした。なんだろうこの気持ち。


「そっか」

「前の組で一緒なのは俺だけみたいだぞ」


「…………」


僕は頭痛がした。ん~なんだろう。この頭痛が痛いという変な文章しか紡げないぐらい、頭の中が整理できない。つまりは――


” そんな事は知りたくなかった…… ”


というわけだ。岩田……お前の友情もこれまでだな……。そう思っていると、玲央奈とすれ違う。僕と彼女は学校では話とかしない。出来るだけ関わらないようにしている。やっぱり、学校の中では、岩田が言うように、” いじめる側  ” ” いじめられる側 ”この対極にいた二人が急に仲良くなるそれ自体が異常なことだと思うからだ。


「「…………」」


僕たちは一瞬だけ目が合う。それだけでいい。だけど、彼女の目は少し寂しそうだった。彼女はもう掲示板見たんだろうな。そのまま校舎に入っていった。岩田に色々言われたけど、改めて組編成の掲示板を見てみる。……やっぱり一年で知り合いは岩田しかいない。今年の一年はどうなるんだろうか。

去年の初めの時ほど酷くはないよね。でも、それがあったから今もある。僕にはとても複雑な思いが巡っていたのだった。



「では、この二年B組を受け持つ月見里尊やまなしみことだ。今年から一年宜しく」


うちの受け持ちの先生は男だが、女みたいな名前だ。な、何だこの中二病を発症したような名前は……僕はそう思っていると、彼と目が合った。


「君か……サ○ババの再来と言われた教祖様は……」


月見里先生は若干引き気味に僕にそう言った。僕は顔が青くなる。

去年の僕のイケメン変身事件。イケメンになる一日前、僕は寝起きのまま学校に出て、立派なカリヘアーのまま気がつかず半日過ごすという失態を犯した。それ以来、一部からサイ○バという不名誉な名前を頂いたのだ。そして、更に不名誉なのが、僕をサ○ババとして崇拝すると、イケメンに変身できるという都市伝説が出来上がっているらしい。岩田の話だと、学校の裏サイトの掲示板にそのスレが立っているそうだ。別にそんなこと知りたくないんだけど……


「「ギャッハッハ!! 」」「先生サイコー!」 「そこでそれ言う? 先生! 」


うちのクラスは月見里先生の言葉で一気に大爆笑に。僕を中心に堅苦しかったクラスの雰囲気が一気に打ち解けたのだ。作用反作用の法則があるように、僕は反対に頑なになったのは言うまでもない……

 学校は半日で、そのまま解散となった。クラスでは早速午後の付き合いと、チーム編成のために皆がファミレスや、カラオケ、ゲーセンなど誘い合って、ほうほうの体で教室を出て行った。岩田は僕を誘って更に女の子にアタックしようという浅はかな考えをツッコミで回避し、家に帰ったのだった。


「ふぅ……あのクラスやだなぁ……」


先生のあの言葉一つで学校に行くのが嫌になった。気分が落ち込み、何だか小説書く気が起きない。一年の時は何言われても、何されても、小説書き続けることができたはずなんだけど、何だろう。このモヤモヤした気持ち。

しばらくするとPCからメールが来た。……レオさんだな。開いてみると、新しいクラスについて書いてある。あちらは周りの友人が皆来たようで、相変わらず仲がいいらしい。こっちとは正反対だ。返信をすると、チャットのお誘いが来た。


『え? マジで? アンタ先生に教祖様って言われたんだ』


文章はそのままだけど、多分PCの前で爆笑してるんだろうね。ちょっと間があったし。


『でもさ、一緒のクラスじゃなくて少し寂しいね』


レオさんのその言葉でまた気分がモヤモヤする。レオさんに言われて、寂しいという気持ちが更に強くなったきがする。


『うん、そうだね。僕は知り合いが岩田しかいないから寂しいよ』


そう言うと、しばらくレオさんからの返信が途絶えた。その後チャットが再開される。何だろう今の間は……


『そっか。そうだよね。ま、寂しくなったらいつでも私が慰めてあげるから。頑張ろ♪ 』


レオさんの言葉がとても胸に染み渡った。これが、友達というやつなのかな。レオさんがいてくれたら学校に行くの頑張れるかもしれないと思えた。


『不登校になられて小説更新なくなるのだけは嫌だしね! 』


その一言でズッコケた。……やっぱりレオさんは僕の小説投稿ありきの関係なんだね。目から汗が出そうだよ。


『うん。それだけは止めないよ。だってレオさんがいるから。僕はこの小説を最後まで諦めない』


そう言うと、しばらくレオさんからの返信が途絶えた。……アレ? 僕なんかおかしな事言ったかな。更にしばらく返信がなかったけど、レオさんは『夕食に呼ばれた』と一言言うとルームから退出した。アレ、なんか気まずいぞ……


「レオさんどうしたんだよ……」


僕はそう呟くと、ベッドに横たわった。レオさんのおかげで鬱屈とした気分は晴れた。でもやっぱり、今日、小説だけは何故か書く事ができなかったのだった。



~ 高校二年生の春 ~END


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