※ 君と僕との出会いのキセキ 第二十二話 ~ 今、僕たちの姿 ~ ※
霧島祐也趣味は小説のWEB投稿。レオさんこと文月玲央奈と出会い、彼の人生は変わった。ホワイトデーでのハプニングも終わり、祐也のイケメン変身事件も落ち着いた。そんなある日のこと。
※ 君と僕との出会いのキセキ ~ 今、僕たちの姿 ~ ※
「そう言えば祐也って身長いくらなの? 」
不意に玲央奈に尋ねられた。僕は玲央奈を見つめる。彼女は相変わらずとてもお洒落だ。季節もそろそろ四月に差し掛かかろうという時、僕たちもそろそろ高校二年生になる。まだまだ成長期……と言い聞かせているんだけど……
「……一七〇センチ……」
「……低いね」
玲央奈からの言葉で心を深くえぐられる。いや、僕は背が高くはないけど、低くもないはず……よく見ると、玲央奈は僕と同じ身長だ。チョット驚いたけど、彼女は僕より少し背が低い。オシャレな彼女はヒールを履いているのだが、それに違和感がない。そのヒールの分を合わせて僕と同じ身長だった。
「玲央奈って身長いくらぐらいなの? 」
「一六五センチだよ。五センチのヒール履いてるから祐也と同じだね」
玲央奈はサラリと答える。玲央奈は女性にしては身長は高い方だ。そして、彫りが深い顔に、栗色の髪、本人が言うには自毛らしい。そして、均整が取れたスタイル抜群の体型。本当に彼女は純日本人なのか怪しい。だって黎苑さんもあまり日本人に見えないんだもの……
「な、何よ。私の顔に何か付いてるわけ? 」
「あ、いや。そうでもないんだけど」
顔を赤くして睨む玲央奈、慌てて僕は目を空して答えた。ちょっと曖昧な言葉に玲央奈は不満そうだ。しばらく無言の状態が続いたが、玲央奈はボソッと言った。
「ま、まぁさ。隼人も急に身長伸びたから、アンタも背が高くなるはずだよ」
「う、うん。そうだね」
そう言うものの、僕は少しないなと思っていた。それは、僕の兄貴、隼人は中学生の時に既に僕と同じ身長だった。だけど、高校一年から二年になるまでの間に身長が伸び、僕と同じ年の時には、身長が一八〇センチあったのだ。
「……玲央奈はやっぱり、背が高いほうがいいの? 」
「……そりゃ。出来たら私より背が高くないと、見た目的におかしくなるじゃない」
玲央奈の言葉にショックを受ける。” 見た目的 ”そうか、玲央奈は見た目が重要なんだなと再認識。急に気持ちがしぼんでいく。その顔を見た玲央奈は若干慌てた表情になり、話を繋いだ。
「あ、あああ、で、でもさ、内面も必要だよ。どんなに見た目よくても、性格悪かったら嫌だし……ね」
「……うん」
玲央奈は僕の死んだ魚のような目をみてアチャア~という顔をしている。見た目の話をした後に、落ち込む僕を取り繕うようにそう話したら。適当に話したような感じになるのは否めない。それが分かったのだろう。玲央奈も落ち込んだ顔をする。そんな時、意外な子から声を掛けられた。
「チャオ~祐也っち……アレ、……彼女さんと一緒なの!? 」
「え? あ、莉奈さんと悠舞ちゃん!? 」
後ろから聞いたことがある声を掛けられて、振り返ると最近見知った姉妹がいた。彼女たちは五才も年が離れているとは思えないほど似たような姿で、並んでいた。まだ三月で肌寒い。悠舞ちゃんはあの時と同じダッフルコートでスカートのような状態。かつてのチワワと同じ姿。一方莉奈さんは快活な感じがあるツインテールとともに、ジャケットとミニスカート、レギンスで寒さをカバーしている。見た目は同じだけど、服装や性格は正反対のようだ。
「……知り合い? 」
玲央奈は不機嫌モード満載の表情で僕に尋ねる。ドスが聞いた低い声で一瞬誰の声か分からずにすごい悪寒がした。それに合わせて悠舞ちゃんもビクッと体をこわばらせる。一方莉奈さんはニヤニヤしたまま微動だにしない。
「うん。祐也っちのバイト先の先輩なんだよあたし」
「へ、へぇ……アンタバイトしてたんだ……」
莉奈さんの言葉に玲央奈の表情がさらに固まる。自分の知らない新情報を聞いた玲央奈は何故黙ってたんだというオーラを発している。マジ怖い。
「い、いや……クッキーと飴の材料費を集めるためにさ、兄貴の紹介で始めただけなんだよ。今は休業中だよ」
「そ、そうなんだ……」
玲央奈はホッとした表情をする。アレ……何で僕がバイトしてなかったらホッとするんだ。玲央奈は僕の母親なのかね……
「ん~いいじゃん。暇があったらまたバイト来てよ。また手とり足取り教えてあげるよん♪ 」
「て、ててて手とり! あ、足取りっ! ですって!! 」
玲央奈は莉奈さんの言葉に過剰反応する。そして、猛禽類の様な目で僕を見た。いや、何で一言一言で僕を睨むの……? いい加減にしないと僕、ストレスで死んじゃうよ……
「エヘヘ、私ホワイトデーでお返し沢山貰って満足してるのよ」
莉奈さんが含み笑いをするかのように玲央奈を挑発している。な、何で炎にガソリン投入の様な事を……
「ちょ、チョットお姉ちゃん! な、ななな何もらったのよ! 」
珍しく取り乱したように悠舞ちゃんが答える。すごい必死のような気がするのは気のせい? その姿を勝ち誇ったような顔で答える莉奈さん。
「へっへーん。クッキーだけじゃなくて手作りの飴全種類貰ったのよ! 凄いでしょ! 」
「!! ムウウ……わ、私だって、同じ学校だったらバレンタインでプレゼントできたのに……」
姉妹間で何故かバトルが勃発している。あの時、莉奈さんが機嫌が悪くて、仕方なくご機嫌取りした部分は完全にカットされている。悠舞ちゃんは軽く涙目なんだけど、何が何だか僕には分からない……
「……バカバカしい。祐也行くわよ」
姉妹間のバトルを冷めた目で見ていた玲央奈は僕の腕を掴むと歩きだそうとする。それに合わせて僕は引きずられそうになるのだが、誰かの手が僕の腕を掴み、引き止めた。
「チョット。バカバカしいってどういうこと? 」
振り返ると莉奈さんが僕の腕を掴んて怒った顔をしている。その言葉に反応した玲央奈は睨みつけるように莉奈さんに言い放った。
「……どれだけ貰ったかじゃなくて気持ちの問題じゃなくて? 」
「ふ、ふふん! アンタは私みたいに飴全種類貰ったりしてないんでしょ? 悔しいからそう言ってるんでしょ! 」
莉奈さんの挑発に玲央奈はため息を着くと、ヤレヤレと言ったように答えた。
「私は、飴玉全種類だけじゃなくて、クッキーも全種類貰ったわよ。それでいい? 」
「「!! 」」
玲央奈の言葉で早坂姉妹は凍結した。とても素敵な氷像ができたね。そっくりな姿が印象的だよ。そう思っていると、玲央奈はさらに追い討ちを掛ける。
「そ、それに、あの日、私は祐也の頬に、キ、キキキ、キスだってしたんだからっ! 」
「「「!! 」」」
僕たち三人は更に固まった。早坂姉妹は完全にメモリー不足を起こしている。僕は容量不足に……一人だけスーパーコンピューターの玲央奈だけ胸を張っている。とても異様な光景だ。
「ちょっ、今ここで言うこと!? 」
僕は冷静な判断ができずに、顔を真っ赤にして言う。頭の中ではあの玲央奈が僕の頬にキスをしたあの光景が蘇っている。あ、ダメだ……また腰が抜けそう。よろけた僕を莉奈さんはキャッチすると――
” チュッ ”
完全に時間は止まった。玲央奈は真っ白に、スーパーコンピューターも時代には逆らえず、今では旧型コンピューターになったようだ。そして僕は完全に腰が抜けた。
「わ、私だって!! 」
悠舞ちゃんも勢い余って僕に飛びつくと、キスならぬ歯で” ガッチン ”をしてきた。そして、僕の頬にはキスマークならぬ歯型マークができる。超イテェ!! あまりの痛さに一瞬意識が飛んだ。一方悠舞ちゃんも「ギャアッ!! 」と悲鳴を上げて口を抑えている。
「……何このカオスな空間……」
一人正気に戻った莉奈さんは三者三様の状況に一人佇んでいた。
「で、祐也はどうするわけ? 」
「い、いや、どうするってさ……」
僕たちは今、とある喫茶店にいる。とある……とは言うが、玲央奈が僕を初めて連れて行ったあの喫茶店なんだけどね。やっと店の名前分かったんだけど。” 喫茶キャッツアイ ”と言うらしい。結構素敵な店で木造建築の温かみのある内装が魅力だ。コーヒーも結構美味しい。だけど……今飲んでるコーヒーの味が分からない……
「どうするって、今ここでお茶してるじゃん。ね~悠舞ちゃん」
「……う、うん」
多少見当はずれの言葉を交わす莉奈さんと緊張でガチガチで、話がよく分かっていない悠舞ちゃん。今四人席で窓際が玲央奈と向かい合って悠舞ちゃん。通路側は玲央奈の隣に僕、向かい合って莉奈さん、という感じだ。悠舞ちゃんは玲央奈の威圧感に完全にのされている。
「……こ、こここここのコーヒー美味しいねっ! 」
少し声を裏返しながら話す僕。それを莉奈さんが笑顔で同意。玲央奈はフンと鼻を鳴らして答える。よく見ると、玲央奈と悠舞ちゃん、莉奈さんはコーヒーと……やっぱりパフェ食べてる。ん~ここのパフェは美味しいのか? 気になってきた。
「あ、あのさ。皆ここに来るとパフェ頼んでるんだけど……美味しいの? 」
そう聞いた瞬間、三人は僕をジロリと見つめると。スプーンでクリームをすくい、バッと僕の前に突き出した。
「食べてみたら? 」「あげるっ! 」 「ど、どうぞ! 」
三人はスプーンを僕に向けた瞬間、お互いを驚いた表情で見つめる。そしてすくったアイスが溶けそうなほどの視殺戦を開始する。玲央奈ビームと莉奈さん光線、悠舞ちゃんレーザー。三種のカラフルな火花が……
「あ、い、いやお構いなく……」
あまりの勢いに僕は三人の好意(行為)に対して驚きの拒否をした。ここで誰か選んだら完全にデス・ゲームが始まりそうな感じだ。僕が断ったことにより、宙に浮いたスプーンは一旦パフェグラスに戻る。そして、彼女たちはグラスに目を向け、そして、お互いのグラスを見つめた。
「「「…………」」」
三人はしばらく無言だったが、阿吽の呼吸というのだろうか。僕の頭の中で一〇〇m走を思い出すような光景が見えた。幻聴だろうけど、スタートのピストル音が聞こえた。それと同時に彼女たちはガフガフとパフェを頬張る。その勢いに僕は驚きを隠せない。そして三人は同着でパフェを食べ終えた。
” 当然、三人とも、頬にパフェのクリームが付いていたのは言うまでもない…… ”
喫茶店を後にした僕たちは、これ以上外にいる気分じゃなかったため、その場で解散となった。家に帰ると、レオさんからのお怒りのメール。チャットは流石に今日は怖かったので、早々にパソコンを閉めた。
最近思うことがあるんだけど、何だろう――
” こう、昔のような肉体的なダメージよりも、精神的なダメージの方が強くなってきたような気がする ”
げっそりとした僕は、ベッドに倒れこむと、驚く程素直に眠りに着いたのだった。
今、僕たちの姿END




