※ 君と僕との出会いのキセキ 第十四話 ~ 年末、迫り来る…… ~ ※
霧島祐也趣味は小説のWEB投稿。レオさんこと文月玲央奈と出会い、彼の人生は変わった。約束を破った祐也は改めて玲央奈の家に行き、彼女と対面、仲直りをした……はずだったのだが、それ以降の記憶がなく、祐也は彼女との距離を測りかねていた。そんな中……
※ 君と僕との出会いのキセキ ~ 年末、迫り来る…… ~ ※
最近僕はため息をついていた。そう、玲央奈を看病したあの日、僕はプレゼントを渡してから全然記憶がないのだ。ん~良く分からない。黎苑さんに車で送ってもらったらしい。気がついた僕は、兄貴から話を聞いて、顔が青ざめた。話によると、僕のプレゼントを受け取ったあと、玲央奈は逆ギレし、僕を張っ倒したらしい。そして、彼女は言ったそうだ。
”何でもないわよっ! このゴミどっかに捨てなさいよ! ”
と。その時僕はどんなことを言ったのだろう。そして、プレゼントしたパワーストーンは一体どんなやつだっけ……
「ああ~考えてもわからない……どうしよう」
正直に玲央奈に聞いたほうがいいと思うのだが、そんな事を言って、僕自身無傷でいられるはずがないと思う。はっきり言おう。怖いっ!
「ん~小説投稿するかなぁ……」
出来た小説を投稿する準備を始める。その時、僕は不安があった。玲央奈が風邪を引いて寝込んだのは分かる。その後、彼女からのコメントがなく、そのまま次の投稿日となったのだ。そして、暇があれば彼女からのチャットのお誘いがあったものだが、あの件以来なくなった。それが余計不安を掻き立てる。僕、嫌われたのかな……
「うだうだ考えても、仕方ないか。投稿日は投稿日だ。さて、準備できたし、やるか」
僕は投稿ボタンを押す。すると、いつものように僕のブログは新しい物語を紡ぐ。そして、僕の知らない誰かが、僕の小説を見て、喜んで、楽しんで悲しんで、何より感動してくれる。それが、とても嬉しい。だけど、やっぱりレオさんに読んでもらいたい。そう思うのだけど、前のようにすぐコメントが来ない。数字では彼女が見ているかどうかなんて、分かるはずがない。段々不安になる。
「ふぅ……これ以上考えてもダメだよな。次の話書いておくか」
僕は小説を書く事だけに集中して、彼女のことを忘れるようにする。でも、やっぱり集中できるはずがない。でも書かなきゃ、と四苦八苦していると、ドアのノックと共に、僕の兄貴、隼人が現れた。
「祐也、ちょっといいか? 」
「あ、何か用? 」
僕の言葉に隼人は後ろ頭を掻きつつ話した。
「あ、やっとお前が落ち着いたかなと思ってな。謝りに来た」
「謝る? 」
僕が言うと、隼人は頭を下げて、理由を話した。隼人は自分のせいで僕と玲央奈の事がこじれてしまい、最終的には彼女が体調を崩してしまった話をした。だが、僕はどうすればいいのか分からなかった。だって、今回の件はお世話になったおじさんの事。兄貴が取り乱すのも仕方がないぐらいあまりにも急なことだったからだ。取り敢えず素直に思ったことを伝える。
「う、うん……だけどさ、やっぱり謝るのは玲央奈の方だと思うんだけど……」
「……だよなあ」
隼人はそう言うと、「すまんな」と一言言うと部屋を出た。しかし、すぐに扉を開け直して僕に言った。
「あ、祐也、大晦日だけどさ。お前黎苑と俺について来い」
「え? 何でだよ」
僕がそう言うと、隼人は少し困った顔をした。
「あー。まぁいいじゃないか。あ、そうそう、お前の小説なんだが、黎苑の奴……お前のファンらしいんだ。だからまた会いたいって言ってるんだよ」
「……へ、へぇ」
正直意外だった。あの、黎苑さんが僕の小説を好きとか、全くそんな素振り見せなかったなぁ……
「分かった。行くよ。だけど、黎苑さんが僕の小説好きとか……」
「そうだなぁ。俺は全くお前の小説興味ないけどな」
はっきり言われてちょっと” ムカッ ”とした。試しに兄貴に聞いたら。僕の小説と聞いただけで見たくないとはっきり言いました。
「うーんどうしよう……」
私、玲央奈は自室で悩んでいた。約束を果たしに家に訪れ、風邪を引いた私をわざわざ看病してくれた祐也。そんな彼を私は思いっきり叩いてしまった。その後、彼の小説を見たんだけど……。コメント書けない。気まずさが私を支配していく……
「ああ、ダメダメ私……看病してくれたお礼も出来ていないのに……ううううぅ」
私が頭を抱えていると、ドアがノックされた。どうぞと言うと、やはり兄の黎苑だった。
「……なんですの? 私は忙しいんですけど……」
少し鬱陶しい顔で兄に言う。すると、黎苑は少し遠慮しながらも話しかけた。
「あ、ああ、実は、祐也が来れなかった原因の奴がおってな……そいつを謝らせるために、大晦日にお前に来て欲しいんだが……」
「嫌です」
私ははっきり言ってやった。だって、そんな奴に何で私が会わないといけないの? じゃあ家に来いよっ! と思いながら断った。すると、黎苑はボソッと言った。
「そいつは祐也の兄でな……」
「え? まじ? 」
兄の言葉に私は反応してしまった。祐也に兄がいたんだ……そう思うと、ちょっとだけ緊張してしまう。
「隼人だよ」
「……え? アイツかぁ」
私は眉をしかめた。隼人、彼はよく私が子供の頃から家に出入りしていた。確かに兄と仲が良くて、背丈も高く、イケメン。二人で立っていると絵になる男だった。だけど、私にとってとてもウザイ奴だった。事あるごとに私にちょっかいをかけてくる。勉強でも兄に聞いているのに、サラッと答えを言う。答えじゃなくて解き方を聞いているのに、だ。その態度がいちいち鼻にかかる。
「アイツ嫌い……」
「ま、まぁそう言わずに。あ、そうそう祐也も来るって隼人が言ってたよ」
「!! 」
私は驚いた。でも、ここで祐也が来るなら、もしかしたら謝ることができるかもしれない。そう思うと兄のお誘いはとても魅力的に思えた。
「わ、わかったわよっ! で、でも隼人の奴が謝るから行くんだからねっ! べ、別に祐也が来るから行くんじゃないんだからっ! 」
「……あ、ああ」
黎苑は若干押されながらも答える。取り敢えず妹からの承諾は得た。祐也が来るかどうかまだわからないが、隼人ならうまくやってくれるだろう。そう思いながら、我が妹ながらツンツン話しながらも、本心を言ってるあたり……
” 分かりやすくてとても可愛いなぁ…… ”
ニヘラと笑っていると、玲央奈からのぬいぐるみ攻撃が来た。” ボフッ ”という音と共に、黎苑は頭部が吹っ飛んだ。
「な、何ニヤニヤしてんのよっ! は、早く部屋を出なさいよねっ! 」
明らかに照れ隠しの攻撃だ。我が妹ながら暴力的だ……そのまま尻餅をついている黎苑を扉から追い出し、玲央奈は改めて部屋に戻る。
「ど、どうしようかな……」
玲央奈は慌てて、来る大晦日に合わせて、祐也との関係回復計画を練り始めた。だが、それに集中しすぎた玲央奈は、祐也が更新した小説の存在を忘れていることに気がついてはいなかった。
そして、お互いに悶々としながら、来る大晦日を迎える。
年末、迫り来る……END




