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※ 君と僕との出会いのキセキ 第十二話 ~すれ違うクリスマス 玲央奈後偏 ~ ※

霧島祐也きりしまゆうやは目立たない少年。趣味は小説のWEB投稿。レオさんこと文月玲央奈ふづきれおなとの出会いで、彼の人生は変わった。玲央奈の誕生日当日、プレゼントを渡そうとした祐也だが、叔父の急死により、通夜が同日行われ。行くことができなかった。それにより、彼女は祐也の前から姿を消した。祐也は玲央奈のいる家に向かい。彼女と無事再会する。玲央奈のクリスマス後編になります。


※ 君と僕との出会いのキセキ ~すれ違うクリスマス 玲央奈後偏 ~ ※



正直驚いた。席替えがあり、私は前になった。一方祐也は後ろだ。いつも授業を聞きながら祐也をチラ見していたのだが、それがないのが少し寂しい。そう思っていると、先生から意外な言葉が聞こえた。


「さて、この問題を……文月さんを見ている霧島君に解いてもらおうかしら」


「え? あ、はい! 」


え? 今のは幻聴? そう思ったが、周りが大爆笑をしている。現実……。そう思うと、みるみるうちに顔が赤くなっていった。恥ずかしい思いもあるのだが、祐也も自分を見ていたというその事実に少し驚いてもいた。取り巻きの子が私を見ていたので慌てて、迷惑そうに祐也を睨んだ。演技なのだが、やっぱり頬が熱い。それが祐也にバレないかヒヤヒヤしていた。


(う、嘘。祐也も私を見ていたんだ……ヤダ、恥ずかしい……)


しばらく睨んだあと、平静を装って黒板を見るが、心臓はバクバク音を立てていた。もう、黒板を見るだけで精一杯だった。祐也が自分を見ている。それを意識しだしてから何故か何をしているか気になりだした。

 終業式が終わり、冬休みに入る。家で予定がある時以外、暇を見つけては祐也にチャットをした。ちょっと祐也は困ってるみたいだけど、イタズラをしているようで、とても楽しかった。でも、ちゃんと小説は投稿しないさいよっ!

 休みに入ってから、更に考える時間が増え、私の頭は毎日が花畑になりつつあった。妄想が妄想を呼び、ふと考えては、ため息をする。そして、チャットをしてはニヤニヤしつつ祐也の反応を楽しむ。そんな毎日を過ごしながら、とうとう私は誕生日当日を迎えたのだった。


「えっと、これでいいかな……いやいやこれじゃあ」


玲央奈は念入りに服装点検をする。今日は自分の誕生日、祐也にとっておきの自分を見せつけてやる。と思いながら試着を続ける。この日はさすがに祐也にはチャットをすることができなかった。少し不満だが、我慢する。扉を挟んで、外では呆れた顔で黎苑れおんがあくびをしつつ玲央奈が着替え終わるのを待っていた。時間が長くなればなるほど、退屈な思いから徐々に異変を感じ、色々考えてしまう。


(ムムム……大切な友人。しかし、着替えが遅すぎる……いや、まて、いや……しかし……)


大切な妹のこの行動を訝しんでは、否定。また訝しむと、気が気でない状態で待ち続ける。ある意味拷問だった。

 やっとのことで、玲央奈は着替え終えた。ものすごく楽しそうだ。それを見て黎苑は軽くジト目になる。それを玲央奈はなによっ! と言う顔で睨みつける。慌てて黎苑は目をそらす。


「す、少し早いけど行きましょうか……」

「ん? 約束の時間まで一時間ぐらい待つぞ」

「い、いいんですの! アイツにはちゃんと約束三十分前には来るように言ってあるんだからっ! 」


それでも三十分は最低待たないといけないんじゃないか? と突っ込みそうになるが、逆ギレしかねないので敢えて黙る。黎苑は車に乗ると、玲央奈を玄関前で拾い、駅に向かったのだった。車を運転しながら黎苑は玲央奈の服装を聞いてみる。


「お前さ、こんな雪が降りそうな天気なのに……スカートとか寒くないか? 」

「……女の子はお洒落が命なのっ! 」

「そ……そうか」


玲央奈の勢いに負けて、黎苑は黙る。心の中ではお洒落より元気に会いに来てくれるだけでもいいのでは……と思ったりもする。しばらくすると、駅前のロータリーに差し掛かる。そこの少し見えにくい場所に車を停める。そして、玲央奈は車をでる。黎苑も後に続こうとするが、玲央奈に「車で待ってなさいっ! 」と顔を赤くして怒られ、退散した。


「うーん。腑に落ちない……」


黎苑はアゴを車のハンドルにかけながら、玲央奈を見る。あの異様にソワソワした姿。そして、普段見せないウキウキした顔。何より……好きな人に会いにいくような雰囲気。まるで自分が蚊帳の外にいるような感じになる。


「大切な人……か。分からんでもないが、分かりたくないっ! 」


どっかのひねくれたツンデレのような言葉を発してしまう。

 


 三十分待つと予定時刻になる。でも、予定時刻になっても祐也は現れない。私はウキウキ感が段々イライラ感に変わっていくのを感じた。予定時刻までに既に三十分待っている。そして、いつも祐也には三十分前が予定時刻だとちゃんと調教したのにっ! と思っていると携帯に呼び鈴が鳴る。この音は祐也のだ。嬉しさと怒りの入り混じった不可思議な気分のまま、私は祐也に繋いだ。


「ちょっと何してるのよ! 早くしなさい! 」

《 あ、そ、それなんだけど…… 》


祐也は切羽詰ったような声を上げている。何事だろう。慌てて玲央奈は聞き返す。しかし、物音と何かの声が聞こえる。そして最後に祐也から信じられない言葉が発せられた。


” ごめっ、 無理! ゴトンッ ”


最後の音は耳に響いた。慌てて携帯から耳をそらす。そして、すぐに耳に当てるのだが、不通音が鳴っていた。


「え……どういうこと? 」


私は頭が真っ白になる。今まで溜めていた妄想も全て飛んで行った。外の寒さがまるで私に染み込むように一気に気持ちと体が冷えていった。とても寒い。しばらく携帯を持ったまま固まっていると、心配した黎苑が駆けつけた。私の表情を見て異変を察知したらしい。でも、頭がボーッとしてきて……


「おい、おい! 玲央奈大丈夫か? 」

「え、ええ? あ……」


状況をよく飲み込めていない玲央奈。黎苑はこの玲央奈の表情を見てなんとなく分かった。


「相手の野郎……約束をすっぽかしやがったか……」


通話の相手が液晶を通して見えた。祐也と言うらしい。しばらく画面を見ていたが、玲央奈の様子がおかしい。顔が不自然に赤く、呼吸が荒い。こんな寒い中、お洒落と言って薄着をして長時間待っていたのだ。調子も悪くなるかもしれない。


「大丈夫か? 車に行こう。もう奴は来ない。家に帰るぞ」

「え? あ……」


黎苑に連れられる玲央奈は、虚ろな目をしながらも、自分が待っていた噴水前を見続けていた。そして、車に乗り込むと同時に彼女は意識を失った。


 玲央奈は兄の車に揺られ、そして、家に着く。彼女はそのまま自室のベッドに入ったのだった。そして、熱が下がらないまま数日が経過する。



すれ違うクリスマス 玲央奈後偏END

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