表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/41

※ 君と僕との出会いのキセキ 第十一話 ~すれ違うクリスマス 玲央奈前偏 ~ ※

霧島祐也きりしまゆうやは目立たない少年。趣味は小説のWEB投稿。レオさんこと文月玲央奈ふづきれおなと出会いで、彼の人生は変わった。

玲央奈の誕生日当日、プレゼントを渡そうとした祐也だが、叔父の急死により、通夜と葬式が行われ。行くことができなかった。それにより、彼女は祐也の前から姿を消した。祐也は玲央奈のいる家に向かい。彼女と無事再会する。

今回は玲央奈視点からのクリスマスをお伝えします。

※ 君と僕との出会いのキセキ ~すれ違うクリスマス 玲央奈前偏 ~ ※



『自分で考えなさいっバカ! 』


あまりにも馬鹿な発言に、私は祐也に言ってやった。でも、顔はニヤニヤしてしまう。今までの祐也の男磨きのための会う約束ではない。今回は自分のための約束である。今まで手を焼いた祐也に慰労させるためのいい口実となった。


「……ちょっと強引だったかなぁ。でもアイツ強引じゃないと動かないしねぇ」


玲央奈は最近祐也のことばかり考えていた。初めは彼が自分のお気に入りの小説を書いていると言われたとき、反射的に激光してしまった。怒って立ち去ったものの、落ち込む彼を見たとき、今までいじめていた時とは違う彼の姿を感じた。


” 今までは何をされても、彼は自分の事を他人のように甘んじていたからだ ”


それがない。彼は本当に力なく潰れていた。それを見たとき、玲央奈は何故か罪悪感と自分の大切なものが崩れていくような感覚に襲われたのだ。そう、” このままではいけない ”と思ったのだ。何故そう思ったのかは今でも分からない。


「霧島……祐也。貴方は私にとってなんなの? 」


玲央奈はこの数ヶ月彼と何回か会って色々してきた。初めの時は、あくまで今までいじめていた贖罪と、あまりの無頓着さによる苛立ちで接してきた。レオとして、チャットにいるとき、祐也はとても面白い。そして、想像が膨らむ。でも、会うとやっぱりあの時の彼なのだ。自分の理想の相手を思い描いていた玲央奈は、祐也を磨くことでそれなりにショックを受けないように努力した。最近その効果が出てきている。でも、以前感じていた不快な思い、不潔な思い。複雑な感情はまだ残っている。


(でも、最近ちょっと格好良くなってきたかな……)


玲央奈の心境に変化が起きたのは、合コンの時だ。あの時は祐也の小説を馬鹿にした” 岩田光雄 ”が気に入らなかった。でも、祐也はとてもダサい。頭を抱えながらも考えた。多分アイツはお洒落の予算なんて一万円ぐらいでいいやとか思っていそうだから、と準備をしていた甲斐があった。自分の服のセンスには自信があった。馬子にも衣装というように、それなりに服装を合わせればどんなやつでもある程度は行けると踏んでもいた。


(祐也……あんなに変わるとは思ってなかったよ……)


アンジェリで着せ替え人形の如く服をいじられた彼は、二時間に及ぶ格闘の末、自分の前に姿を現した。まだ髪はボサボサだったが、祐也はとても可愛かった。そして、玲央奈の好みでもあったのだ。ポーカーフェイスで厳しく接した玲央奈はただの照れ隠しだった。


(今までいじめていたアイツに素直になれるわけないし……)


そう思っていると、自分の誕生日に祐也が来てくれる。そう思うだけでやっぱり顔がにやけてくるのだった。一人だと素直になれる。レオだったら自分の素直な気持ちを表せられる。やっぱり、面と向かって話していないからだろうか。


(それにしても、あの” バカチワワ ”要警戒ね……)


玲央奈は最近祐也に近づく早坂悠舞はやさかゆまを思い出した。合コンの時から祐也に迫っている。いつも髪をタレ耳のようにして、明らかに自分は可愛いですオーラを出している。それが憎たらしい。どうにかできないかと思うのだが、祐也があまりにも無防備なため、玲央奈からアクションすることができない。


「これ以上私の所有物に変な虫が付かないようにしないとね……」


玲央奈はガッツポーズをして、これからの祐也との付き合い方を思案した。


(さて、取り敢えず、アイツとは手を握ったり、色々したから。そ……そろそろいいわよね? )


誰に聞くわけでもないのだが、玲央奈は自分で自分に相談していた。祐也と誕生日にかこつけて、今の関係を更に上げようと思っている。だが、その前にやらなければいけないことがあった。それは、高校に入ってから今まで、祐也にしてきた自分の悪行を洗いざらい謝り、許してもらうことだった。本当に酷いことをした。今更だが、それをしないと自分はもう一歩先に進めないと思っている。


(祐也、許してくれるかな……。今でも、私が迫るとアイツ怯えるんだよね……アイツは意識してないのかもしれないけど。それを見るたび、私は涙が出そうになる)


祐也のあの行動は忘れたくても、玲央奈の目に映る。そして、自分がした行いを忘れることができない原因にもなる。だから、どんなに怒っても、睨んでも、苛立っても暴力は振るえなかった。振るうと、今まで一生懸命積み上げてきたものが崩れそうだから……それが、怖い。


(あ~どうしよう~モヤモヤする~)


玲央奈は頭を掻きむしった。嬉しい気持ちと、怒りたい気持ち、悲しい気持ち、これから起こるであろう楽しみな気持ち、すべての気持ちが玲央奈の心をかき乱していく。


コンコンッ


扉の叩く音が聞こえる。ふと現実に戻った玲央奈はノックの主を迎え入れた。入ってきたのは兄の黎苑れおんだった。


「おい、今回のクリスマスはお前本当に家にいないのか? 」


少し焦っているような感じも受ける。そんな姿を少し面白く感じる。


「ええ、今回は友人の方とご一緒しますわ」


黎苑はそれが異性との一緒だと思い込んで話している。まぁ、当たっているわけだが。


「お、男と一緒だな。あ、兄として許せん! 聖なる誕生日の日に、お、おおお男と一緒なんて! 」

「お兄様、落ち着いてください」


玲央奈は兄の激しい取り乱しっぷりに若干驚いていた。過保護な兄だとは思っていたが、ここまでとは……。取り敢えず事情を話した。今、大切な友人がいること、その人は自分の心の支えとなった小説を書いている主であること、そして、彼を自分が何とかしてあげないといけないと絶賛教育指導中だということも伝えた。黎苑は訝しげに話を聞いていたが、実は祐也の小説を先に見つけたのが黎苑であったりする。


「え。お前あの小説の作者と知り合いだったのか。いいなぁ……羨ましいなぁ」


違う意味で兄は取り乱した。仕方ない……


「わ、分かりましたわ。お兄様、遠くで私達を見ていただければいいです。それならお会いしてもよろしいでしょ? 」

「う、うむ。し、仕方ないなっ」


頬を若干赤く染めながら黎苑は頷いた。我が兄ながら何を考えているのかよくわからない人である。ほりが深く、身長も高い。イケメンなのだが、彼女とか浮いた話がないのだ。

 なんとか、兄からも許可をもらえたということで、祐也と会うことができるようになった。後は、誕生日に会って、色々済ませるだけだと玲央奈は思った。


「明日も学校だから、そろそろお休みしますわ。お兄様お休みなさい」


そう言うと、渋る兄を追い出し、玲央奈は寝る準備を始めた。誕生日が近づくほど、顔がにやけてくるが、明日は大丈夫だろうかと無表情になる訓練をしつつ、私は眠りについたのだった。



すれ違うクリスマス 玲央奈前偏END


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ