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※ 君と僕との出会いのキセキ 第十話 ~すれ違うクリスマス後偏 ~ ※

霧島祐也きりしまゆうやは目立たない少年。趣味は小説のWEB投稿。レオさんこと文月玲央奈ふづきれおなと出会いで、彼の人生は変わった。玲央奈の誕生日当日、プレゼントを渡そうとした祐也だが、叔父の急死により、通夜が同日行われ。行くことができなかった。それにより、彼女は祐也の前から姿を消した。連絡が取れない祐也はいてもたってもいられず、彼女の家へと向かったのだった。

『君と僕との出会いのキセキ』



※ 君と僕との出会いのキセキ ~すれ違うクリスマス後偏 ~ ※



僕は走った。息が切れるまで。そんなこと意味はないけど、自分を何故かいじめたかった。苦しい思いをすることで、彼女に対して自分の行った行為を自己満解決したかったのかもしれない。でも、それだけじゃダメだ。僕は、彼女の家に行ったことはない。過去に、彼女の家の近くまで、取り巻きの女の子達の荷物と一緒に持たされたことがあった。途中で、玲央奈が「アンタに付きまとわれたくないからここで荷物置きなさい」と勘違いも甚だしい事を言って、荷物を下ろした僕を蹴っ飛ばして帰っていったっけ……


「何で、こんな時に、僕をいじめていた頃の玲央奈が思い出されるんだろう……」


息が切れた僕は、玲央奈のいる家まで歩きながら呟く。あの時の彼女は本当に非情だったのを覚えている。今でも、彼女のあの姿を思いだし、身がすくみ、怯えてしまう自分もいる。でも、今の彼女は違う。でも……

 僕は最寄りの駅に行き、彼女のいる家の駅へと向かった。彼女の家は学校を挟んで僕の家と正反対だ。いじめられていた頃は、彼女と会う機会が減るからいいと思っていたけど。


” 今はその距離がとてつもなく心を焦らせる ”


この思いは何だろう。人と付き合う事をあまりしなかったから良く分からない。心の殻を閉じていた僕には。普通の人たちは直ぐに分かるのかな。学校のある駅に着き、そして、その先の玲央奈の家のある駅に着いた。実は彼女の家がある駅は、かなり発展しており、かつてのレオさんに初めて会ったとき、そして、度々会うとき、この駅前の噴水に待っていた。駅前はクリスマスも終わり、祭りのあとの哀愁さを残しながらも、人通りは多く、賑やかだった。二十五日の夜からちらほら雪がちらついており、とても寒い。


(玲央奈……君は、ここで来るはずがない僕を待っていたんだな……)


僕は、玲央奈が待っていたであろう噴水の前に立ち止まる。ここで、彼女は震えながらも、来るだろう僕を待っていたのかもしれない。もしかしたら、直ぐに怒って帰ったかもしれない。拒絶の意思表示のために、もうブログには来ていないのかもしれない。様々な思いが駆け巡る。だが、ここで終わらせるわけには行かない。彼女は少なからず時間まで、僕が来るはずだと信じて待っていたくれたのだから。その失った信用を取り戻せないかもしれないけど。でも、玲央奈との過ごしたこの数ヶ月を無駄にしたくなかった。


(いじめられてた時、彼女とは二度と仲良くできることはないと思っていた。それが仲良くなった。その”君と僕との出会いのキセキ ”を大切にしたい)


僕は、しばらく噴水の前で軽く頭を下げた。二十五日の夜待っていた彼女に謝罪の意味を込めて。そして、僕は彼女に蹴飛ばされた場所へと急いだ。


「さて、ここからだよな。どうしようかな」


僕は、現場で少し悩んだ。彼女の家はここの近くだけど、正直分からない。勢いで来ただけだから、何の準備もできていない。今更ながら僕はありえない汗が出てきている。どうしようかな……適当に歩いても意味がないから、住宅街の周辺地図を見たり、色々した。ここの区画結構歩いた。

 

……見つからない。


そう思っているとふと気がつく。GPSだっけか、それを思いだし、使ってみる。すると彼女の場所が分かった。……今探している区画の次の場所のようだ。骨折り損……そして、GPSをしてからはすぐにわかった。だって、家があんなにおっきいんだもの。


「す、すげぇ……」


あまりの家の大きさ、庭の大きさ。全てのスケールがでかい。うちの家なんて、彼女の家のペットの小屋ぐらいかもしれないや……あまりの自分の世界と彼女の世界のギャップにたじろぎながらも勇気をだして、” 文月 ”とあるネームプレートの隣の呼び鈴を鳴らした。しばらくすると、好青年のような澄んだ声が聞こえる。


「はい、どなたでしょうか? 」


僕は軽く自己紹介と共に、彼女に会いたい旨を伝えた。しばらくの沈黙の後、門前払いを喰らうかと思っていると、「入りたまえ」の言葉とともに、門が自動で開いた。ドキドキしながら文月邸の家の玄関に向かって歩く。彼女の家は日本だけど、何か西洋の庭に近い。左右同じに計算された西洋造園の趣を感じさせる。普通に訪問するならその美しさに声を上げながら扉に向かうのだろうが、今回はそんな呑気な事を言ってられない状況だった。玄関の前には一人の茶髪の青年が立っていた。ほりが深く、日本人ではなさそうに見える。身長は兄貴ぐらいだろうか、180センチはありそうだった。


「君が、玲央奈に会いたい……という少年か」

「は、はい……」


心なしか出迎えてくれた人は憎悪の目で僕を見ている。お前を許さないぞという雰囲気も感じられる。それに対して、僕は完全に気圧される。彼は、僕を家に入れると、応接間に連れて行った。そこで改めて彼から話が始まる。


「まず、自己紹介からだ。俺は、玲央奈の兄、文月黎苑ふづきれおんという。大学生だ」

「あ、はい、ぼ、僕は、文月さんの友達の、霧島……霧島祐也と言います」


どもりながらも僕は自己紹介をした。すると、黎苑さんは驚いた顔をした。急に憎悪のこもった目ではなく、単純に驚いた顔になる。上目遣いで彼を見ていると、彼は僕に質問をした。


「霧島……君は隼人を知ってるかね? 」

「え? はやと……僕の兄は霧島隼人ですが……」


僕がそう言うと、彼は本気で驚いた。「お”ー」という声を上げている。あ、確かに玲央奈の兄貴だわ……納得。しばらく考え事をしていたが、黎苑さんは現状を伝えてくれた。彼女はやはり、来ない僕を待ち続けて、心配した黎苑さんが駆けつけると、体調を崩していながらも気丈に立っている彼女がいたという。車に乗せると意識を失って、そのまま部屋で寝込んでいるらしい。僕も事情を説明する。すると、黎苑さんは頭を抱えてはぁーっと特大なため息をついた。


「俺たちが知り合いだって分かってたらこんなことにならなかったのになー」

「そう、ですね……スマホ落とした僕が悪いので……」

「いや、結局連絡が取れる状態でも、隼人と同じぐらいの時間になるだろうから、玲央奈は寝込んでいるよ」


黎苑さんは僕に気を使ってそう言ってくれた。

しばらく僕は黎苑さんの話を聞いていた。驚いたのが、黎苑さんとは中学からの知り合いで、大学も同じ、そして、先月兄は帰ってきたのだが、同じく、黎苑さんも隼人と同じ期間、留学していたらしい。場所は同じで……イタリアらしい。兄貴のことあまり気にかけていなかったからそんなところに行ってるとは知らなかった。


「さて、お互い誤解も解けた。後で隼人に伝えておく。玲央奈に直に謝れとな。折角来てくれたから玲央奈に会うといい。来てもどうせ寝ているがな」

「あ、はい」


応接間をでる黎苑さんの後ろについていく。家の二階、そこの一室に玲央奈がいる。僕は深呼吸をして、黎苑さんが見守る中、ノックをして扉を開けるのだった。



すれ違うクリスマス後偏END



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