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ぼくらの嗜好大戦争

鞍馬蓮実と瀬戸海里は家が隣同士ながらも、学校入学で同じクラスになるまでお互いの存在を知らなかった。


まず瀬戸海里の家が由緒ある料亭の家系で、莫大な敷地を持っている。

そのため隣といっても、家の距離はご近所と呼べるものではなかった。

次男ではあるが瀬戸海里は家の仕事を気に入っており、昔から多くの習い事をしていた。

茶道を始めとした書道、合気道、琴、すでに修了している習い事もいくつかある。

しかし習い事の合間で全力で遊び、日々を楽しんでいるしっかり者でもある。

そのためか少し大人びた性格になり、唯一のコンプレックスはキツネ顔なことくらいである。


入学してまず驚いたのは、熊のような体をした少し大きい同級生がいたこと。

話せばお隣さんであり、また外見によらずおおらかで算盤を素早く弾く器用な指先を持っていた。

他の子たちより少し体が大きかった二人は、意気投合して仲良くなる。


そして鞍馬蓮実がアンドールを買う際に、瀬戸海里も親に頼んで買ってもらった。

二人で習い事がない日は日暮近くまで、アンドールで遊んだ。

ある日そんな二人に転機が訪れる。アニマルデータのインストールである。

驚くことに二人は同時にインストールされ、タマモとベアングが喋り始めた。


「これ、二人の秘密なんよ」

「うん、秘密」


無邪気に笑いあう二人は、エリアボスを決める大会で竜宮健斗と相川聡史に会うまで秘密を守った。

二人はお互いの性格もあいまって穏やかな性格で、喧嘩することはなかった。



唯一つを除いて。





「だから!!目玉焼きには醤油!!」

「いいや、ソース!!これは譲れんよ!!」



事務所内で言い争う二人に竜宮健斗達は目を丸くする。

いつも仲が良い二人が争うのを初めて見てしまったのである。

最初から二人とも目玉焼きにつけるものに関しては、平行線しか辿らなかった。

たまに思い出したように二人は目玉焼き戦争をするのである。


「はいはい!俺マヨネーズ派!!」

「うっわ邪道!俺は断然砂糖だね!」

「私は塩コショウかなー」


二人の目玉焼き戦争に新たに三人が加わり、戦いは激化。

途中遊びに来た御堂霧乃が、半熟固ゆで両面片面論を持ち出してきて混戦化。

ついには南エリアの二人にも聞こうとメールをしたところ、すぐに返事がやってきた。






馬鹿






一言だけ書かれたメールに、全員の頭が冷えた。

ちなみに送信者は籠鳥那岐であり、錦山善彦は半熟カリカリベーゴンにつけて食べる派である。

ついでに籠鳥那岐は塩のみである。半熟は認めていない。


「海里、この戦いは…」

「延長戦だね、蓮実」


こうして久しぶりに起こった目玉焼き戦争は、賑やかに幕を閉じる。

しかし後日遊びに来た御堂霧乃が出した卵焼きにより、今度は卵焼き戦争が勃発。

目玉焼きにしろ、卵焼きにしろアンドールは参加できないので寂しい所である。


<天気良好。明日の予報は…>

<室内温度上昇。酸素率低下中…>


淡々と喋る狐のアンドールであるタマモと熊のベアング。

心なしか二匹の声が楽しそうなのは、気のせいだろう。

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