交替
同じ部活のたった2人しかいない女子後輩の小柄巨乳の山宮里子と大柄貧乳の林一三から、同じタイミングで告白をされるという、めったにない経験をした俺であったが、どっちかを選ばなければならないというタイミングで、俺は選ぶことができなかった。
だったら、1カ月交代で、どっちがいいかを選べばいいじゃないかという、よくわからない発想に至り、その二人の後輩に提案してみた。
したら、わずかな殴り合いと大げんかの末に、決めることができた。
最初の一カ月目。
初めに俺とのつきあう権利を得たのは、身長170台前半のBカップというスレンダー体型な林だ。
「よろしくお願いしますね、先輩」
「こちらこそ」
今決めるのではなくて、ただひたすらに、結論を先延ばしするだけのような気もしているが、それを気にしていては、先に進めることはないだろう。
「それで、今日はお弁当を作ってきたんですけど…」
「いいね、手作り弁当か」
笑っている林の後ろから、別の女友達と何かを話ながら、学食に来ている山宮が見える。
俺と目を合わしても、すぐにそっぽ向いてしまう。
なんだか、悲しそうな顔をしている。
「先輩?」
「ああ、ごめん」
意識を、前にいる林に戻す。
膨れている林のほほを、軽くつつく。
「大丈夫さ。今は俺たちだけの時間だから」
「本当ですか」
「ああ、本当だとも」
その言葉が、嘘なのかどうか。
その時の俺には、分からなかった。
1か月が経った。
俺は、次の付き合う相手である山宮へ言った。
「明日からは、よろしくな」
「ええ、林とは違うところを見せ付けてあげますよ」
どうやら、雲行きは怪しい方向に進んでいるようだ。