r4. Indirect Registration
「ここでラストか…あっけねぇな!ハハハ!!」
奴はもうそこに来ている。
やるしかない。
「お前でラストか。中の奴はお前が殺ったのか?」
「…!」
俺は、奴に向かって走り出した。
「バカ野郎!!死ねっ!!!」
直に、奴のMA…ミニガンが火を吹いた。
だが、俺のAAなら対処できる。
「AA発動」
「消えた…?」
俺は、直に地面から姿を現し、走り続けた。
「なるほど…それがAAって奴か…」
俺のAAは、地面に入り口と出口を作って、その中を移動できるというもの。
だが、一ゲーム当たり地下の「通路」に滞在できる時間には限界がある。
俺は、出たり入ったりを繰り返し、弾を避けながら奴に近づいていった。
「もぐら叩きか!!いいだろ!!ハハハ!!」
よし、避けた。奴のところまであともう少し…!
「俺も見せてやるよ。AAって奴をよ!!」
「AA発動!!」
よし、避けた…って、くそっ…!
避けたはずの弾は、突然軌道を変え、後ろから俺に向かって来はじめた。
避けきれない…!
軌道を変えた弾丸たちは、瞬時に俺を蜂の巣にし、俺はその場で血を流し倒れてしまった。
「ひゅ~これで終わりだな。おーい、全部殺ったぞ。どうやったら帰れるん…くあっ…!!」
「はあっ…はあっ…!」
そこには、包丁を持った少女、陽葵がいた。
「こ、殺した…私が…?」
陽葵は、その場で腰を抜かし倒れた。
[生存者一名が確定しました。生存者の帰還を開始します。]
[ACL check-perm: pedant
Request for exit from the MW accepted]
***
「ここ…私の部屋…?戻ったんだ…」
その時、陽葵の目の前にホログラムが表示された。
[一件の討論に呼び出されました。]
「討論…?」
『三島だ』
[Pedant: 三島準]
@Pedant: 宮野陽葵
生きてる。そのうち会いに行く。
「三島…さん…本当に生きてる…?!どうして…?!」
***
俺はまず、ルールブックの文章に疑問を持った。
「ペダント文書は、当該ペダントが「ゲーム」中に死亡した場合、削除される。
ペダント文書に登載されなくなったペダントは、直ちに脱落となる。
脱落したペダントのペダント文書は、永久的に削除される。」
…説明が回りくどい。死ねば脱落、脱落は死。死ねばペダント文書も削除。それでいいんじゃないか…?
よく見るとこれ…「ゲーム中に死亡」が脱落に直結しない…!
そして、ゲーム中に感じた妙な違和感。
まるで、自分の身体じゃない感覚…
ゲーム中に死亡しても、「登載」さえされていれば脱落じゃない、つまり死なない…!
そしてこの文章…
「ペダント文書に登載されなくなったペダントは、直ちに脱落となる。」
「自分のペダント文書」なんて一言も書いてない。
だから、俺と宮野は、あの時それぞれ自分のペダント文書を編集した。
Pedant: 三島準
Pedant: 宮野陽葵と協力を約束した。
Pedant: 宮野陽葵
Pedant: 三島準と協力を約束した。
一か八かだったが…これで俺は宮野のペダント文書に、宮野は俺のペダント文書に「登載」されていることになる…!
多分だが、あそこで使われるのは俺本来の身体じゃない。
だから、登載さえされていれば死なない…!
そして、俺のAAの生み出す「通路」には、他人も入ることができる。
通路は、複数生成することもできる。
俺は、予め通路を一つ生成し、そこに宮野を入らせた。
通路の中は、マップ上には表示できない。
だからマップを見て残っているのが俺だけだと勘違いした奴の目の前で気を引き、俺を殺して気を抜いている隙に宮野が後ろから迫って仕留める…!
一か八かだったが、うまくいったみたいだ。
まず、生き延びた。
デーヴァ選抜プロジェクト
4. MW
Mimicked Worldの略称。
現実世界を模倣した異次元の空間である。
ゲームは全て、MWで行われる。
MW上において、ペダントは思念体として存在する。
この状態では、思考から行動への遅延が減少するが、身体能力は元々の肉体に準ずる。




