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嫁が優秀な子供ほしさに義理の祖父と托卵を企てやがった! 俺は嫁一族と縁を切り、托卵された子供を育てる決意を固める。  作者: panpan


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池谷 大河③

大河視点です。


「どうした? 龍男」


 俺の問いかけに答える前に……龍男は目の前のテーブルに広げている調査資料の中から1枚の写真を指した。

そこに写っていたのは、千鶴の母親であり……俺の義母である道種みちたね 蝶子ちょうこさん。

50代とは思えないほど若々しく、愛想のよい美人だ。

頭も良く……お義父さんとの仲も良好な感じだ。


「お義母さんがどうしかしたのか?」


「この人……アメリカの有名大学出身らしいな……」


「あぁ……そうみたいだな……」


「しかも……理事長の娘なんだってな……」


「まあな……」


「娘ってことは……理事長と血が繋がってるってことだよな。

千鶴ちゃんと同じ……」


「何を当たり前の……!!」


 龍男が言わんとしていることを察した俺は……思わず言葉を詰まらせてしまった……。


「まっまさか……」


「あぁ……。

ひょっとして……義母も千鶴ちゃんと同じ”教育”を施されているんじゃねぇか?」


「そんな馬鹿な……あり得ないだろ?

自分の娘だぞ?」


「実の孫に手を出して子供まで生ませた男だぞ?

娘には手を出してないって……お前言い切れるか?」


「それは……」


 龍男の言う通り……。

熊次郎は孫である千鶴に音瑚を生ませ、さらにもう1人生ませようとしている。

千鶴と同じく優秀な”人材”である蝶子さんにも同じように手を付けていると聞いても……正直、不思議には思えない。

だけど……もし仮にそうだとしたら……千鶴は熊次郎の孫ではなく……娘になる。

じゃあ何か?

あいつは実の娘に子供を生ませて……さらにその子供に子供を生ませたってことか?

いやいや……いくらなんでも……そんなカオスな関係……現実的に考えてありえねぇだろ?


「もちろん……これはなんの根拠もない俺の想像だ……。

でも……否定しきれないだろ?」


「だけど……そんな常識はずれなこと……」


「お前はすでに常識はずれな状況に出くわしただろ?」


「それは……」


「それにさ……理事長との”妊活”は千鶴ちゃんにとっては義務なんだろ?

人間、義務だの使命だのと思い込んでしまえば……どんなに常識はずれなことでも無理やり正当性を作ってしまうものさ……」


「そんなもんかな……」


 確かにそう言われると……千鶴は熊次郎との行為を義務だと称し、それを俺に理解させようとしていた……。

日本のためとかなんとか理解はできないが……行為後に言い訳を垂れていた時と学校で詰め寄った時に見せてきたあの必死な形相は……千鶴の本心とみて間違いないだろう。

きっと


「いっそ義父に会いに行くか? 音瑚ちゃんのDNA検査の結果とか離婚の意思を伝えないといけない訳だし……」


「……」


 少し悩んだが……俺は意を決し、龍男と共に義父の元に行くことにした。

お義母さんのことを頭ごなしに疑うのは良くないと理解しているが……千鶴のことを考えると、どうにも疑念を振り払うことができなかった。


-------------------------------------


 翌日……俺は龍男と共に義父のいる弁護士事務所へと赴いた。

あぁ、言い忘れていたけど……義父は弁護士をしてるんだ。


「すみません……無理言って時間を作らせてしまって……」


 ダメ元で受付を通して義父に面会をお願いしてみたんだが……人の良い義父は俺の急な訪問に文句1つ言わずに受け入れ、わざわざ応接室まで案内してくれた。


「いや……構わんさ。 それより、どうしたんだ?

わざわざ事務所にまで足を運んで……」


「一から説明します……」


 俺は音瑚のDNA検査を義父に提示しつつ……俺の身に起きたこれまでのことを全て話した。


「まさか……千鶴がお義父さんとそんな……」


 義父は最初こそ千鶴の不貞を信じなかったが……DNA検査という言い逃れのできない証拠品を目の前に頭を抱えてうずくまり……信じざる終えないという趣きを感じさせた。


「信じたくはないが……証拠がある以上は信じるしかない。

ただ……不貞の相手がお義父さんというのは信じがたいな」


「個人的な私情もあるが……千鶴と関係を持っていたという証拠がないのなら……それを真実として受け入れる訳にはいかない」


「……」


 義父の言葉は最もだった。

いまのところ……俺達が証明できていることは千鶴が誰かと不貞行為を犯したことだけ……。

そもそも血の繋がった祖父と孫が不貞を犯して托卵まで企てたなんて……そんなエロ漫画みたいなことが現実に起きる訳がないと思う方が普通だ。

とはいえ……調査の進捗も著しくない現状……俺は義父に賭けるしか方法がなかった。


「あの……お義父さんにお願いがあるんです」


「なんだ? 弁護の依頼か?

千鶴と離婚したいというのなら……君の力になるが……」


「いえ……それは追々……。

俺が頼みたいのは……千鶴のDNA検査です」


「千鶴の? 一体どういうことだ?

この鑑定結果があれば……証拠として十分だと思うが……」


「そういう意味じゃないんです。

俺が鑑定してほしいのは……お義父さんと千鶴の親子関係です」


「わっ私と千鶴? なぜだ?」


 ここから先は……なんの根拠もないただの妄言だ。

下手すれば名誉棄損に当たる可能性だってある。

でも……この疑惑を晴らしたい!

そんな思いから……俺は言葉を続けた。


「俺達……千鶴がお義母さんと熊次郎さんの子供かもしれないって……疑っているんです」


「なっ!!」


 千鶴の不貞を報告した時以上に……義父は驚愕で表情を固めてしまった。


「さっきも言った通り……熊次郎さんと千鶴は優秀な子供を作ろうとして、不貞を犯しました……。

千鶴が選ばれたのは……熊次郎さんの血が流れた優秀な人材だからです。

お義母さんも確か……アメリカの有名大学を出た才女だと聞いてます」


「確かにそうだが……それだけで蝶子がお義父さんと関係を持っていると決めつけるのは……」


「おっしゃる通りです……。

ですが……実の孫に手を出すような人間が……娘にも手を出していないとは思えないです。」


「しかし……証拠はないんだろう?」


「はい、ありません……。

自分がどれだけ失礼なことを口走っているか……自覚もしているつもりです。

でも……どうしても確かめたいんです!」


 俺は床に頭を打ち付け、義父に土下座した……。


「費用は俺が全額支払います!

もしも鑑定の結果……お義父さんと千鶴の親子関係が認められたら、俺を名誉棄損で訴えてもらって構いません……慰謝料だってお支払いします!!」


「……」


 義父の手がわずかにプルプルと震えている……。

表情は平静を装っているし……声音だって穏やかではある。

だが……その震えが、義父の怒りを表している。

証拠もなく自分の妻を疑われているんだから……当然の反応だ。

俺が義父と同じ立場にいたら……今頃、罵詈雑言の嵐を巻き起こしているだろう……。

怒りを内々に沈めて、冷静さを保っていられるところは……さすが弁護士だと思う。


「俺からもお願いします……」


「龍男……」


 龍男が俺の隣で膝をつき……ゆっくりと頭を下げて義父に土下座する……。


「言い出しっぺは俺です……。

違っていれば……俺も腹をくくります!」


「……」


 俺達2人の土下座に……大した価値はないだろう……。

誠意を示し……義父の心に訴える。

証拠も金もない俺達にできることはこれだけだ……。

もちろん……断れれる可能性だってある。

そうなったらなったで……受け入れてくれるまでお願いするだけだ。


※※※


「はぁぁ……わかった。

鑑定してみよう……」


 時間にして数分間……義父は根負けしたと言わんばかりに深い溜息をつき、俺達の提案を了承してくれた。


「本当ですか!?」


「あぁ……。

その代わり……今言った言葉を書面にしてもらう……。

こんな重大なことを……口約束だけで決める訳にはいかないからな……」


「「はい!!」」


 俺達は義父が用意した書類に鑑定結果が違っていれば、名誉棄損の慰謝料を支払うという誓約を書いた。


「妻のことは全く疑ってはいないが……ここまで君達が覚悟しているというのなら……私もそれに応えよう……」


「お願いします!」


 こうして俺達はDNA検査という賭けに出ることができた……。

はっきり言って、可能性は甘く見積もって五分五分だ。

だけど……もう引き返すことはできない。


「龍男……悪い。

お前にまで慰謝料背負わせちまって……」


「言ったろ?

これは元々俺が言い出したことなんだ。

自分の言葉には自分で責任は取る……それが人として当たり前のことだ」


 昔から義理堅い所がある奴だったが……今でもその性格は変わってないんだよな、こいつ。

それでこそ……俺が信頼を置くことができるんだ。


-------------------------------------


 義父にDNA検査を依頼してから数週間が過ぎた。

龍男の調査は相変わらず、空振りに終わっている。

まあ……調査そっちのけで仕事に専念している俺がとやかく言う資格なんてないがな……。

そしてとうとう……義父から鑑定結果が届いたという連絡があった。

結果は俺と龍男と一緒に確認するらしいので……俺と龍男は義父の弁護士事務所へと再び赴いた。


「ここに君達の求める答えがある……鑑定してもらった機関も信用できる所だ」


 応接室に通された俺と龍男がソファに腰を落ち着けるのと同時に……義父が手に持っていた茶封筒をテーブルに置く。


「この間……千鶴を家に招いて家族3人で食事会をしてね……。

その際、千鶴の使ったグラスを失敬させてもらった。

悪趣味なやり方だが……面と向かってサンプルをくれとも言えないからね……」


 きっと千鶴に勘づかれないようにと……義父なりに気を遣ってくれたんだな……。


「では開封するよ?」


 封筒から書類を取り出す義父の目は……微塵も揺らいでいなかった。


 ”千鶴は自分の娘だ”


 心からそう信じているんだ……。

長い時を過ごした愛する妻と子を……。

夫なら……父親なら……当たり前のことなんだ……。

本来であれば……家族の信頼関係に泥を塗るようなこんな真似……させちゃいけないんだ。

人の良い義父であったからこそ……この鑑定が実現したんだと、改めて思った。

そして……書類に記載された鑑定結果は……。


 ”親子関係は認められない”


「なっ!」


「「!!!」」


 大きく書かれていた鑑定結果……色々と詳細なデータも載っていたが……この解答が、俺達の心に大きく響いた。

それは俺と龍男が求めていた答えであると同時に、最も恐れていた答えだった。

義父と千鶴は親子じゃない……。

それもあくまで義母の不貞を証明する証拠に留まっているが……。

俺は確信していた。


 ”千鶴の父親は……熊次郎だ”


「馬鹿な……そんな……」


 あまりに衝撃的な答えに……義父は放心してしまった。

無理もないことだ……。

ほんの数秒前まで自分の子供だと信じて疑わなかった娘が……自分の娘じゃないと知ってしまったんだからな……。

そして、それは同時に……信頼していた妻の裏切りを証明していた。

家族として過ごした時間が長い分……裏切られたショックは俺以上に深いものだろう……。


「お義父さん……」


 何とか慰めたいけれど……言葉が見つからない。

龍男も何か言いたげに目を泳がせているが……口は一向に開かない。

だけど……このまま黙り続けている訳にもいかない。

今は少しでも……前に進まないと!


「お義父さん、大変信じがたいですが……。

親子関係が認められない以上……お義母さんが不貞を犯したという俺達の推測は事実だったと証明されます。

それに千鶴のことを踏まえると……義母の相手も熊次郎さんである可能性が高い」


「……」


「お義父さん……こんな状況で言うのは酷ですけど……もう1つ、頼みがあるんです」


「……」


-------------------------------------


 その日の夕方……俺と龍男は義父の家にいた。

物影に隠れてスマホを構える俺と龍男……もちろん義父の了解は得ている。

その義父も……俺達に気付かない風を装い、リビングでテレビを見ている。


「ただいま」


 家に潜んでから30分後……。

買い物に行っていた義母が帰って来た。


「あなた……遅くなってごめんなさいね。

すぐ食事の支度するから……」


 買い物袋を持った義母が義父の前を通り過ぎてそそくさとキッチンへと向かうと……。


「蝶子……ちょっといいか?」


 義父が義母を呼び止めた。


「えっ? 何?」


 義父はリモコンでテレビの電源をオフにすると……そばにある小さな棚から鑑定結果を取り出した……。


「これ……どういうことだ?」


 義父は静かに鑑定結果を義母に突き付けた。


「何これ?」


「私と千鶴のDNA鑑定の結果だ……。

見ての通り……私と千鶴は血の繋がらない赤の他人であることを証明している」


「……は?

なっ何を言ってるの?」


「信用できる機関に依頼した結果だ……間違いなく、私と千鶴は親子じゃない。

つまり……お前は不貞を犯し、私に托卵を企てたと言うことだ」


 義父から突然突き付けられた動かぬ不貞の証拠……。

義母は持っていた買い物袋を手放し……その場で立ち尽くしてしまった。


「あっ……いや……あの……その……」


「千鶴の本当の父親は……お義父さん。

いや……道種 熊次郎さんだな?」


「なっ! なんでそれを……」


 不意を突かれ……さらに知り得るはずのない浮気相手の名を義父が口にしたことで……義母は思わず言葉を漏らした。


「認めるんだな!?」


「そっそれは……」


「答えろ!!」


「ひぃ!!」


 普段温厚な義父から聞いたことのない怒声が部屋中に響いた……。

あまりの迫力に……義母は縮こまってしまった。

俺も思わず飛び上がりそうになったが……。


「千鶴はお前と熊次郎さんの子供……そうだな?」


「はっはい……」


「つまり……お前は熊次郎さんと関係を持っていた……そうだな?」


「そっそうです……」


 義父に詰め寄られた義母は、自らの不貞と托卵をあっさりと自白した。

精神的に追い詰められているせいで……嘘をついたりごまかしたりする余裕がないんだろう……。

そもそも……相手は弁護士……。

素人が口で勝てる訳がない。


「なぜだ……どうしてこんなことを……」


「待って、あなた! 誤解しないで!

父との間に男女の情なんてものはないの!

私の心はあなただけのものよ!

父との行為は……優秀な子供を身籠るためにしただけ……義務としてしただけなの!」


 涙を流しながら膝を落とし、懇願するように義父の足に絡みつく義母が口にしたのは……千鶴が俺に言った内容と同様のものだった。

子も子なら親も親だ……。


「義務だと?

お前は千鶴が生まれる前から私を裏切っていたんだぞ?

それをお前は……義務なんて言葉で全て片付ける気か!?」


「それは……」


「私がこの結果を見た時……どれだけ傷ついたかわかるか?

信じていた妻に裏切られ……娘との関係を否定された私がどれだけ心を痛めたか……お前にわかるか!?」


「黙っていたことは謝るわ! ごめんなさい!!

でもこれは……日本の未来のためなの!

この歪んだ日本の政治を正しい方向に導くために……未来を背負って立つ優秀な子供を作る……それが道種家の務めなの!」


「務め……だと?」


「そうよ!

弁護士のあなたなら……この日本でどれだけの子供達が誤ちを犯しているか……知っているでしょう?

これ以上……不憫な子供達を増やさないためにも……日本を正す優秀な子供が必要なの!」


「だからお義父さんと関係を持ったって言うのか?」


「違うわ!

父とはあくまで子供を作っただけ……。

私が愛しているのはあなただけよ!

信じて!」


「……」


 愛を信じてと懇願する義母をしり目に……先ほどまで怒りに満ちていた義父の顔が……能面のようにに冷めていく……。

きっと千鶴の浮気現場を見た俺も……あんな感じだったんだろうな……。


「もう……いい……」


「えっ?」


「お前とは離婚する……」


 とうとう……義父の口から離婚と言う言葉が出た。


「そっそんな……嫌よ!!

考え直して!

私が愛しているのはあなただけよ!!」


 義父から離婚を突き付けられた義母は取り乱すが……その言葉は義父の耳には全く届かない。


「待って! 待ってよぉぉ!!」


 義母の制止を無視し……義父は一目散に玄関から外へ出て行く。

この家に溢れた義母や千鶴との思い出が……義父の心の傷に塩を塗っているのかもしれない。

義母も義父を追って外へ飛び出していき……リビングには俺と龍男だけが残った。


「龍男……撮れたか?」


「ばっちりだ……お前は?」


「俺もなんとか……」


 俺達は物影から出て、お互いのスマホの中を確認する……。

そこには……先ほどの義父と義母のやり取りが全て記録されている。

そう……俺が義父に頼んだこととは……鑑定結果を義母に突き付け、熊次郎が不貞の相手であるという証言を絞り出してもらうこと。

そして……その様子を、俺と龍男がスマホで録画したという流れだ。

不意に鑑定結果を突き付けてやれば……きっとボロを出すと思っていたからな……。


「よし……さっさとズラかるか」


「おう!」


 義母との関係と托卵を証明する証拠を手に入れることはできた。

これを突き付ければ……熊次郎はさすがに逃げることはできないだろう。

裁判に持っていけば……嫌でも熊次郎はDNA鑑定を受けざるおえない。

そうなれば、そのサンプルを利用して音瑚との親子関係も立証できる。


-------------------------------------


 翌日……義父から義母をまいてホテルに泊まっていると連絡が来た。

離婚に向けて準備を始めるんだそうだ……。

何度か義母が弁護士事務所に突してきたらしいが……すぐ追い返したらしい……。

千鶴との離婚も、弁護士として俺に付いてくれるそうだ。

なんとも心強いな!


-------------------------------------


 いよいよ千鶴と熊次郎と追い詰める時が来た!

俺も龍男の家で千鶴との離婚に向けて準備を始めていた。

その最中……。


「……」


 なんとなくテーブルの上に散らばっている龍男の調査資料が目に入った。

それは龍男が集めたここ3ヶ月の熊次郎と千鶴の記録……。

その膨大な資料の中に……熊次郎が千鶴と同い年の女性を家に招いている所を抑えた写真が何枚かあった。

調査によると相手は熊次郎の姪の娘で、少し前に若い医者と結婚したとか……。

これと言って怪しい所はないからと、俺達は見過ごしていたが……ふと思った。


 ”熊次郎が手を出したのは、義母と千鶴だけなのか?”


 そんな思いが頭を過ぎった。

熊次郎は日本を正すために優秀な子供を作っていると言っていた……。

日本を正すという意味不明とはいえ、大それた目的を掲げる男が……果たして女性2人で収まる器なのか?

70歳近い爺さんのくせに……千鶴と2人目の子供を作ろうとしている人間なら……優秀な女性なら誰でもいい男なら……種馬のように手当たり次第、女に手を出しているんじゃないか?

義母や千鶴と同じく”優秀な血”が流れている姪が……同じようなことをしていないと、言い切れるか?

もしかしたら……その3人以外にも手を出しているかも……。


「まさか……な……」


 いやいや……いくらなんでもそこまでは……なんて思う反面、ぬぐえない疑問が心を支配する。

仮にもし……もしもだぞ?

熊次郎が義母や千鶴以外に手を出していたとしたら……俺や義父のように熊次郎に托卵された旦那がほかにもいるかもしれない!

その人達は事実を知らずに……この先の一生を過ごすことになる。

家族がバラバラにならずに済むと考えるのなら……旦那達が傷つくことを考えるのなら……その方が良いのかもしれない……。

でも……嘘の上で成り立っている家族が……果たして家族だと言えるか?

俺個人の勝手な意見だが……旦那の信頼を裏切って托卵するような妻なら……俺は許すことができない。

あくまで俺の想像にしか過ぎない話だが……可能性は否定しきれない。


-------------------------------------


 俺は居ても立っても居られなくなり、龍男と共に義父の弁護士事務所へと赴き……2人に俺の考えを話した。


「まあ……あり得ねぇことでもない……のか?」


「そもそも蝶子さんの時だって……あり得ないと思って調べたら、クロだったんだ。

ここまで来ると……あちこち手を出していたっておかしくはないだろ?」


「そうかもしれない……。

だがな、大河君。

もしも君の勘違いだと言う結果になってしまえば……今度は私の時以上のペナルティを受けることになるんだぞ?」


 親族一同となればかなりの人数だ……。

義父の言う通り……もしも間違ってましたなんてことになれば……俺自身の人生が破滅することになり得る。


「わかっています……。

でも……托卵なんてひどいことしておいて……悪びれもせず、教育者ヅラしている人間を…俺は教師として許すことができない。

俺の考えがもしも当たっていたら……俺は熊次郎の薄汚い嘘を全部、明るみにしたい!」


「そうか……わかった!

私も乗りかかった船だ。

君の無茶に付き合おう……」


「しゃーねぇな! 俺も手伝ってやるよ!

ただし……報酬は上乗せしてもらうぜ?」


「2人共……ありがとう!」


 その日から……俺達は離婚に向けての準備と並行して、熊次郎の親族一同を洗い出し始めた。

龍男だけでなく、義父が手を貸してくれるおかけで……調査は俺が思っていた以上に捗った。

そしてその先待っていたのは……俺の平凡な頭では想像しきれないおぞましい事実だった……。

次話は熊次郎視点です。 

ちょっと話を盛り込みすぎたような気がしますが……とりあえずこのまま続けていきます。

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