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ここから出る条件が納得いかない!

作者: 桃井夏流
掲載日:2025/11/15

短いです。軽くサクッとクスッと出来るお話が書きたかった。


なんでなの?自分が悪役令嬢だと思い出した時から地雷である攻略キャラクター達、更に言えば婚約者になる筈の公爵令息である幼なじみの事は避けて避けて避けまくって生きて来たと言うのに。


「なんなんですの此処はー!?」

「今日は元気だねアネーリア」


これは俗に言う、出られない部屋じゃないの?窓も扉も無いのに息は出来る。あとこの部屋にあるのがベッドだけなの怖過ぎる。要らないでしょ、ベッド。


「貴方の仕業なのカルーア!?」

「いきなり疑うの酷すぎない?」

「そ、そうねごめんなさい。一体誰がこんな事を…」

「まぁ俺だけど」

「怒りますわよ?」


とりあえずカルーアから距離を取る。ジリジリと後ずさると、カツカツとカルーアが追いかけてくる。


「何で近づくんですの」

「アネーリアが逃げるから」

「こんな所に閉じ込められる覚えないんですのよ!?貴方と私はほぼ赤の他人じゃないですか!!」

「幼い頃にキスした仲じゃないか」

「時効ですわ!!」


ジリジリ、カツカツ、ジリジリ、カツカツ。

部屋をぐるぐるしていると私はうっかりベッドに膝カックンされた。ドサッとベッドに倒れると、カルーアがベッドに乗りあがって来た。


「ひっ!なんなんですの!?嫌がらせですの!?ジンレット殿下とマーガレット様に命令でもされたとか!?」


因みにジンレット殿下はメインヒーロー、マーガレット様はヒロインである。最初は幅広く好感度を上げていたマーガレット様だが、最近ジンレット殿下とよく一緒に居るので専用ルートに入ったのかもしれない。

という事はカルーアはマーガレット様にふられてやけを起こしているのかもしれない。そう思うと少し可哀想…。


「いや?100%俺の意思だけど」

「ちっとも可哀想じゃなかった!出して下さいませ!!」

「此処、出られない部屋だよ」

「そんな気はしていたけれど確定されると泣きたい!」

「まぁまぁ、優しい俺は愛の伴わない営みをする気は無いからそういう条件じゃないよ」

「そう言いながら人を組み敷くのやめてくださいます!?」

「ノリで?いい眺めだなぁ」

「ノリでしていい事じゃありませんからね!!」


バタバタと足をばたつかせて脱出を試みると、めくれたスカートから私の足が……。


「ほんと良い眺め」

「お、お嫁に行けない!!」

「それだよ」

「はい?」

「幾度となく婚約の話を持って行ってもおじ様はアネーリアが嫌がるからって言う。なんで?」


思わず目を逸らす。言えないわ。悪役令嬢でざまぁされたくないから近寄りたくないんだなんて言ってもコイツ頭大丈夫か?だもの。


「言わないと此処から出られないから」

「なんてこと!」

「子供の頃あんなに仲良かったのに。突然避け始めたよね?なんで?」

「…婚約したくなかったからですわ」

「だからその理由を言わないと」

「せ、性格の不一致です」

「嘘だね。扉が現れない」

「かくかくしかじか」

「アネーリア?俺は確かに愛の伴わない営みをする気は無いけど、好きな子に悪戯したい気持ちは普通にあるからね?」

「好きな子!?」

「気付かれてなかった!?嘘だろ!?」


カルーアが深いため息を吐いた。


「俺は初恋からアネーリアなんだけど?」

「え?あ、は、はい……」

「何で俺じゃ駄目なの?」

「……前世の記憶がね、ありまして」

「なるほど。それで?」

「私がカルーアの婚約者になると、マーガレット様と仲良くなったカルーアに婚約破棄やだ!って駄々こねて嫌われて、嫉妬して嫌がらせしてざまぁされるんですよ」

「途中まで夢のような世界だな」

「はい?」

「だってアネーリアが俺を好きで婚約していて、マーガレット嬢に嫉妬するんだろ?何それ天国か。俺そっちが良い」

「ざまぁされる私の身になって?修道院行きよ?」

「それは嫌だ。アネーリアには俺の子供を産んでもらわないと困る」


うーん?とカルーアは首を傾げる。うん、いい加減私の上から退いてくれないかな?


「マーガレット嬢は別に俺を好きじゃないだろ」

「万が一と言う言葉が世の中にはあります」

「だって俺、結婚とかアネーリア以外考えた事無いって言ったら悪魔みたいな顔してそれ以来声かけられないし」

「……そんなに」

「うん。そんなに俺は初恋を大事にしてるんだけど」


優しい顔でカルーアが笑う。幼い頃、一緒に遊んだカルーアと重なった。


「その、私も大事にしてたの」

「うん、何を?」

「私のせいでカルーアの恋、邪魔したくなかった」

「めちゃくちゃ邪魔してくれてたよ?」

「勘違いしてた。ごめんなさい」

「アネーリアは、俺が好き?」


心配そうに、伺うようにそう聞かれて私はようやくストンと心が収まるべきところに収まった気がした。


「…うん、私は、カルーアが好き」

「俺もアネーリアが好きだよ、ずっと」









「ねぇ、扉が現れないんだけど」

「俺とアネーリアが両思いになってから身も結ばれるまでが条件だからね」


にっこりと笑ったカルーアに私は多分青ざめた。


「話が違う!」

「違くないよ?途中までしか言ってなかっただけ」

「待って!?心の準備がね!?」

「待とうか?大丈夫、此処、時間経過しないから待つよ。二人きりで。アネーリアの心の準備が出来るまでずーっと、二人きりだな」





美味しく頂かれる未来しかない事を悟った私が泣きながらカルーアを詰った事くらいは許されると思う。




あとマーガレット様が初手のムーブが悪かったせいかノーマルエンドを迎えた事も私の中にモヤッと感を残した事をここに記しておく。


読んで下さってありがとうございます。

いつも評価、ブクマ、リアクション、嬉しく思っています。活力です。

あまり好評ではないようなので、感想を閉じさせて頂きます。読んで不快になった方はすみません。

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