1-2 秘密の風
寮を出たラナは、手に持った鞄の中で丸まっているモルを確認し、
「モル、今日もよろしくね」
と言った。
「あぁ、任せてくれよラナ!」
モルは自信満々に目を輝かせながら返事をした。
モルの姿さえ見られなければ、学園内の人にバレることはない。
教室へ向かうため廊下を歩いていると、
「ラナ!おはよ!今日の髪型めっちゃかわい!!」
とリリィ・ルナールが笑顔で話しかけてきた。
リリィは自然にラナと腕を組む。
「えーうれしいありがと!」
とラナも笑顔で返す。
たわいのない話をしながら教室へ向かう。
リリィはもちろんラナの正体など知らない。
教室へ入るともう1人の友人が声をかけてきた。
「おはよう、リリィ、ラナ」
「おはよ、エリナ」
「おっはよ!!エリナー!」
ラナとリリィはエリナ・サフィールに笑顔で挨拶を返す。
エリナは落ち着いた微笑みで、リリィを軽く見守るように頷いた。
「今日も元気ね、リリィ」
「えへへ、だってラナがいるから楽しいもん!」
リリィは無邪気に答え、ラナは軽く笑った。
その時、窓の外から小さな風が教室の中へ流れ込み、紙がひらりと舞った。
ラナは自然に手を伸ばす。
手を伸ばすと、紙はそっと元の位置に戻った。
詠唱も杖も使わず、意思だけで操ったその瞬間も、誰も気づかない。
「ラナ、また集中してないでしょー!」
リリィが小さく突っ込み、クラスメイトたちもクスクス笑う。
ラナは軽く肩をすくめて微笑み、
「ごめんごめん、ちょっとあってね」
と軽く流した。
「ていうかリリィ、今日提出の課題やってないでしょ?」
ラナがそう言うと、
「え、えっと…どうしようやってない!!!」
とリリィは自分が課題をやっていないことに気づいた。
「課題写させてあげたいけど自分の意見を書くやつだから難しいかも…」
そうラナがいうとリリィはあからさまに落ち込んだ。
するとその時、クラス担任エレオ・セレンディアが入ってきた。
リリィは絶望の顔をして
「お、終わった…」
とラナに泣きついた。
が、そんな様子を見ながらエレオ先生は
「はいそこ、席に着いてください。一限を始めますよ。」
とリリィたちに向かって言った。
リリィは落ち込みながら席に着いた。表情は曇っている。
ラナの今日の髪型は巻き髪にハーフアップです。
いつもは巻き髪のみ。




