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(一話)そうだ、ハロウィン、行こう。

2025年 Happy Halloween ♪


Trick or Read 〜 ( ̄∀ ̄)




 今日はハロウィン? 年に一度のお化けの日?


 なんだかよくわからない日だけど、お城の中、今日はみんなが忙しそう。

 お城の衛士さんも半分以上が街の城壁に行ったみたい。いつもなら、半分は運動場で、走ったり飛んだり色々して、遊んでるんだけど。


 去年の暮れに黒龍さんが来た時もこんな感じだったような。きっとハロウィンって、お化けさんって言うお客さまが来る日なのかもしれないな。


 父さまと母さまはなんだか1日中忙しいみたいで、こんな夕方早くからお出かけ。

 母さまが「ルーナももう5歳なんだからお留守番出来るでしょ」って、だから、わたしは黒猫のミミと二人でお留守番。

 父さまはすごく心配してたけどね。母さまに引きずられて行ってしまったわ。

 魔界のみんなもお出かけらしくて、お城もなんだかひっそりとしてるわね。


「ねぇ、ミミなにかして遊ぶ?」


 ミミはわたしの使い魔で護衛で、遊び友だち。わたしが生まれた時からずーっと一緒なんだって。

 小さい頃の事はあんまり覚えてないけど、いつも一緒にいる大事なお友達。


「ルーナはすぐに泣くからなぁ。その後、怒られるのボクなんだよ」


 わたしが遊ぼうって言うと、いつも今みたいに、シッポをタシタシと床に打ちつけ、面倒そうに答える。でも、イヤがっていてもお願いすれば遊んでくれる。


「いいじゃない。どうせミミも退屈してたんでしょ」


 ミミをうしろから抱きかかえ、お庭への廊下を進んでく。ミミはあきらめ顔で手足をぶらーんと垂らしたまま。

 

 「ねぇ。かくれんぼが良い? それともオニごっこ?」


「どっちも嫌だ。隠れん坊は見つかったら泣くし、見つからなくても泣く。鬼ごっこもそうでしょ。捕まっても、捕まえられても泣くじゃん」

 

 なによ、そこを手加減するのが、良い使い魔じゃない!


「じゃあ大縄とび!」


「二人じゃ出来ない」


「じゃあ……」


「まだ明るい時間だよ。外で遊ばない方が良くない?」


 ミミはわたしが吸血鬼だからって、お日さまの下にあまり出したくないみたいなのよね。

 わたしは、お日さまが平気なお父さまとお母さまの血を引く、偉い吸血鬼なんだからね。お昼間はちょっと苦手だけど、この時間ならぜんぜん平気。


 まぁでもお外での遊びも思いつかないし……。


「食堂でおやつ食べよう!」


「行こう!」


 ミミは返事するなり、あっと言うまにわたしの手から抜け出して、さっさと前を歩いて行く。


 食堂のドアの前で待っていたミミは、さっさと開けろとこちらを見る。

 魔法を使えば自分で開けられるくせに、いつも私を頼る。どっちが使い魔なんだかわからない。

 

 「はーい、開けるからそこどいて。邪魔よ」

 

 食堂へのドアを開ける。今日はそんなに良い匂いがしないわね。コック長のオークさん居ないのかしら。


「ここもガラーンってしてるわね」


 食堂のみんなもハロウィンとかで忙しいのかな。


「ミミ、ハロウィンって知ってる?」


 戸棚の周りを嗅ぎ回りながらミミが興味なさそうに返事をした。


「うん? ああ知ってるよ。子供らがタダでお菓子を貰える祭りだろ。猫のオイラにゃ関係無いね」


 え? え? えぇぇー!

 ハロウィンがそんな大事なお祭りだったなんて、みんなどうして教えてくれなかったのかしら、失礼しちゃうわね!


「えっ‼︎ おかしがもらえるおまつり! それもタダ! ぜひ行こう! 今すぐ行こう!」


 吸血レディとしては、タダとお菓子のコンボを見逃すわけにはいかないのです!

 

「連れてかないよ」


「まだなにも言ってないじゃない」


「どうせ言うんでしょ。『ねぇーミミー。ハロウィンに連れっててよー』って」


「じゃ、それで」


「おねだり、端折んなや!」


 ミミはシッポで床をタシィン! って大きく叩いた。でも、ミミの目があんまり怒ってないのを、わたしは知ってる。


「ねぇミミ。お願い!お願いお願い! お父さまも、お母さまも、みんなお出かけで、わたしだけお留守番なんてヤダ! それにタダでおかしがもらえるんだよ! わたしたち吸血レディの使命じゃない!」


「適当すぎだよ。お菓子を貰う吸血レディの使命ってなんだよ」


 わたしはミミを大きく上に差し上げ、必殺のうるうる上目遣いをキメた。わたしがちょっとでも泣きそうになると、ミミはすぐに根負けする。


「うー、わかったわかった! もう! しょうがないなぁ、ルーナは。泣くなよ! 連れて行くよ……。ただし、絶対に目立つな。キミの母君の耳に入ったら、ボクがどんな目にあうか…」


「やったー!ミミ、大好き!」


 わたしはミミをギューッと抱きしめた。


「ちょっ! 締まってる。ルーナ、力強すぎ!」


「てへ、ごめんね。うれしくってつい。」


「てへ、って口に出して言う人初めて見たよ。ホントに頼むよ。なんかボクをぶら下げながら『てへ、つい力入れたら死んじゃった』とか言いそうで怖いよ」


 失礼ねー、わたしだって加減はしてるわよ。うれしくってちょっと力が入っただけじゃない。それなのにオーバーすぎよ。

 でも、こんなこと言うと連れてってもらえなくなるから言わないけどね。


「だからごめんって。ホントにホントのごめん」


「なんか少し間があったけど、まあいいや。こっち、ついて来て」


 そう言うとミミはシッポをピンと立てながら、お庭の奥に進んでいく。

 魔界の門ってお城の外じゃなかったかしら? こっちで大丈夫?


 コテンと首を傾げながらミミの後を小走りで追いかける。


「ねぇどこ行くの? そっち薬草畑だよ」


「いいからいいから。ついて来て」


 ミミは花壇の間を抜け、薬草畑の方に進んで行く。


 花壇の中を黒猫がシッポをかか)げ、その(あと)を黒いマントをなびかせて幼女が小首をかしげてテトテトついて行く。


 アニメだったらきっと微笑ましいシーンだろうな。



 ………ん?


 アニメってなに?



 なんだろ。今ちょっと変な感じがしたんだけど。

 うーん……。


「どうしたの? ついて来ないと置いてっちゃうよ」


 立ち止まったわたしを振り返り訝しげに呼びかける。


「まって。いま行くよ。ちょっと何かを思い出しそうだったけど、わからなくなった」

 

 なんか変なの。まあいいや。それよりお菓子お菓子。

 

 花壇を抜け、薬草畑を抜けたところに、こんもりとした茂みが広がっていた。ミミがその茂みをかき分け入って行く。ここってお城の壁のとこじゃないかしら。壁を越えてお外に出るのかな。


 わたしはお母さまに可愛くセットしてもらった、お気に入りの髪が葉っぱまみれにならないよう、フードをすっぽり被る。


 ミミのシッポを目印に、茂みを進んで行くと、白い大きな壁の前に出た。やっぱりお城の壁じゃない。飛行魔法で飛び越える? それはマズイと思うなぁ。


「壁を飛び越えるの? 勝手に壁を越えたら、門番の衛士さんに怒られるよ。壁に穴を開けようとしたり、乗り越えたらわかるようになってるんだよ」


 ミミが胸を反らし見つめて来る。これは自慢する時のポーズね。なんだろ、いつもの倍くらい反らしてる。


「ふっふーん。ボクがそんなおマヌケなワケないじゃん。ほら、壁のココ。ココをしっかり見てごらん」


「あれ? 少し色が違うね」


「そう! よく気づいたね。褒めてあげよう」


 そのドヤ顔が、まったく褒める気がない事を表してる。


「で、その色違いのところがどうしたの?」


 抜け穴を隠してる? 穴が開いてたらすぐ見つかるし、小さな穴なら壁が勝手に直しちゃうし。うーん。


「ジャジャーン! ほらこれだよ。見て見てすごいでしょ!」


 ミミの魔力が触れた途端、白い壁がゆらりと歪み、墨を流したように真っ黒な、直径20センチほどの穴が開いた。吸い込まれそうな、異様な黒だ。


「穴開けちゃダメだよ! すぐ見つかって怒られちゃうよ!」


「大丈夫。これは穴じゃないから。これは人間界に通じる次元門なんだ。だから城壁のセンサーには引っかからないし、むしろ城壁の魔力を利用して維持してたりするんだよ」


 えーーー! こんなところに次元門! ちっちゃいけど次元門があるなんて。

 お父さまたち知ってるのかな。いや、知ってたのなら塞ぐかなんかしてるよね。


「コレどうしたの? 見つけたの?」


「うん? 作ったんだよ。って言っても2センチくらいの漏穴を見つけて、それを広げたんだよ。人間界に遊びに行くのに便利だと思ってさ。そして塞がれないよう隠蔽魔法でチョチョイとね」


 これ絶対怒られるやつじゃない? お父さまに言わなくちゃ。最近、父さまたちが忙しいのも、この漏穴が増えたせいらしいよ。

 なんでも年に数個、十個とか見つかったら大騒ぎな漏穴が、この数年で数十個単位で発見されているみたい。

 でも大きさは数ミリくらいで、こんな大きなのはさすがにマズイ。

 

 わたしは思っていたことも含めてミミに伝えたよ


「これ絶対ダメなやつじゃない? お父さまに言わなくちゃ」


「問題ないって。ボクは黒猫族だよ。隠すの得意、隠れるの得意、探すのも、見つけるのも得意。世界中の穴や通路はボクたち黒猫族の領域。次元門の管理もボクたちの仕事なんだよ。コレはボクが管理してるボクの次元門。誰にも手出しできないしさせないボクの門なんだ」


 なんだろ? ミミのこのハイテンション。

 さっきまで行くの嫌がってたのに。相変わらず気まぐれなんだから。


「さぁお菓子が待ってるよ。ハロウィン行くんでしょ」


 ミミが待ちきれない様子で促してくる。


「しょうがないなぁ。おかしを待たせちゃかわいそうだもんね」


 もともとわたしもハロウィンには興味深々だし、行かないって選択肢はない。怒られたらミミのせいにしよう。


「準備OK? ボクと一緒に潜るから離れないで。少し狭いけどルーナなら問題無しでしょ」


 そう言ってミミはシッポを長く伸ばし、わたしの手首に巻きつけた。


 まるい穴は20センチくらい。このままでも大丈夫そうだけど、念のため身体を霧状に変える。これで大丈夫。


 さぁ行きましょう。



 ミミと一緒に潜った先は、薄暗くて土くさいところ。周囲に明かりが見えてるから、息苦しくはない。

 おしゃべりするため、先に実体化してからミミに尋ねた。


「着いたの? ここはどこ?」


「にゃー」


 え⁈









 街に中にもハロウィングッズが溢れて来ました。

 そんな世間の様子にわたしも釣られ、ちょっとしたハロウィンのお話しを書いてみました。


ハロウィンまであと1カ月。

それまでには完了予定……です。



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― 新着の感想 ―
面白かったです 他のも良いけど、これが1番 ハロウィン過ぎてもいいので、長く続けてください
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