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⑥同僚との初顔合わせ! だけどメンツが濃すぎる!

 自分が傲慢の王(ルシフェル)スキル保持者とゲロッた後、危うく処刑されかけたわたし。死に物狂いで交渉し、さらに、


「…カエデを殺してどこの誰とも分からない人に傲慢の王(ルシフェル)を取られるよりも、手元に置いておいた方が安全。それに、ひょっとしたら他の七大罪を誘き出せるかも」


 というヒヅキの後押しもあり、なんとか難を逃れることに成功していた。


 ちなみにどうやって交渉したかというと、わたしのカルマポイントは130億。最強のスキルである七大罪が取得できるほど膨大だ。だからすべてのナイトメアスキルを見ることができる。


 つまりはそういうこと。スキルの詳細情報と引き換えに、わたしは命を買ったわけだ。ついでに、ちゃっかり1億VPも手にしちゃったりしている。まあナイトクランからしても、ナイトメアスキルの詳細は喉から手が出るほど欲しかったというわけだ。お互いにWIN-WINである。


 ただ不幸なお報せも一つ。基本的に同じナイトメアスキルを同時に、二人の人物が所持することはできない。つまりわたしの端末に表示されていないスキルはだれかがすでに取得済みということ。そして……


 七大罪スキルは一つも表示されなかった。


 つまり、そういうことだ。そしてそれはわたしにとっても由々しき事態だ。七大罪スキルは100億KPを超えると表示されると言われている。つまり、わたしと同格のKP保持者が世界に6人はいるということ。


 わたしの無敵伝説───終焉。


 七大罪スキル保持者の全員がわたしのKPを上回るとは思わないが、少なくとも数人はわたしを殺せる存在がいるということだ。くわばらくわばら……


 それはさて置き、フェイカーを狩る闇の組織「ナイトクラン」に、わたしは正式に採用された。ただ、当初ビャクヤから言われていた通りの、非戦闘職であるサポート役として雇用……とはならなかった。七大罪スキル所持者を目の届かない場所に放逐するわけにもいかず、結局はビャクヤの目の届く本部に留め置かれることになったのだ。そのついでに戦闘員としてもこき使われるらしい。トホホ……


 というわけで早速、わたしは同僚との顔合わせに向かうことになった。


 顔合わせというか、新入社員挨拶みたいなものだが。


 拘束されていた部屋を出ていくつかの階段を降りた先、木製の扉があった。その扉を開けたビャクヤに「どうぞ」と案内されるまま入った先、そこは真っ白な円形の部屋。外から見れば平べったい円柱に見えるだろう空間である。


 そしてその部屋の中央には中華屋さんで見るような円形のテーブル。その周囲には等間隔に椅子が並び、天井からはシャンデリアが吊り下がっている。


 そうしてわたしが部屋を見回していると、横からヌッと大きな影が現れた。


「あらぁん、この子が新しく入った子? 可愛いぃ〜」


 おかま口調で現れたのは巨漢の乙女。もちろん性別は♂。三つ編みにした青い髪を顔の横に垂らし、いまにも「キュアブルー!」と言い出しそうなフリフリの青いワンピースを着ている。ノースリーブ、ミニスカートから伸びるのはプロレスラー並みのゴツい手足。顎にはアクセントの青髭が。


「う、うぷ……」


 その冒涜的な姿の破壊力に、わたしは思わず吐き気を催して口を押さえた。


「あらあらぁ、大丈夫? 緊張しちゃったかしらん?」


 わたしの背中を優しく擦する巨漢の乙女。違うよ! あんたのせいだよ! 余計に吐き気が酷くなる。


 そうしているとビャクヤの呆れたような声が耳に飛び込んでくる。


「おいブルー。新人をいきなり驚かすんじゃない」

「あら、ビャクヤちゃん。べつに驚かしてなんかないわよ〜。と・い・う・か! なんでまたそんな黒コートなんか着てんのよぉ! 女の子なんだからもっと可愛いらしくしないと! せっかく美人さんなのにもったいないわよ!」

「ふん、余計なお世話だ」

「もぉ〜。ツンツンしちゃってぇ」


 ん? 女の子? 


 わたしは疑問に感じて視線を上げると、ビャクヤの胸部を凝視する。


 ……うん、マナ板……というか絶壁だ。


 そんなわたしの視線に気がついたビャクヤが笑顔を向けてきた。


「カエデ、どこを見てるのかな?」

「いえ、べつに……」

「なんで視線を逸らす? 言いたいことがあれば言ってくれて構わないんだぞ?」

「いえ、本当になんでもないです……」

「そうかそうか。カエデ、やっぱり死んどく?」


 そんな一杯いっとく? みたいなノリで言うセリフじゃない! 笑ってるけど笑ってない目も怖いし! なんかビャクヤの後ろに真っ白な般若が浮いているように見えるんですけど!? ス○ンドですか!?


 助けを求めて視線を彷徨わせる。するとちょうど部屋に入ってきた金髪のイケメンと目が合った。


「うぃーすっ。あれ、もしかして君が新人ちゃん? かわうぃーね! いまから一緒にお茶でもどう?」


 チャラい! チャラすぎる! てか今を何時だと思ってる! お茶に誘う時間じゃないだろ! 


 こいつもダメだ! と視線を彷徨わせる。


 するとヒヅキがその金髪のイケメンに歩み寄る。


「…ライト。ビャクヤがいるのにいい度胸」

「え……あぁ!? ち、違うんですビャクヤさん! おれはビャクヤさん一筋です! 決して新人ちゃんの女の子らしい豊満な身体に目移りしたとか、そんなんじゃなくて!」

「うん。うるさい。一回死んどけ」

「ぐはっ!?」


 金髪が白目を剥いて倒れる。うん。なんなんだこいつは。


 しかし金髪とビャクヤの関係についてなんとなく察し、わたしはニヤニヤとビャクヤに視線を送る。


 ビャクヤさんけっこうモテるじゃ~ん!


 しかしニコリと恐ろしい笑み向けられ、わたしは視線を逸らした。ビャクヤさん怖いです!


 そしてその視線を逸らした先。そこにはピンク色の髪を持つ少年の姿。重度の斜視らしく、両目が別々の方向を向いている。無造作にのばされたぼさぼさの髪も相まって、まるでお化けのよう。


 その少年に気が付いたビャクヤが声を掛ける。


「やっと来たか。モモ」

「きゃきゃきゃ! ビャクヤさん。もしかしてぼくが最後?」

「ああ。おまえが最後だ……よし、これで全員揃ったな。ではさっそくミーティングを始める」


 そのビャクヤの掛け声でぞろぞろと動き出す一同。その中でわたしは石像のように硬直していた。顔ぶれを見回す。


 ……待って。これで全員? ……ろくなやつがいねぇじゃねぇかぁ!?

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