LXXXII 水面下
うーん…そりゃまぁ急に友達が「一緒に住むから!」って言って同じ苗字の人連れて来たら怖いもんな
いや夜月たちは怖いと言うより怒ってる…?
敬愛する人が結婚報告したみたいな?
いやちょっと違うか
「で、お嬢様、この者との関係は何なのですか?」
「キ…キョウダイデス…」
ちょっと苦しすぎるか…?
『いやでも体は同じのを元にしてるから遺伝子も近いしきょうだいと言っても過言ではないのでは?』
そうかね…?
「…なんだ、そう言うことでしたか、ではそれが本当か確かめるためにリー様にも聞いてみましょうか?」
それはまずい、非常にまずい
リーは絶対「いや知らないけど…」って言うと思うし…
どうしよ…
『生き別れてた設定は?』
なしかなぁ…取ってつけた感が…
『じゃあもうほんとのこといいなよ、楽になるぜぇ?』
…そうだね、そうしようか
「本当のことを言えば受け入れるかもしれませんよ?」
「あー…正直に言うと、リエルは…創造神で、私に…憑いてる?んだよね」
「ではお嬢様はやはり創造神…!」
「いや正確に言うと創造神の権能をもった吸血鬼だから…」
「ではリエル…様は特に悪意もなくここに住みたいと?」
「そーゆーこと!せっかく体が手に入ったんだし、リミーと一緒に住みたいもん!」
全く、リーになんて言われるか…
「悪意がないなら大丈夫です。先ほどはご無礼を働きましたこと謝罪させてください」
「いやいや、大丈夫だよ!ここに住まわせてくれるなら何もいらない」
まぁならいっか
「とりあえず、今日からリエルがうちで住むことになったので、仲良くするように」
「かしこまりました」
「何かあれば何なりとお申し付けください」
いつか、リエルの妹…シズァとも過ごせるといいけど
「じゃあ私はウィアードのこともあって忙しいから、一旦席外すね、何かあったら呼んで」
「かしこまりました」
館:書斎
ふむ…なんか情報はないものかねぇ…
シオンちゃんが対応してくれるとはいえやっぱり不安よなぁ…
『ねえリミー?』
どうしたのリエル、なんかあった?
『トープ州で沼人が発生してるって』
それってあの思考実験か何かの?
『そう、ウィアードが管理してるらしいんだけど、何が起きるかわからないし…』
沼人ってなんだっけ
『例えばリミーが水溜まりのすぐ横で雷に打たれて死んだあと、その水溜まりに雷が落ちて、その拍子に原子レベルで同じリミーが水溜りでできるの、そのリミーは自分が死んだことも忘れて、自分がコピーであることも忘れてこれから先を過ごす…みたいな思考実験だね、確か』
なるほど、何がどうやばいの?思考実験なんだから現実にはいないんじゃ…
『鬼子がいた世界ではそうかもしれないけど、こっちじゃ沼人は魔物になってるくらいだしね…』
なるほど…でもどんな風にやばいのかあんまりわかってないけど…
『沼人は繁殖のために人を殺して複製する…それに気づく者はいない…これ即ちみんな沼人になるかもしれないってことだよ』
それは…やばいね、どうやって倒すとか、分かってないの?
『多分普通にリミーが手を下せば死ぬだろうけど…誰が沼人なのかわからない今、やらない方がいいと思うよ、』
なるほど、じゃあ一旦は待ちだね
小話:沼人を出そうと思ったきっかけはTRPGから
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