LIX 格物致知
今わかってるのはあのブレザーっ子が夜桜を傷つけたこと。
名前は…なんだっけ
『紅夜ね、鬼の少年』
同じ鬼とはいえ、うちの従者に傷つけられちゃ黙ってらんないよね
どうやってぶっ飛ばしてやろうか
「お嬢様、黒呀です、入ってもよろしいでしょうか?」
「うん、大丈夫だよ、入って」
なんだろ、黒呀には偵察に行かせてたはずだけど
「報告です、ナスタチウム州にユウリ率いる冒険者集団が入りました、ですがユウリは何らかの要因で入れていません」
「なるほど、冒険者が…目的はわかる?」
「ライアント諸国に帰るのが目的のようです」
「ってなると必然的にマチタン州を通るんじゃないかな」
「いえ、どうやらユウリが転移場召喚なる技能を習得したらしく、魔素さえあればどこへでも行けるそうです」
なんて厄介、リエル、パクれる?
『ちょっとこの世界の神ちゃんと相談しないとかなぁ』
面倒な相手?
『いやぁ?私の話術があれば余裕も余裕、ただ相談する間はリミーとおしゃべりできなくなるんだよね』
うーん、リエルを失ってまで手に入れる技能じゃないな、やっぱ平気
『リミー…』
リエルがいないと突撃ができない
『あぁ…』
うーん、でもユウリがいないなら一旦はほっといて大丈夫かな
「どうなさる予定で?」
「ほっとくよ、なにかやらかしたら言って、じゃあ少し休んだらまた偵察お願いね」
「仰せのままに」
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ナスタチウム州:バーミリオン宮殿
「バーミリオン様、冒険者です」
「冒険者がどうした?」
「国内には入れていないですが神楽優里がいました」
「あぁ、あのドルニの一番弟子だったか」
面倒だな…リミーから言われてた情報だと独自技能があの黄金不死鳥に傷を負わせるほどのものだったか
厄介だ…金不死鳥や黄金不死鳥は人型じゃないから魔王になれなかっただけで魔王に匹敵する力を持っている。それに傷を負わせるとは…ただ者じゃないな
まぁ入ってないならいいが…
「取り敢えず監視はしておけ、最近何かと物騒だからな」
「あらまぁ、女の子一人くらい、いいじゃないの」
「ジョン…私の杞憂かもしれないが、あの少女は何か持ってる、一国の主として不安なのだ」
「あらそう、わかったわ」
ジョンは楽観的だな
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ナスタチウム州付近
うぅ…暑い…水なくなっちゃうよ…
森で過ごしてたからサバイバル経験はあるけど、さすがに砂漠は無理…
アレンに会いたい…
「あれ、ユウリ?」
「アレン!!どうしてこんなところにいるの?」
「帰ってくるのがあまりにも遅かったから探してたの、こんなところにいたなんて」
安心感パナイ…
「試験中に夜月っていう魔王の側近に襲われてさ…」
「夜月…」
「何か知ってるの?」
「いや、気のせいね、兎にも角にも今は帰ることを考えないと…」
うぅ…どうやって帰ろう…?
従者ラブなリミーちゃんです
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