XLII 伝えること (レイチェル視点)
XLIの「進捗」のレイチェル視点です。
良かったら
R07/01/04・編集
夜月が言った
「お嬢様がヴァレリア様が接触しました、その上奥様の身体も見ています」
と、見たからには伝えねばならない
理由は簡単、記憶を失う前のリミーはヴァレの行動に気がついていた
もし忘れていたら伝えて欲しいと言われたからだ
彼女に伝えるのは気が引ける、義理とはいえ姉が敵なのは辛いかも知れない
それに人間だったことは今まで隠していた努力が泡になるのだ、心に来るだろう
伝えるのが怖い、足が竦む
もしも拒絶されたなら、どうなるだろう
追放?口封じ?でもきっと彼女ならしない
そんな絶大な信頼と莫大な不安で押し潰されそうになる
呼吸が荒くなる、体が震える、悪い妄想で頭が埋まる、目の前の景色が滲む
「レイチェル様、大丈夫ですか?コーヒーを持ってきましょうか?」
「あぁ、トイフェル、そうね。お願い」
「わかりました、なるべく早く持ってまいりますね」
優しいのねトイフェル、あなたの持ってきたコーヒーが私の目を冷ましてくれる
そうよ、リミーが頑張ってるじゃない、やらなきゃ、
伝えることは酷かもしれない、けど身内が禁忌に手を染める方が彼女は落ち込むわ
しっかりなさい、レイチェル・ビブリオテーク。
彼女がくれた名前を胸に抱えて足を進める
まだ全身の震えが止まらない、怖い、けどやらなきゃ
彼女と、ヴァレリアを守るために
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リミーに話す時が来てしまった、怖い、怖い
深呼吸して、大丈夫、リミーはそんなことで嫌いになんてならない
リミーに人間だったことを知ってること、奥様のことを伝えた
鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をして驚いていた
当たり前よね、隠していたことがあっさり言われちゃったんだから
最初こそ隠そうとしていたけど、案外あっさり認めてもう隠さなくていいなんてと喜んでいた
良かった、幻滅されなくって
そしてヴァレリアのことも伝えた
禁忌の恐ろしさを覚えていないリミーはこっちが関わることでもないと言っていたが、それにより魔王に及ぶ迷惑の話をすると手伝ってくれることになった
やっぱりリミーは魔王のことに対しては優しいのね
でも全てを話してもリミーは私たちに対しての対応を変える気配はなかった
そのおかげか安堵して緊張の糸が途切れてしまった
さっきの発言少し変えるわ、
あなたは魔王と従者のことになるととっても優しいのね
緊張が解けたお陰と言うか所為と言うかだんだんお腹が空いてきちゃった
前に言ってたお雑煮でも食べましょうか
緊張が解けたお陰と言うか所為と言うか恋人というか奥さんというか…
そんなことを考えながらリミー視点とは違いシリアスな感じと心理描写を頑張った話です
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