XXXIX 嫌われ者
R06/01/24・編集
おねぇちゃん、おねぇちゃん?
何を言っているんだこいつは
私は妹なんて…いたかもしれないな
記憶喪失ってこう言う時厄介
とりあえず多分この子が私の妹…なのかな?
「えぇっと…ごめん、君が誰か私はわからないんだけど…」
「あ、そっか、私はクロリス・クレアお姉様の義妹でヴァレリア姉様の実妹」
ややこしいな
私の義理の妹で、ヴァレリアとは血の繋がりがある、めんどくさ
そういやヴァレリアがクレアがどうたらって言ってたよな、それか
ヴァレリアの妹なら苗字がジェードなんじゃ?って思ったけど口に出すのは野暮か
「そうなんだ、そういえばヴァレリアがクレアがなんちゃらって言ってたし、君のことなのかな?」
「ヴァレリア姉様と会ったの?」
「え、まぁ、うん」
「…まだ生きてたのかよあのババア…」
何やら不穏な雰囲気、え、何?仲悪いの?ごめんね?
でもヴァレリアは仲良いみたいな雰囲気出してたけど…
ってかあいつババアとか妹に言われてんのか、ウケる
「仲悪いの?」
「あんまり、ヴァレリア姉様は家族間でもそんなに好かれてないからね、」
「そうなんだ…知らなかった」
「そうだ。ヴァレリア姉様と会ったならお兄様とも会ったの?」
「いや。まだかな、なんて名前かも知らないし」
「じゃあ連絡取るから、少し待ってて」
なんか、妙に大人びた子だなぁ…
やっぱ吸血鬼だと見た目年齢と釣り合わないのかな?
青っぽい緑の髪と目にポニーテール、メガネをかけているからか少し大人びて見える
中学生くらいの風貌で話し方にも思春期特有のアレが出てる
アレが何か?知らん、だってリエルが言ったんだもん
でも悪い子ではなさそう、思春期で世界を焼きたくなるほど妬むのは私もあった
家族間での仲の悪さは知らん、単に仲悪いとかでしょ
「もう直ぐ来るって」
「その…お兄様?ってやつ?」
「うん、パイエオン・メディカル、確かどこかの国で医者をやってたはずだよ」
お医者さん、すごそう、ってか吸血鬼の医師なんているのか、この世に
というかさっきから気になってたことがある
リヴィいなくね?
どこ行きやがったあいつ、まさかわかっててここに呼んだな?
兄妹仲なんて気にしなくていいから飯さっさと奢らせて欲しいんだけど
「クレア?呼んだか?」
「うん、ごめん、キツいよね」
白髪に赤い目…白髪にしては色素がないみたいな…
あ、わかった、アルビノだ、先天性白皮症みたいな名前の
和服を着てて、腕なんてすぐ折れてしまいそうなほど細い
確かアルビノって太陽の下を歩けないんだっけ、それのせいかな
でも吸血鬼なら体が多少弱ってるくらいなんじゃ…
『パイエオンは人間だよ』
まじすか
「リミー、起きたのか、忘れてるよな、パイエオン・メディカルだ」
「あ、うん、わかった。ヴァレリアとは兄妹なの?」
「いや、俺は養子に取られた元孤児だ。ヴァレリアやクレアとは血のつながりはない」
そうなんだ、やっぱりアルビノのせい?
親から嫌われるって、相当堪えるよな
「そうなんだ、やっぱり知らないことが多いや」
「気にするな、ゆっくり覚えていけ」
あらやだイケメン、リヴィの次くらいにイケメン
あいつと違って性格もイケメンだけど
にしても母様はなんでこんな子供かき集めてんの?
子供好きにも限度あるくね?
まぁいいや、知らない方がいいことだってあるよな
「そうだ、後でルナ姉にも会うといい、どうせまだ会ってないだろ」
「うん、知らない」
「ルルベイア州で生き延びてるはずだぞ」
生き延びてるって何?生きてて普通じゃないの?
まぁ会えばわかるか
「それじゃあな、またそのうち会いに行く」
朗らかな笑顔でそう言ってきた兄に、私は来なくていいと言えなかった
とにかく今はルルベイア州に行かないと
ってか結局飯食わなかったな…
登場人物が多いですが魔王とリエルのことだけ覚えてれば大丈夫です
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