LXXXVII 血に降られる
ジェノサイド・メシア共和国
やはり何か引っかかる...
吸血鬼のあの行動はなんだ?
吸血鬼が暴れたなんて話は聞かないし...
何が目的だ...?
「カトレアです。入ってもよろしいでしょうか」
「構わん、入ってこい」
「ご報告があります」
「どうした?トープ州に関することか?」
「はい、トープ州から帰る際修道女に似た格好の人間を見つけました」
「それで?」
「その修道女が向かっていた方向にリミー皇女殿下に似た魔力を感じました」
リミーに似た魔力...?となるとリエルか?
「移動中の修道女の会話から察するに皇女殿下と戦闘に入った可能性が高いです」
「戦ってる最中のことは見なかったのか?」
「申し訳ありません、見ようとは思ったのですが少し動いた際修道女から威嚇を食らいまして...」
「まぁ別に構わんが、ユウリとの戦いはどうするつもりだ?またトープ州に行くことになるが」
「それに関しては大丈夫です」
カトレアがいいなら構わんが...
「ただどうしますか?トープ州に戻る際皇女殿下の手助けをしましょうか?」
リエルなら大丈夫なはず...
ただ吸血鬼がいるからな...
「少し見て手助けが必要そうなら行けばいい、」
「かしこまりました」
リミーが帰ってきたら色々聞かないとな
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意識が朦朧とする...流石に殴られ過ぎたか...
アイツ...リエルは...今どこに...?
...まぁどうせ、アイツのことだし、俺のことは見捨ててるだろうな
リミーの体だし、気を失ったら連れて逃げるだろ
「まだ息してる?しぶといね」
「ネクロが殴るの下手なだけじゃない?」
「まぁ、別に死ぬまで殴ればいいだけでしょ」
舐めやがってよォ…
ちゃんと動けよ...今は俺の手足なんだからな!!
「うおっ、まさか動き出すなんてね」
「さっさとトドメ刺さないから~」
「俺は負けてねェ!」
「うーっわ、なにこれ汚いなぁ...濡れるし、最悪」
「傘でも持ってればよかったわ、最悪」
俺の技能は、言ってしまえば白夜の劣化版だ
自分の血しか動かせねェし、最悪出血多量で動けなくなるし
ま、俺はそう簡単に死なねェからな、さっきみたいに血ィ降らせることも出来る
なんも考えず血に降られたな?
「血壊!!」
「うわ!なにこれ気色悪い!生屍でも腐乱死体みたいになってるじゃん!」
「フフフ...今まで沢山体に傷をつけたけど、体が腐る経験は初めてだわ...フフフ」
「タナト!ニヤニヤするのやめて!それよりこれどうにかしないと!」
「どうしたクソガキ!さっきまでの威勢はどこいったァ!?」
「少し優位に立ったからって調子に乗るなよ!」
「弱い犬ほどよく吠えるってやつかァ?無様だなァ!」
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吸血鬼が思った以上に動けてる...
タナトともネクロとも戦えてる...でも、優勢に立ってるかと言われると難しい、
吸血鬼は致命傷、人間なら死んでるレベル、タナトとネクロは...うーん、わかんないけど、結構キツそう?
でもこのまま戦わせてもジリ貧だ、吸血鬼も生屍も無駄に生命力があるんだよなぁ...
しゃーなし、この手は使いたくなかったが...
「吸血鬼!もう少し耐えてて!」
「耐えるどころか勝っちまうわ!」
「余裕があるねえ!」
...ま、タナトはいないのと同義だし、大丈夫でしょ
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