LXXXVI 取捨選択
神魔魔法をもろに食らうあの生屍二人組はただじゃすまない...
でも突っ込んで攻撃しに行った吸血鬼もただじゃすまない...
「ハハッ!髪にかすりもしてねェぞ!ヘタクソどもが!」
「髪にはかすってないけど、耳には当たってるみたいだよ?」
「耳にはかすってるんだから、ちゃんと避けたらいいんじゃない?」
「クソガキが!」
...お互いに五分五分、譲ってない、でもこれから吸血鬼の方が優勢に入る...となると私にできるのは後方支援...?
「リエル!そっちの水色はお前を狙ってるぞ!避けろ!」
「アッハハ!バレちゃうなんて思わなかった!貴方とっても目がいいのね!」
「ウッフフ!でもよそ見はよくないのよ!目はよくても視野は狭いのね!」
「吸血鬼!後ろからネクロが!」
いった...とっさに避けたけど側頭部に掠った...吸血鬼は...?
「ゲホッ...ゴホッ...」
「吸血鬼!」
「そりゃ、巨木で後頭部殴られたら痛いよねぇ?」
「そっちの白髪は無事みたいだけどね」
どうしよう...どうしたら...
口から血を吐く吸血鬼と、9mはある巨木を持って薄ら笑う少女、
吸血鬼を殺そうとするタナト、でも手は出せない
タナトもネクロも吸血鬼に近い、攻撃したらほぼ間違いなく吸血鬼に当たる...
...いや、何を迷ってる?吸血鬼は死なない、それにリミーの体を使う悪人...
吸血鬼が一定のダメージを受けたらリミーに戻る可能性もある...
ならやっぱり吸血鬼の意識が飛ぶまで待って、気絶したら吸血鬼連れて逃げればいい...
「さ、これで終わり、そこのお仲間さんに助けてもらえなくて可哀そうね」
「やっぱり信頼関係が築けてないとダメだね、可哀そう」
どれだけ煽っても私の決意は揺らがない
見た目が完璧リミーなせいでちょっと心が痛むけど...
「お話は終わり、持つの疲れたからネクロ、代わりにやって」
「りょーかーい」
「敵の前で仲良くお話してんじゃねェよ...ガキンチョが」
「へぇ!生きてた!君には期待してなかったけど、生命力はあるみたいだね!」
「バカにしやがって...」
吸血鬼が生きてることはあんまり喜ばしくない...
なら吸血鬼の意識が飛ぶまで戦わせる?
今はこれが正しい選択のはず...
「あ!あいつ上に逃げたよ!」
「別にいいでしょ、赤髪にトドメを刺してから追えばいい」
吸血鬼にトドメを刺した後、急いで連れて帰れば大丈夫なはず...
「さ、これで終わりだ、恨むなら、助けてくれないお仲間さんを恨んでね」
これで終わりね、さようなら吸血鬼、もう二度と表に出てこないでね
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