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思春期のユリウス・カエサル  作者: くにひろお
カエサル、弁護士になる

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借金をする

大きな寄り道をしつつそんなに得るものがなかった旅を終えローマに戻ってきたカエサルにはある大きな問題が控えていた。

痩身の若者は頭を抱えていた。

久しぶりにローマに帰ってきてみたのだがクリエンテスのゴルバンスにも口約束をしたお金の支援を行うのに、おじであり有力な元老院議員のアウレリウス・コッタにお金を借りようとして断られてしまったのだ。


どんなことでも相談しろと言ってくれたのに素直に相談すると、金は貸せない、という回答だったのだ。


さてどうしたものか。

コッタはまじめだからあまり金の貸し借りとかはしたくなかったのかもしれないな、と考えながらも今回は危機感を感じていたカエサルは珍しく食い下がった。

しかし何度もの話し合いでもコッタも譲歩しそうな感じにはなかったのであきらめてコッタ邸を出ようとしたところで、若い身なりのしっかりとした若者が声をかけてきた。

「カエサル、どうした?久しぶりだな。」

目線を移すとそこには、コッタの元で政治を学んでいるはずのキロが立っていた。

「キロ!元気にしていたか。私は元気じゃないが、ちょっと一緒に話ができないかな?」

「微妙な問題をかかえているって聞いたぜ。」と笑う。

「知っているなら話は早い。相談に乗ってくれ。」

そう言いながら2人は再会を喜んでコッタ邸を出た。


キロとカエサルはスブッラにある秘密基地に久しぶりに向かった。ダイン、ジジ、ザハも今回は一緒だ。キロによるとコッタが金の助けはできないが、キロが知恵を貸してやれ、と言い時間をくれたそうだ。キロはキロで忙しい中を時間を作ってカエサルと話をしようと思ったらしい。


ありがたいと思いカエサルは素直に相談する。

キロは頭をかかえながらカエサルの説明を整理しながら言った。

「もともと持っていたカエサル家の金を、ゴルバンスの救出のためとピサの学者との実験につきあって使い切ってしまった。それなのに、お前はゴルバンスに結構な額の金を支援すると約束していた。

もっと金がいる状態だということだな。」

「思った以上にお金がかかってしまったんだ。」

「それはお前、誰も言わないけどお前のせいだろ。ゴルバンス救出はすげえよ。わくわくするような冒険と救出劇だ。さすがカエサルだ。そのあと、金をかけないために素早くローマに戻ればよかったのにだらだらボロニアを経由して旅を楽しんでピサで学者の実験につきあったってなんだ?」

カエサルも周りの3人もさすがに苦々しい表情になったが、キロは構わずにつづけた。

「面白いよ、面白いけど、ゴルバンスにやはり金がないって撤回するにも時期を逃した感じだな。今や期待して待っているんだろ?」

「そうなんだ。そこは申し訳ない部分もある。」

「まあ、お前の気前の良いところはいいんじゃないか。今更責める気にもならない。しかし、ダイン、ジジも少しはカエサルに忠告をしてやりなよ。お金使いすぎてるよ、とか」

ダインとジジも突然のとばっちりを受けた感じだが、頭を下げるしかない。

「今後は少し言うようにします。」

ザハにとっては、恩人でもあるカエサルに意見をするなんて、という気持ちがあったが、今後は何か指摘できるように頑張ります、と言った。

キロは全員を見ながら頭をかかえるそぶりをして

「ああ、持ち金がやばそうとかそういうのを言うやつが今いないんだな。そこは周りの奴らが何か言うことだ。言いづらいかもしれないがカエサルに任せておくと旅をしていても金がなくなってしまうからな。」

「いや、そこまでひどくはないぞ。」と必死にカエサルも反論する。

「ローマからの逃亡の時だってうまくいっていたじゃないか。」とふりかえった。

「そんなことあるもんか。ローマから逃げたときだって俺が指摘していたし、たぶん俺と別れた後はペノとかジグルドがしっかり管理してくれていたんだろう。」

「確かにペノさんとかジグルドはしっかりしていましたね。」とジジがつぶやいた。

特にペノは早い段階からカエサルの無駄遣いを指摘していたのを全員が思い出した。

結局、ダイン、ジジ、ザハも今後はカエサルのお金の管理をしっかりと見張ることにしたのだが、今お金がないことについての問題がまだ解決していなかった。


悩むカエサルとうつむいている3人を見ながら、話が停滞していたのを見て、キロは話を変えてみた。

「仕事どうするんだカエサル?法律の改定が行われても30歳まで元老院議員になれないなら、いろいろやることあるだろう?」

話が変わって全員がほっとした。

「ああ、それなんだが、弁護士を開業しようと思う。」

とカエサルが言う。他の者は初耳なのだが。

「弁護士か、なるほどね。先生にも弁論の技術を習っているし、法のやりとりもできる。うまくいけば名前もあげられる。いいんじゃないかな。」

「ああ、そこで名をあげてさまざまなところにつながりをもって置こうと思う。」

「しかし、それじゃあ今、金がない、という問題が残ってしまうな。クラッススと仲が良いんだったら金を借りれないのかな?」

「そうだな、金は借りられると思う。しかし金を借りて動きができなくなるとクラッススの子分になってしまうというところが気になるな。」

「確かに。あいつはそうやって自分の支配力を増やしているからな。うーん。」

カエサルは悩ませながらも言った。

「クラッススは悪い奴じゃないし、話せば面白い奴だと思う。それに思った以上にいろんなことを考えてくれているんだよ。しかし傘下に入ることは避けたいな。」


そのあといくつかの話し合いを経て、クラッススからの借金を借りすぎないことに決めた。

全体の半分まではクラッススを頼ってよくて、理想は1/3程度に抑えておくことだ。

そして、その方向性はクラッススにも共有しておこうという話になった。


結局、コッタの伝手を使って関係者の貸金業をやっている男から金を借りる、

クラッススに金を借りる、

後一人についてはクラッススと別の独立している貸金業の者から金を借りることにしたのだった。


その後クラッススにも借金の相談をしたカエサルだがクラッススはすぐにそれを快諾した。

クラッススにしてもカエサルに過剰に肩入れしているとみられなくなかったのだろう。

もう一人の借金の相手についてもクラッススから提案があった。


アッティアと言うその老年に差し掛かった男が行っている店で、昔、カエサルの父が少しつきあったことがあるが民衆派でもなく元老院派でもなく、基本的に元老院と関係を深く持たないという方針の店のようだった。

クラッススもローマの支配をもくろんでいるが正体が見えないアッティアの貸金の情報が欲しかっただろう。

互いに持ち持たれつだな、と思いながらもそんなことはおくびも出さずにカエサルはダイン、ジジ、ザハを連れてアッティアの店に借金の相談に向かった。

借金をすることになったカエサルは親交のあるクラッスス親族であるコッタのつながりから借金をすることになった。

そしてもう一人、ローマ市内で活躍する貸金業の男の元を訪れたのだが・・・

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