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思春期のユリウス・カエサル  作者: くにひろお
豊かなるアシア
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マリナス邸強襲

イレイア商会を攻撃されたカエサルは元老院議員、マリナスを悪とみて復讐と反撃の機会をうかがった。

「あなたの怒る気持ちはわかりますが無茶ですよ。相手はローマの元老院議員なんですよ。」

歩みを止めないカエサルに対してエセイオスが必死に止めようとする。

何度か食い下がるエセイオスに対して足を止め本人を見ながら言った。

「私は、私がやりたいようにやる。条理を破った獣を狩る。それだけだ。」

「しかし、その後言い訳がたたなくなってしまいます。しかも相手はファビウスの一門なんですよ?」

歩みを止めた。そして、エセイオスを見ながら

「ファビウスの名前を恐れてお前は何もしないのか?」と静かに聞く。

「ファビウス一門がどれだけ力を持っているか知らないわけではないでしょうに。スッラの耳に入ったら再び逃亡を余儀なくされるかもしれませんよ。」

「スッラは動かない。しかし、お前はスッラが動くかもしれないからと言う理由で条理を超えた獣を放置しておくのか?」

「もうそこまで決意されているんだったら何も言えませんが・・・。はぁ。」

「そんなにファビウス一門に手を出すのが気になるなら、私についてこなくていいんだぞ。」

と言って再び歩き出した。

エセイオスはその場にたちすくんだ。

エセイオス以外の仲間は全員カエサルについていく。


カエサルを慕う兵士や、「リビエラの自由な風」のメンバーもどんどん加わり歩く仲間たちが増えて行った。

ただ一人止まっているエセイオスを見て、ルチャが言う。

「名門貴族様かどうかわからないが、寛容なカエサルがあそこまで怒っているんだ。それにジグルドやイレイアのお嬢さんにあそこまでひどいことをした奴らは許せねえ。ラナだって死んでいたかもしれないと思うと俺はローマ軍を首になってでもマリナスを殺すぜ。」

と言ってエセイオスの肩を叩いて歩き出した。


マリナスの館は、もともと商人の館で外から入りやすい形になっていた。

そして、マリナス自身は、ガルパンを殺し、カエサルの女を狙って死なないが、歩けないくらいに痛めつけたことで怒りが収まっていた。

殺すのではなく、死なない程度、がどの程度かわらかないが美しい少女が取り返しのつかない傷を負って今後生きていくのを想像すると調子に乗った若者ならすぐに別れざるを得ないだろう。

そう想像すると快感を覚え、人が見ていたらぞっとするような冷たい笑顔になっていた。

想像を肴にして、一人で酒を飲む。


マリナスに仕え、今回の襲撃の指揮をした使いの者がいたがしょせん使いの者である。

共に酒を飲むようなことはなかった。部下を侍られて酒を飲み、ツマミを口に運んだ。


カエサルは怒りを覚えながらも冷静に敵を制圧する頭は働かせた。


マリナスが居を構えた商人の館は正門と裏門、横門の3つがあった。商人の家らしく横門は狭く従者や奴隷が主に使い、裏門は人が入りやすいように広く大きく作られていた。

表は、マリナスの趣味なのだろうか、入口付近がさまざまな彫刻や植物で装飾されて、芸術的な美しさを醸し出していた。

カエサルは自分は正門から切り込むから、横門を完全に封鎖出られないようにしろ、とアルバニスに指示をした。

アルバニスが横門に向い、数人の武装した男が付いて行った。

そして、裏門は中から開けないようにしろ、とルチャに指示をした。

ルチャは了解して何人かを連れて裏にまわろうとする。

ルチャが少しだけ迷ってカエサルに質問をした。

「女や子ども逃げようとしたらどうしますか?」

カエサルは言い放った。

「一人も逃がさず殺せ。」

冷たい目で言うカエサルに頷くことで答えた。


方針は決まり全員が配置につく。

横門が完全に封鎖したとの連絡が入り、裏門にはルチャにロボスも加わって仲間たちが10人以上いた。

正面は、カエサル、ダイン、そしてザハ、タウスス、タウロ、そしてタウスス、タウロを慕っている元メンバーたちが後からつづくことになった。


それでも間をぬけられないように後詰めで、ハナル、ジジ、横門を封鎖したアルバニスも加わって数名が

出口前で待機することで完全封鎖をすることになった。


逃げる場所を抑える動きをしながらカエサルは仲間を連れて正門にまわった。

正門は、何人かの衛兵が見えるが、市内で襲撃をしてから日付もたったせいか、自分たちが本気で攻められると考えていなかったのだろう。兵士たちは油断しきっている。


「ぐあっ」

一瞬の悲鳴があがる。

入口のあたりにいた6人の門番は、あっという間に不意打ちをされたことで簡単に殺すことができたが、

さすがに死ぬ間際の絶叫、悲鳴を完全に防ぐことはできなかった。


悲鳴を敵があげながら絶命するのを見て、カエサルは仲間たちと急いで中にはいっていく。敵が体制を完全に整える前に突撃していった。

すぐに大広間に到着すると、何人か動く者がいたが全て、カエサルの仲間たちが斬り殺していった。

大広間からは幾つもの部屋に別れていたがさらに奥には、マリナスに使える兵士や奴隷、召使なども何人もいたが、命ごいするもの、武器を持ってなぐりかかってくるもの、寝起きでゆっくりうごいているものもいたが、動く者すべてを殺して奥に急いですすむ。ただ殺される者の悲鳴だけが大広間に響き渡る。


奥の部屋でマリナスの家族らしき者たちを発見した。

庇おうとする兵士たちもいない。中年の女が2人、若い少年たちが2人、小さな子が2人だ。

躊躇したザハを横目に何か言おうとした中年の女に斬りかかりそれを合図に全員が一人ひとりに剣をつきたてた。


そして、一番奥にいくと、身なりを整え、剣を持った威厳のある男が周りに数人の兵士を従えて立っていた。男はカエサル達に向かって、

「どこの賊だ?」と聞いてきた。

「ガイウス・ユリウス・カエサルだ。」

男は、鼻で笑いながら言った。

「カエサル家の子倅か。ガルパンごときにしっぽを振る犬になり下がった貴族め。夜襲などという汚い手段に出て、このマリナスが成敗してくれるわ」

と言って剣をふりかざしてきた。

それと同時に、周りの兵士もきりかかってくるが、そこはカエサルの連れた仲間たちがそれぞれに相対した。


鋭い一撃がきたが、剣でいなしながら、カエサルが言う。

「獣が吠えるな。」

と言いながら、いなした剣でマリナスの身体貫く。

マリナスの身体が前のめりにくずれおちるところにカエサルが背中から踏み地面にたたきつけた。

「ごふっ、ぐ、貴様。」

苦悶と文句の言葉を発した男の頭を足で踏み抑えながら、

「何か、言う言葉はあるか?」

何かを言おうとしたマリナスの喉を刺した。

「うぇぇぇぇ」

単なる悲鳴だけがあがる。

「獣の言葉はわからないな。」

そして、足の裏をごっそりと切る。

これで、マリナスは歩けなくなった。

苦痛にのたうち回りながら、転がり何か言おうとするが、喉をやられていて声がでないマリナスを尻目に、周りを見ると、周りも敵を圧倒していた。

カエサルは全員に指示を出す。

「よし、全員金目のものを持って外に出るぞ。」


まだ息のあるマリナスと絶命した兵士達がいるなかで、金ものものをさっとあさったカエサル達は、全員が部屋をでた。

扉をしめ、中から開けられないように、調度品を扉の前にもってくる。そして、調度品で扉を封鎖したあと、カエサルは「よし、火をかけろ」と言った。


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