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【Web版】俺の『運命の赤い糸』に繋がってたのは、天敵のような女子だった件  作者: 赤金武蔵


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第85話

   ◆



 1時間後。部屋に戻って来たご両親は、さっきと同じ場所に座った。

 険しい顔のお父さんに、どこかそわそわした感じのお母さん。

 この2人も心配してるのか、落ち着きがない。



「では……璃音さん。皆さんで出した答えを聞かせてもらいます」

「……はい」



 ご両親に、俺達が出した答えを伝えた。

 腕を組み、静かに聞くお父さんと、竜宮院を真剣な眼差しで見つめるお母さん。

 邪魔をせず、何も言わず、ただ聞き手に徹する。


 そして竜宮院が全てを伝えると、お父さんがゆっくり口を開いた。



「そうか……それが、璃音の出した答えなのだな」

「はい、お父様」



 ご両親は互いの顔を見ると、お父さんはそっとため息をつき。






「うおおおおおおおおおんッ!! よ、よかったあああああああああああ!!!!」






 泣いた!?

 しかも号泣。号泣も号泣。大号泣だ。

 隣に座るお母さんも、安心したようにほっと息を吐いた。



「……え、えっと……お母様、これは……?」



 困惑気味の竜宮院。当然、俺達もだ。

 なんだ? どういうことだ?


 俺達が困惑しているのを察したのか、お母さんが目に溜まった涙を拭い、続けた。



「親の幸せは、子が幸せであること。もし私達と絶縁してでも幸せを掴みたいと思うなら、私達にそれを止める権利はありません。いくら我が子でも、その人生を束縛することなどできないのですから」

「……つまり、試したと?」



 俺の疑問に、お母さんは首を横に振った。



「いいえ、試していません。ですが……今まで私達は、璃音さんには色々とプレッシャーを与えてしまっていました。文武両道を求め、女性としてお淑やかにすることを強要した。そして世継ぎを産むことが使命だと言い続けてきました。それが、竜宮院家の長女として生まれた者の責務として。ですが……もしも今までのことを思い出し、私達と一緒にいることが苦痛だというのであれば、私達はそれを甘んじて受け入れる覚悟でした」

「……それが、2つの選択肢だったってことですか?」

「その通りです」



 ……つまり、ご両親のことが嫌いすぎて一緒にいたくないと思っているのであれば、竜宮院の幸せのために絶縁という逃げ道を用意した、と……。


 ……あー、うん。一言いいですか?



「不器用すぎません?」

「ふふふ。そうですね。暁斗さんの言う通りだと思います。……でも、今まで言い続けてきた年月……16年間という長い時間を考えれば、私達を嫌うには十分すぎますから」



 お母さんは悲しそうに、憂うように目を伏せる。


 自業自得だとは思うが……2人の気持ちもなんとなくわかる。

 竜宮院は長女として生まれた。そして、生まれたからには竜宮院家のことを背負っていくことになる。

 だから厳しくするほかなかった。竜宮院家の名に恥じない、立派な淑女にするために。


 まあ、その反動でこの子、夜に家を抜け出してこってり系ラーメンを食べに行くような子に育ってますが。


 そっと竜宮院を見る。

 真実を知った竜宮院は、顔を伏せてワナワナと肩を震わせていた。

 さて、どんな反応するのやら。



「……お父様、お母様。この際だから言わせていただきます」



 ゆらりと立ち上がる竜宮院。

 まるで貞子のように髪が垂れ下がり、全く顔が見えない。



「ぐずっ……う、うむ。いいぞ」

「ええ。何を言われても仕方ありません。甘んじて受け入れます」

「では」



 竜宮院はゆっくり2人に近付き、両手を大きく広げ……って、おいおいビンタか? それはさすがに……!


 ご両親も覚悟を決めたように、目を閉じる。


 そして。




 ダキッ。——抱き締めた。




「……馬鹿です……お父様も、お母様も……大馬鹿野郎です……!」

「璃音……?」

「璃音さん……」

「私が……私がそんな簡単に、2人を嫌いになるわけないじゃない! 大好きな両親を嫌いになんて……!」



 目から大粒の涙を流す。

 まるで宝石のように綺麗で、それでいて熱い涙だ。


 ご両親はその涙に当てられたのか、竜宮院を抱き締め、再び涙を流した。



「り、りおっ……し、しあっ、じあわぜになるんだぞぉ……! うおおおおおおおおん!!」

「璃音さん。リーザさんと一緒に、幸せになりなさい」

「うんっ……うんっ……!」

「うぅ……よかった……よかったわね、璃音……」

「わ、私ッ、頑張って璃音さんを幸せにしまスゥ~!」



 涙を流す3人を見て、梨蘭とリーザも号泣している。


 全く……竜宮院家ってのは、本当に不器用な人の集まりだな。

 おっと、いけない。目にゴミが入ったみたいだ。


 ま、何にしても。



「一件落着だな」

「そうね。まさか、璃音と一緒にアンタの子供を産むことになるとは思わなかったわ」

「いやか?」

「いやじゃないわよ。……でも、何だか徐々に外堀を埋められてる感があるのは気のせいかしら?」



 龍也と寧夏の一件で、俺達は将来ずっと一緒にいることを確約され。

 今回の件で、子供についても確約された。


 それもこれも……十中八九、濃緋色の『運命の赤い糸』のせいだろう。


 恐るべし、最強の赤い糸の力。

 ま、こんな状況でも幸せを感じてる辺り……俺もだいぶ毒されてるなあ。

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