第四十八話
この頁はあなたが大人になった、と思ったら読んでくださいね。
(と、僅かに空いていた隙間に無理やりねじ込まれている。下の本文の筆跡よりも強く、裏からでも読める程だった)
お城での避難生活を続けていたユズとドアと出会ってから、彼と含めた四人で行動をすることが多くなりました。今日はその一環で、以前出会った男性方とおばあさんを迎えに、旧市街へと向かっているところです。先に白状しますね。私はずっと不機嫌でした。
ユズとドアの二人はいつもくっついていて、私と彼みたい、最初はそう思っていました。けど彼の視線に気付いてしまいました。私ではなく二人の方に向いていたのです。私の頬が膨らんでいても彼は気付いてくれません。このもやもやとした気持ちは以前にも感じたことがありました。
どうして私の方を見てくれないの?私はずっとあなたを見ているのに。この青い瞳はあなただけを映すのに、あなたの同じ瞳は誰を映すの?隣にいてもとても遠い。離れている二人の方が近いなんてそんなのおかしい。
昔の住居のように、とても暗い感じがしました。けれどそれがとても落ち着くことでもあったのです。目を閉じて身を任せれば、眠るように落ちていけそうで。そして目を開ければ、スッキリとした朝の目覚めのようで。
そういえばと思い出したことがあります。私のこの力、魔力に目覚めた時のことです。あの時私は誰かの声を聞いた気がしました。その声が私を導いてくれたのです。とても優しい、そう、優しい。
いつもこうです。私がこうなってから、彼が急に優しくなる。指を絡ませて手を握って、今度は私だけをその青い瞳に映してくれる。でもその瞳には私の知らない悲しみまで住んでいる。そしてその口が開くこともない。
あなたがそんなだから私は独占したい。あなた以外いらない、そんな怖いことまで考えてしまうことがある。一人はいやだけど、でもあなたさえいれば他に何もいらない。この世の全てが「てき」になってしまうとしても、あなたが傍にいてくれれば、私は強くなれる。誰よりも、私よりも。
こんな気持ち、私は知らない。知りたくなんてなかった。これまで育ててくれたお父様やお母様に対してもこんな。これは良くないものだ。私は自らを律しなければならない。それが人々を守るための私の務めだ。
私と同じ状況になればあなた達も同じ気持ちを抱くかもしれない。だからはっきりと書いておきます。これはマモノ以上に醜いものです。それを身に宿すということはどういうことか、聡明なあなた達なら分かってくれると信じています。




