へいまく
良からぬことを考えていた。
エッチな話じゃないです。真面目な話です。
――ゴホン!
…まだ1回しかしてない検証ではありますが、容量をオーバーすることによる体の崩壊は先程確かめられた。
そこで、ふと思い出したのです。昔のゲームを。昔のゲームは容量の問題でHPとかMPの最大値が限られていたのですが、敵だけ無理やり上限を超えて設定されていたりするのです。
最大値9999のところを3万とかね。
そんな敵に回復アイテムを使うと、本来の最大値になると。
ウチはゲームとか無縁の家だったんで、友達の家で見た動画の知識なんですけどね。
彼が僕の立場だったら発狂していただろうな。中身を見られていないか気になって。
文明の利器はあればいいってもんじゃないんだなぁ…。
話が逸れたな…。
えっと、何が言いたいかって?
いやトスファに使ったらどうなるのかなぁって…。
彼女は魔物から魔力を吸収し続けてオーバーフローを起こし、あんな数値になっちゃったんじゃないかな。
それで回復アイテム代わりに魔力を送れば、元の値になるのではと考えていた。
ゲームじゃないんだからそんなことは起きないとは思うんだけどね。
それに魔物はそれで消滅しちゃったわけだし。
でも彼女には別の器があるみたいな特別があるってこともなくはないし。
いやでも、自分の意志じゃなく外部から無理やり―――ってなればもしかしたら…。
石いじりをしていた時に頭の片隅から出てきた友達の記憶。そこから派生した疑問を解決しようとつい考え込んでしまった。
そこへヤツが仕掛けてくる。
「おねえさま、コイツ…良からぬことを考えてるわ!」
「…え?!よからぬこと?………ポッ」
トスファがアレな子で助かった。いやいい意味でですよ?しかし、コイツは…!
「その、良からぬことってなんだよ!言ってみ!」
何故かトスファとドアが恥ずかしそうに体をくねらせる。
むっつりか?二人そろってむっつりなのか!
「アレよ!アレしかないでしょう!」
「アレで誤魔化してんじゃねぇよ!はっきり言ってくれ!お馬鹿な僕にも分かるように!」
こうやって言うことでユズの逃げ道をほそーくする。通れるか?!通れるか、この細道を!
彼女は後ろに仰け反ろうとする体を必死に抑えている。
それで力を使ってしまったのか、観念したようで重そうに口を開いた。
「――えすいーばつ、て聞いたわ……」
顔を赤くして恥ずかしそうにそう呟く。
なんでそんな生娘みたいな反応するんだよ!ビッ〇じゃないのかよ!ちょっと、可愛いかもとか思ったじゃねぇか!
――って、えすいーばつってなんだ?反応から察するにエッチな単語っぽいが…?
考え込んだ時の癖なのだろうか、無意識にそれを連呼していた。
エッチに過剰反応して脳が活性化し、それに初めて気づいた。
「うぅ――なんで恥ずかしいこと連呼してるのよ!このばかぁあああ!!!」
人生で最もゲスい顔をしていると自分でも思う。
しかしそれは年若い僕では抑えられないものだった。
恥ずかしいこと。……そう聞くと何が何でもコイツの口から詳細が聞きたい――激しくそう思ってしまったのだ!
「んー…。お馬鹿な僕には分からないなぁ?詳しく説明してくれないかなぁ?」
「なっ?!」
「二人も聞きたいよねぇ?」
トスファとドアを巻き込むことで、外に逃がさない。
これが外堀を埋めるって策ですわ。……埋めたら外に逃げられないか?あれ?
今がユズにとってはチャンスだったのだが、興味津々な二人が彼女を逃がさなかった。
「わ、私も知りたい!初めて……聞いたから…」
「ユズ様、私も……」
3対1、勝ったな!脳内メモリーにRECしなければ。準備準備、と…。
130もない彼女が、3人に囲まれればもう逃げ道はない。
目を伏せ隙間を窺っていたが、徐々に狭まれる包囲網。
「う、うぅ……」
――――茶番第三幕は僕の勝利で幕が下りようとしていたが、そこへ乱入するモノが現れる。
次回!はじまりは突然に!ユズ様、ドキドキ物語に――――
待っててね!ちゅ!
「キモいから、人の声真似やめてくれない?」
キモいと思うんならそうなんだろう。お前の中ではな。
「なんかむかつくわ…!」
――――茶番番外編、満を持さず閉幕!




