こじらせ
「では、少しの間お願いします」
ご両親にそう告げ、城を発つ。
……4人で。
予感が的中してしまいました。新メンバーが加わると入れ替わるパーティーメンバー。良くある話です。
これが真の仲間ということでしょうか?
というわけで、新たなメンバーを数値化した魔力と共に紹介するぜ!
ユズ 魔力:100000
ドア 魔力:120000
ユズはトスファに吸われたため、半分の数値になってしまったようです。いい気味です。
ドアは意外でしたね。まさかこれほどの魔力を秘めていたとは……。
いやもしかしたら、あのスイカに秘められていたのかもしれません。ナイススイカ!
ついでなので、ドドドン!
トスファ 魔力:呻シ*99%$9@99
文字化けが減りましたね。
…あれ?一桁増えた?まじで?まだ強くなるの?それとも最初が間違ってた?
意味が分からないので口直しに僕のもどうぞ!
キヲク 魔力:500000
おいおい、また間違えてるよ。しっかりしてくださいよ!では訂正したのをどうぞ!
キヲク 魔力:500000
ん?どこを訂正したのかな?間違い探しは得意のはずなんですが?
えーと?ゴシゴシ――――
おかしい。何度目をこすっても結果が変わらない。
今更忖度しなくていいんだよ?僕はもう諦めてるから…。
キヲク 魔力:500000
キヲク 魔力:500000
キヲク 魔力:500000――50万 五十万 伍拾萬
ごめんなさい。僕が悪かったです。僕の魔力値は50万です、はい。
――50万?!うそやろ?!一体何があった?!ってトスファの魔力か?それ以外考えられないが…。
辺り一面闇に覆われているが、キヲクにだけは照明が当たっている。
その舞台袖から女の声が聞こえてくる。
「なにしてるのよ!早く行くわよ!」
「…キオク?どうかしたの?」
ボケーと突っ立ってる僕を見て、二人が声をかけてくるが――
以前の僕だったら、テンションMAXで喜んでいただろう。だけど今は……。
(―――今更どういうことだ?何故僕にこれだけの魔力を?もしかして、強大な敵が待ち受けているのか?いやそれでもトスファに比べたら大したことない魔力だし…。彼女以上の敵が現れたら、それこそ世界は滅亡するし……んんん?)
今までのひどい扱いで素直に喜べなかった。
疑心暗鬼ってやつですかね?なにか裏がある、そう思わずにはいられない。
たった一人、舞台で進行を務める探偵のように話を進める。
そんな姿がキヲクの脳内で映像化されていた。
脳外で彼を取り囲む3人のうち一人は目を細めて呆れていた。
だがそれもコンマ1秒、彼女はすぐさま切り捨てを行い、一人に視線を絞る。
「ほっといていきましょう?おねえさま!」
「それはダメよ!…ドア、お願いね」
「ん!ユズ様、こっちでちゅよ?」
「は、離しなさい!あと、そのしゃべり方もやめなさい!!」
(――ん?みなさま騒がしいですね?なにかあったのかな?)
ユズがドアにお姫様抱っこされている。
ドアはそのままスタスタと歩き始めた。暴れているユズをものともしない背が今後の活躍も期待させる。
「…キオク、大丈夫?」
また彼女に心配させてしまったようだ。覗き込んでる顔が暗い。
僕は魔力が増えてもダメダメだね。
――素直に受け入れよう。何か意味があるなら、それすらも。運命を変えるのは人の力って誰かが言ってたし。
当然とばかりに右手を伸ばす。
「…行こうか、トスファ!」
「うん!」
「ちょっと!なに手つないでるのよ!…おねえさまぁ、アタシともぉ!」
「はいはい、ユズ様には、私が、いまちゅからねぇ」
賑やかに先を行く二人に追いつく。
――大丈夫。愉快な仲間もいるんだ。一人で背負う必要はない。トスファに対して僕が自分で思ってたことじゃないか!
仲間がいる。家族がいる。そして―――隣には彼女がいる。何を心配する必要があるのだろうか?みんなと一緒ならどんな困難にさえ立ち向かえるはずだ。これから先もずっと……。
いい最終回だった。
「勝手に終わってんじゃないわよぉ!ばかぁああああ!!」




