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はじまり  作者: 新戸kan
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もえあがる

 昨日の夜は…いや『も』か?とにかく、大変だった。


 彼女は僕の手を取り、自身の胸へ。そして耳元で囁く。

「優しくしてね…」

 理性が吹き飛ぶとこだった。高いDT力と黒歴史が無ければ即死だった。

 そこからどうやって巻き返したのかって?

 それはアレだよ、アレ。そう、君たちの想像してる通りさ。そうやって僕は守ったのさ!



 でも…柔らかかったなぁ…。壁に近いけど。

「うっ?!」

 今、一瞬急激な魔力の高まりが?!それもあの時感じた圧倒的な魔力?!彼女は寝ていたはずでは?!


 発生源は一人しかいない。

 にやけ面を瞬時に緊張に変える者はこの世でただ一人。

 いやもう一人いる気もするけど、この場合はただ一人!


 起こさないよう静かに喉を鳴らす。

 亀のようにゆっくりと首を動かす。


 うん…寝てるな。気のせいだったのか…?


「ええ?!」


 ホッとしたのも束の間、いつもと違う光景に奇声を発していた。


 えっと、ドアだっけ?なんでトスファに抱き着いて寝てるの?!

 抱き枕を抱えているみたいで…。トスファも彼女の豊満な胸に顔を埋めて…あ、息苦しくなったのか顔をあげてその先には…。


 目を奪われていた。

 心臓がどきどきと早鐘を打っていた。


 もう少しで触れ合いそうな唇と唇…。建設工事が始まりつつあったが、僕は、僕は…!

「ダメー!!!」

 トスファを引きはがしていた。それで二人が目を覚ます。

 寝惚け眼でキョロキョロと辺りを見回すトスファ。そして今度はそのまま僕の胸の中で眠りにつく。


 勝手にふぅと息が出た。


 ドアはといえば…あれ、いない?

 ああ、ゆるゆるさんの背中にくっついてる。あそこが落ちくんだろうなぁ。


 ちょっと目を離した隙に、彼女は焚火を挟んだ先で寝ているゆるゆるさんの傍まで移動している。

 聞こえてくる寝息が、目覚めてからの行動とは思わせなかった。


 それなら何でトスファに抱き着いてたんだ?

 いやそれよりも、僕は何で止めた?僕も現場作業員じゃなかったか?知らない間に辞めたのかな…?


 そうやって考えてたせいで状況判断が遅れたんですよ。

 ふふふ。二度あることは三度ある。仏の顔も三度まで。いや回数は数えてないけどね。


 いつものってやつですかあああ?!

 YES!YES!YES!YES!YES!


 想像してごらん。この後の展開を。それが答えさ!(手抜き感)




「――――それで二人だけで?」

「そうですね。不安もあったんですが、この子のために…」

 昨日聞かなかった二人の事情を聴収しています。

 遅れを取り戻すため、歩きながらではあるけども。


 お互いに片腕を取られていたものの、二人とも慣れているようで歩行スピードに乱れはない。

 キヲクがその一人に時折目を向けるが、瞬時にその顔が引っ込む

 繰り返しても進展が全くないので彼は話に集中することにした。



「話を聞く限り、強そうな人だから大丈夫ですよ。一人ではないならなおさらです」


 勧誘を受けて彼は悩んで悩んで悩んで、今ここにいない奥さんが決めたそうです。

 その奥さんは今二人目を身ごもってるそうで彼の両親とともに待っているんだとか。


 今のこの世で新たに生を受ける子か…。その子がこの空の下で笑って過ごせる世界にしないとな。

 良い人たちだったらそれも早いんだろうけどなぁ。彼から聞いた話でもとてもそうとは思えない。



 ところでどうして彼女のためなのだろうか?広い世界を見せるためがよくある答えだけども。

 顎に手を当てそれっぽく考えていたら、マミーがこっちを見ているのに気づく。

 いつの間にか横に並んで顔を覗いていた。

 アイコンタクトってやつですかね。


『私より胸大きい!なんか負けた気がする!』

 ――ではなくて。

 二人に魔力の扱い方を教えるかどうかか。

 どうも個人差があるようなんだよね。かかる時間にね。

 ……ただでさえ遅れてるからね。僕たちのせいで。

 ここは先を急ぐため、首を横に振って答える。マミーも分かったと頷く。


 仲良くするのは問題ないだろうから、

「トスファ、彼女と仲良くしてあげてね」


 何故か警戒するかのように右腕をがっしりと掴んでいる彼女を見る。

 抱き込んでいる、といった方が良いだろうか。

 伝わってくる感触が僕を困らせるんですが?


 困っているキヲクを見てもトスファはその表情を変えない。


 これはもしかして、アレですの?せいしつとそくしつ?だったかしら?あの小娘をそうしたいと?

 むむむ、私だけではダメですの?やはりあの胸ですの?あの大きな胸があなたを誘惑してるんですの?


 今のでなんで黒いオーラが出てくるんだよ…。

 ひょっとして朝のアレを邪魔したと思われてる?まさかその気だったのか?それで怒りが込み上げてきたと?

 あの時はつい……ついって何だよ!

 でもなんか許せなくて…。

 いやそれよりも彼女の機嫌を…。

「トスファのためだから!」

 えっと、何が彼女のためなんだ?何がどうなったらそうなるんだ?


 目を瞑って思い切って出した言葉がこれだ。

 自分でも良く分からない。



 わたしのため…?

 ということは、彼女はじじょ?キオクの世話ではなく、私の世話をする人?

 つい早とちりしてしまいましたわね。私の負担を少しでも減らそうとした優しい気遣いでしたのに。


 トスファは掴んだ腕を離さずに、身体を前方に倒しドアを覗き込む。


「私はトスファですわ!よろしくお願いいたしますわね!」

「………………」

(返事が返ってきませんわ。どうしたのかしら?)


(トスファ、彼女はあまり他人と話したことがないみたいだから…)


(なるほど、そういうことでしたの。でしたら取って置きのお話がありますわ!)


 彼女は一言断って腕を離し、後ろから回って反対側にいるドアの隣につく。

 ビクッと体を震わせ顔を父の背に隠すドアに構わず、トスファは話を振る。


「このお話はご存じですの?―――」

「……知ってます。最後は――――ですよね?」

 何ですって!この子デキる!

「では――――」

「それは――――」

 


 キヲクは耳をぴくぴくと器用に動かしている。


 二人が聞いたことないお話をしてる。…良く分からないがこれで良いのかな?

 でも仲良いのは良いことなんだけど、二人の距離感が妙に近い。女子同士ってこんなもんなの?


 始めは気にして横目で見ていたが、今では首まで動いている。


 ……おかしいな。こっち来る前だったらあら~^って思うんだけどな。


 前にもこんなことあったな…まさか、これは……。

 いやいやいやいやそれは違う。そんなはずはない。

 だって彼女は僕の…。


 首をブンブン振り回すが、何の効果もない。


 自分のことなのに自分が分からない。いつもの石いじりを忘れ悩む僕。

 そんな僕に向けられたマミーの視線。

 この時の僕はその意味に気付いていなかった。


 


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