第十六話
とても驚くべきことがあった日でした。彼に言われ、両親に魔力の使い方を教えることなってから数日が経った今日この日、漸くその成果が現れたのです。口で言ってどうにかなるもでなく、私にとっては息を吸うようなごく普通の感覚的なものであったので、時間が掛かってしまいました。
私は生まれた時からこの髪であったと二人から聞いています。幼い頃から大事に育てられ、疑うなんてことは一度もありません。ですが明らかな違いはあったのです。
私が両親と違うと知ったのは、初めて外に出た日のことです。胸へと垂れ下がっている自分の髪が、キラキラと光を弾いていました。薄明かりでは特にも気にしていなかった両親との髪色の違いです。これまで日記には書かず省いていたものです。
長くなってしまいましたが、両親が魔力を使えるようになると、変わったのです。この暗闇に溶け込んでいた髪が、その存在を主張しました。それだけではありません。活力というものでしょうか。今まで気づけなかった、その皺の原因が消え、顔にも若々しさが漲っていました。それが二人の本当の顔でした。本物の喜びを知ったのです。これまでが偽物ということではないと思いますが、全て私にためにしてくれていたんだと、改めてそう実感しました。
二人が私にありがとうと言いました。そして私も。別におかしなことではないですよね?でも今日は喧しいほどに洞穴内に反響していたのです。今まではそんなこと一度もなかった。どう書けば良いでしょうか。本物がより本物に、分かりづらいですね。とにかく私達は本当に結ばれた家族になったのです。
彼と出会ってから、初めてがどんどん増えていきます。お話の中しか知らず、広い世の一部しか知らず、それで満足していた自分に教えてあげたいです。こんなに素晴らしいことが待っているんだよって。
ただ私と同じ様に魔力を別の物に、例えば火や水に変えることは出来ませんでした。もしかしたらこれが、彼の言っていた、自分以外は、というものかもしれません。それはそれで、二人だけの特別、なんて心がうきうきとしてしまいますね。でもきっと、それが理由じゃない。彼と一緒にいること、ただそれだけの、この気持ちをいつかあなた達にも共有してもらいです。
彼は言いました。これで十分、マモノに対抗できると。私達はこの家を捨てる日が来たのです。ここでの生活が当たり前だった、それを壊す。私にはおろか、両親にも不安はありませんでした。家族の一員である、彼が傍にいてくれるのですから。




