薬草集めがはかどりそうです
「ベルシュ、無事手に入れれたぞ。これでもう門番の人とはケンカしなくて済みそうだ」
「では、明日からクエストに行くんですか?」
「そうしようかな、とにかく今は無一文だから、この状況から抜け出さないとな」
「そうと決まれば、今日はゆっくり休んでください。僕の家に帰りましょう」
二人は冒険者ギルドを後にし、ベルシュの家へ向かって歩き出した。
「そういえば今日の夕飯はどうすんだ?」
「もちろん、お昼に仕留めたボアボアですよ」
「やっぱりそうなりますか」
「食べたこと、ないんですよね? 意外とおいしいんですよ」
「まぁでも、何か食べれることに今日は感謝だなぁ」
「そうですよ。僕みたいな中々ランクが上がらない冒険者はこうやって必死に頑張っているんですよ」
「でも、ベルシュってD級だったよな。ランクアップの条件ってやっぱりクエストをたくさんこなすことなのか?」
「それがメインですけどね。今日みたいに、自分より上のランクの魔物を一定数倒せば上がることもあります。でも、そもそも高ランクのクエストは受けられないんで、あまり狙える方法じゃないですね」
話しながら歩くうちに、古びた平屋アパートの前に着いた。
「こちらが僕のお家です。うるさくしないでくださいね。隣の住人から壁ドンされますからね...トイレなどは共同ですので気を付けてくださいね」
「寝れるだけ全然助かるよ。本当は野宿になるんじゃないかと思ってたし」
「じゃ、ご飯食べて明日に備えましょう」
夕食をとり、布団に入ると、疲れからすぐに眠りに落ちた。
翌朝。
「いつまで寝ているんですか。冒険者の朝は早いんですよ」
早朝から布団を剥がされ、半ば強引に起こされる。
「あと、五分...」
「ふざけてないで冒険者ギルドに行きますよ」
引っ張られるようにして冒険者ギルドへ向かう。
夜とは違い、朝のギルドは冒険者たちでごった返していた。
「朝なのに結構いるんだな」
「クエストは早い者勝ちですからね」
「なるほどねぇ」
ベルシュが掲示板を指さす。
「あの小さな掲示板がEとFランク用です。まずは1000クラウン稼げれば宿に泊まれます。頑張ってくださいね」
「え? 今日も泊めてくれないの?」
「いやですよ、サギリさんいびきうるさくて夜中数回壁ドンされたんですから。今日から一人で頑張ってください。ボアボアも一撃で倒せるんですから大丈夫ですって」
「お、おう。なんかすまんな。...まぁその1日だったけど色々とありがとう。」
「こちらこそ。また何かあれば声をかけてください」
「じゃ、また」
「はい、またです。500クラウン待ってますからね」
別れ際にしっかりとお金のことを言われてしまった。
「忘れてないのか、この調子だと向こうから先に声かけてきそうだなぁ...」
掲示板にはたくさんのクエストが貼ってあるが内容はほとんど変わらない内容ばかりだ。
「どれも同じような採取系ばっかりだしとりあえず報酬の高いのでいいか」
選んだクエストは【ヒーラ草の納品】
内容は
ヒーラ草10房以上の納品
報酬1500クラウン(10房以降より1房ごとに150クラウン追加)
クエスト書を受付に提出した。
「これでお願いします」
「こちらですね、ギルドカードの提出もお願いします」
「こちらのクエストは受注後24時間以内に内容を達成しないと失敗とみなされるのでお気を付け下さいね。あとヒーラ草は似たような雑草などもありますのであちらの本棚よりご確認してから出発されることをお勧めします」
そういって入口のそばにある本棚を指さした。
「それでは気を付けて行ってらっしゃいませ」
「とりあえずどこに生えているか分からないし本でも見てみるか」
本棚から薬草図鑑と描かれている図鑑を手に取りヒーラ草のページを確認する。
「この場所からそんなに遠くないようだし簡単に終わりそうだな。行くか」
生育地は近いらしい。軽い足取りで林へ向かった。
到着からしばらくして気付く。
「……しまった。薬草を入れる袋がない...スキルかぁ」
そこで新たなスキルを作成。
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富士狭霧
スキル
・エディッタ
あらゆる物のステータス可視化、ステータス・スキル・状態の編集が可能
このスキルは編集不可能
・シンクガイド
設定した目的へと案内してくれる
・ローネリア語
ローネリア世界での標準語
・ローネリア書体理解
ローネリア世界での文字を理解する
・次元収納(NEW)
別の空間に収納できる。
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これで採集も問題なし……と思いきや、1時間探しても見つからない。
「全然図鑑で見たような薬草が見当たらないんだがどこにあんだよ...流石にこのままだと見つかりそうにないしもう【シンクガイド】使うか」
[目的を設定してください。設定した目的へとご案内いたします]
「ヒーラ草っと」
目の前に前回と同じようにウィンドウが現れた。
[目的地までおよそ30秒ほどです]
「えっ?矢印後ろ指してるけど見逃したのか?」
矢印通りに歩いていくとウィンドウの矢印が消えその先にある1房の薬草が強調表示された。
「おお、あったあった図鑑で見たやつと同じだ。こんな薄暗いとこに生えてたらそりゃ見逃すわ。因みにヒーラ草もエディッタで確認できるのか?」
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名称:ヒーラ草
ポーションの材料になる
状態:新鮮
編集
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「ん?編集?編集できるのか?!てっきり鑑定する程度かと思ったのだが...」
好奇心から編集ボタンを押した。
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名称:ヒーラ草
状態:新鮮
完了 戻る
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「名称と状態を変更できるのか。試しに名前を変えてみるか」
名称の部分を別の名前に変更し完了ボタンを押す。
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名称:車前草
()
状態:()
編集
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光に包まれた薬草は枯れてしまった。
「...この世界に存在する名称でないとダメなのか?」
試しに足元にあった草にも編集をしてみた。
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名称:カタ草→ヒーラ草
状態:新鮮
完了 戻る
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完了ボタンを押すと光に包まれた雑草はヒーラ草へと変化した。
「.....は?」