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情緒の激しいお姉さまです

狭霧視点に戻ります。

21層目 晴れ


階段を下りた狭霧たちは、周囲の安全を確認したあと休憩の準備を始めた。

ケイネスが付近の見回りを終えて戻ってくる。


「やはり階段付近は魔物が出ませんね。では、ここで数時間ほど休憩にしましょう。

サギリさん、食事用と休憩用の箱をお願いします」


「おぉ、ようやく休憩ですか……。前回の休憩から結構経ってたので助かります」


狭霧は次元収納から荷物を取り出し、木陰に寝具を敷いて横になった。


(うう……明るくて眠れない……)


数十分後。

寝不足の重い瞼をこすりながら体を起こす。


「ふぁ〜……まさかダンジョンに、こんな拷問みたいな環境があるなんて……」


(全然寝れなかった……。少しはうとうとできたけど……。

ダンジョンさん、夜モードとかありませんかね……? 俺、暗くないと寝れないんですよ……)


「サギリさん、やっぱりあまり眠れていませんね。

このままだと低層で倒れますよ」


フェインは休憩中も弓の調整をしていた。

疲れ顔の狭霧が苦笑しながら声をかける。


「いやぁ……明るいとダメなんですよ、僕。

フェインさんは寝てるところ見たことないですけど、平気なんですか?」


「美女の寝顔は、そう簡単には見せませんよ?」


「ははは……そういう意味じゃなくて……。

そういえば槍の練習とかはしないんですか?」


「槍? 私は槍なんて使わないですよ?」


「……え? そうなのですか?

私はてっきり、魔力を流して特別な矢を放てるだけだと……」


フェインは弓を軽く振り回してみたが、変化はない。


「知らずに使ってたんですか!? どうやって変形するのかは僕も……」


「まぁいいです。今さら槍を使えと言われても扱えませんし」


「でも装備効果に“槍術”ってありましたよ。扱えるはずです」


「え? この子、スキルまで付いてるの? 槍術だけ?」


「槍術と弓術、どちらも達人レベルです」


「弓術……。

まさか、私の弓の腕って……スキルの力だったり?」


「いやいや、そんなことないですよ!

フェインさん、ずっと鍛錬してるじゃないですか。」


「……そうよね。でも、せっかくだし試してみます!

サギリさんは少しでも体を休めておいてください」


「はい……そうします」


(落ち込んだかと思えば、急に元気になるんだよな……。ほんと、あの人はタフだ)


その後も狭霧は明るさのせいでほとんど眠れず、数時間を過ごしてしまう。

一方、ほかのメンバーは元気そのものだった。


「一人を除いて、皆さん絶好調ですね!

この調子で30階まで行きましょう!」


狭霧を除く三人は軽い足取りで次の階層へと進んでいった。


22層目 曇り


階段を下りると、22層の空は一面の雲に覆われ、薄暗い光が差し込んでいた。


「あれ? この階層、前は晴れてましたよね?」


ケイネスが不思議そうに空を見上げる。


「ええ。前はどの階層も晴れてました。

そもそも“ダンジョンに雲”なんて聞いたことがありません。警戒して進みましょう。

私は弓を、オルドロスは魔法の準備をお願いします」


「おう、任せな。やっと俺の出番か」


「私も戦います! フェインさんばっかりずるいです」


ララは短剣を抜き、やる気満々だった。


進むにつれ、魔物の出現頻度が明らかに増していた。


「オルドロス、後方を。私は正面。ララは接近してくる魔物をお願いします!」


「了解!」「はい!」


オルドロスが小さな杖を振ると、火球が生まれ魔物の頭部を撃ち抜いた。


「終わったぜ」


フェインとオルドロスが次々と魔物を倒し、ララは不満げに頬を膨らませる。


「もう、私にも少しくらい譲ってくださいよ」


「まぁまぁ。魔物も活発だし、そのうち出番がありますよ。

フェインさん、オルドロスさんありがとうございます。

この階層は休憩せず次を目指しましょう」


さらに奥へ進むと、今度は不思議なほど魔物が現れなくなった。


「ねぇ、さっきから全然魔物に会わないじゃない。私、戦いたかったのに」


「いいことですよ。体力を温存できましたし。

もうすぐ階段です。23層で問題なければ、そこで休憩にしましょう」


「まだまだ余裕だぜ!」


一行は足早に階段を下りていった。


23層目 雨


階段を抜けた先は、濃い霧と大雨に包まれていた。

視界は数メートル先もおぼつかない。


「ダンジョンの中で雨……? そんな話、聞いたことがありませんね。」


ケイネスの表情が険しくなる。

パーティ全員が自然と武器に手をかけた。

次回もよろしくお願いします。

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