容量があるみたいです?
馬車乗り場にはいくつもの乗り場があった。
(さて、アスラダンジョンに行くための馬車はどれかな?)
馬車乗り場にはいくつもの停留所が並んでいた。
(さて、アスラダンジョン行きの馬車はどれだろう?)
狭霧は一番近くにいた御者に声をかけた。
「すみません、この馬車はアスラダンジョン行きですか?」
「ああ、アスラダンジョンなら――あっちだ」
御者が指差す先を見ると、荷物を積み込んでいる二人の冒険者らしき姿があった。
狭霧は礼を言い、その馬車へと向かう。
「すみません、僕もアスラダンジョンまでお願いしたいのですが」
「おっと、それが困ったことにね……あの二人の荷物で荷台がいっぱいなんだよ。人を乗せる余裕がないのですよ」
「え、なんとかならないですか?」
「そう言われましてもね、乗れる場所が無いのですよ」
「……あ! じゃあ荷物を一時的に、僕の収納スキルで預かるのはどうでしょう?」
「おや、収納スキル持ちですか。でも荷物は彼らのものだから、私からは何とも……」
すると、会話を聞いていた男性が狭霧に声をかけてきた。
「失礼、少し話を耳にしました。あなたもアスラダンジョンに向かうのですか?」
「はい。でも満員みたいで……」
「そうでしたか。事情は理解しました。実のところ、荷物が多すぎて私たちが荷台を占領してしまっているんです。ご迷惑をかけて申し訳ない」
「いえ、それは仕方ないですよ。ただ、僕の収納スキルを使えば、少しは余裕ができるかと思いまして」
「なるほど……。ああ、自己紹介がまだでしたね。私はケイネスといいます」
「狭霧といいます」
「サギリさんですね。もしよければお聞きしたいのですが、その収納スキルの容量はどの程度あるのですか?」
「容量……ですか?正直、気にしたことがなくて……。でもヒーラ草100房やネハネコ6匹を入れても、全然余裕でした」
「それは頼もしい。相当の容量があると見てよさそうですね。実はご覧の通り、荷物の運搬が我々の課題でして……。もしダンジョンに着くまで一部を預かっていただけるなら、サギリさんも馬車に乗れるし、こちらとしても大助かりなのですが」
「もちろん、それでよければぜひ!」
「ありがとうございます。本当に助かりますよ」
「よし、話がまとまったな。馬たちも荷が軽くなると楽になる」
「では、サギリさんこっちで荷物を渡したいのともう一人の紹介をしますね」
ケイネスは狭霧を荷車の方へ案内し、もう一人の仲間を紹介した。
そこでは女性が大小さまざまな荷物を運んでいる。武器や食料、日用品と多種多様だった。
「ちょっと、ケイネスどこ行ってたのよ。早く積まないと!」
「すまない、紹介したい人ができたんだ。こちらはサギリさん。収納スキルをお持ちで、荷物を預かってくれます」
「えっ……あ、ララです。あなたも一緒に来てくれるんですか?」
「狭霧といいます。収納スキルで荷物を預かるだけですが、アスラダンジョンまではご一緒させてもらいます」
「収納スキルですか!すごいですね……もしかして、この荷物全部入ったりします?」
「多分いけると思います。でも念のため数を確認してからにしましょう」
「確かに。じゃあ僕が数えるから、サギリさんは順に収納してくれますか?」
「わかりました。よろしくお願いします」
――二人は手際よく荷物を確認し、次々と収納していった。
「これで全部ですね。改めて感謝します。おかげで輸送の負担がかなり減りました」
「とんでもないです。お二人だけにしては、荷物が多いなとは思いましたけど」
「ええ、実は向こうで仲間と合流する予定でして。その分の物資をこちらで揃えたんです」
その時、御者が声を張った。
「お客さん方、準備はいいですか? そろそろ出発しますよ」
「もうそんな時間ですか、では行きますか!サギリさん。アスラダンジョンへ!」
「ちょっと、私もいますよ?」
狭霧は代金を支払い、馬車はゴトゴトと音を立ててアスラダンジョンへ向かって走り出した。
次回もよろしくお願いします




