景気付けの景色
冒険者二人組からようやく解放された狭霧は、ローズ家へと戻ってきた。
空を見上げると、すでに夕暮れ時になっていた。
(あいつらに結構足止めされたな…今日一番疲れたかもしれない…)
リビングに入り椅子に腰を下ろして一息ついていると、ふわりと石鹸のような香りが漂ってきた。
匂いの方へ視線を向けると――お風呂上がりでタオルを一枚だけ巻いたローズが、笑顔でこちらを見ていた。
(!?見てはいけないものを見てしまったような...)
「やぁ!帰ってたのかい。冒険者業の方はどうだい?」
「あ、ええと…順調ですよ。…その前に服を着てもらえませんか?」
「え?服もタオルも布だから一緒じゃないか!それより、これだよ」
ローズはキッチンに向かい、氷水で冷やしていたグラスを取り出すと豪快に飲み干した。
「くぅ~!うまい!やっぱりお風呂上がりはこれに限るねぇ~」
「……着替える気はないんですね。で、それは何を飲んでるんです?」
「庭で採れる自家製の果実水さ。あとは氷魔法と収納スキルがあれば、どこでも飲めるのにねぇ…チラッ」
「ちょっと…何言ってるのか分かりませんけど、果実水はいいですね!」
「ほら、あんたも飲んでみな。飛ぶよ」
ローズはもう一つの果実水を取り出し、狭霧の隣に腰を下ろした。
「……とりあえず、そのタオルはやめません?」
「まぁまぁ、そう言わずに。とりあえず一杯どうぞ」
手渡されたグラスからは甘い香りが漂い、口に含むとメロンのようなまろやかな甘味と、すもものような爽やかな酸味が広がった。
「これ、美味しいですね!なんて果実なんですか?」
「ふふ、でしょ?これは《グイユン》って果実さ。ただし飲みすぎると鼻血が出るから注意ね」
「美味しいのに飲みすぎ注意ですか…。あ、そういえば話は変わりますけど、ダンジョンに行ける準備が整ったので、明日にも挑戦しようと思ってます」
「おっ、そうかい。で、どこのダンジョンに行くんだい?」
「あ、そういえば場所を聞いてませんでした…。どこかおすすめはあります?」
「また何も調べずに…。ここから一番近いのは【アスラダンジョン】だね。馬車で二日ほど。次に近いのが【メテスダンジョン】で、馬車で四日ってとこさ。ほかにもあるけど、もっと遠いよ」
「なるほど…。移動だけで四日もかかるんですね。それならアスラダンジョンにしようかな」
「まぁどのダンジョンも未踏破だから、無理だけはしないことだね。馬車乗り場で行き先を伝えれば連れて行ってくれるよ。死なない程度に頑張りな」
「はい、ありがとうございます!明日早速行ってきます!」
「じゃ、景気づけにもう一杯!」
勢いよく立ち上がったローズ――だがタオルはその勢いについていけず、床へと落ちていった。
――翌朝。
狭霧は馬車乗り場へと足を運んでいた。
ルシアちゃんがいない?
ローズがお風呂を上がった後に交代で入っているので一連の出来事は知りません。
あと、エイチなことは一切しておりません←重要
良かったね狭霧君...
次回もよろしくお願いします




