さらなる高みを目指します
王国の大きな門【ホープの門】を抜け、しばらく歩くと、周囲の建物よりもひときわ大きな冒険者ギルドがそびえていた。
早朝にもかかわらず、すでに多くの冒険者たちで賑わっている。
(おお!賑わってるな!とりあえず、まずはクエストを確認してみよう)
クエスト用の掲示板へ向かおうと受付の前を通ったそのとき、声をかけられた。
「サギリさんですね。ずっとお待ちしておりました」
「え?そうですけど僕何もしてないですよ?」
「いえ、以前に指名依頼をお受けになっていましたよね。その達成報告は受けていたのですが、サギリさんがいらっしゃらなかったので、ギルドカードの処理ができず困っていたのです。まずはこちらの処理をさせていただけますか?」
(あ、そういえば…あの日以来来れてなかったな)
「わかりました。お願いします」
「では、こちらにギルドカードの提出をお願いします。」
受付の女性はカードを受け取ると、横の装置に差し込み手早く操作を始める。
「あ!サギリさん、おめでとうございます。今回の依頼は特殊なものでして、クラウンでのお支払いはほとんど無い代わりに、クエスト達成と同時に冒険者ランクが上がる処理になっておりました。そのため、只今よりサギリさんのランクはEからCへ昇格です」
「え?二段階も上がるんですか?」
「はい。私も詳しくは存じませんが、ギルドマスターの判断だそうです。もし詳細を知りたい場合は、直接お尋ねください。ではこちらがカードになります」
「あの人は……まあいいかな。とにかくありがとうございます。それと、ダンジョンに行くときって、クエストのように何か手続きが必要なんですか?」
「特別な手続きはありませんが、制限があります。入れるのはBランク以上、かつBランク以上の討伐クエストを三回以上達成した冒険者のみです。その条件を満たした方のギルドカードには印がつけられ、それがダンジョン挑戦可能の証明となります。これは全てのギルド、ダンジョンで共通の規則です」
「なぜ制限があるのですか?」
「理由は大きく二つあります。一つは、ダンジョンが極めて危険だからです。深く潜るほど魔物は強力になり、ダンジョンでしか出会えない魔物や、未発見の存在も数多くいると言われています。安易に挑めば命を落としかねません。
もう一つは、地上での依頼が滞ってしまうからです。薬草採取をする人がいなければポーションは作れず、魔物を討伐する人がいなければ畑が荒らされ、国の生活全体に影響します。さらに、ダンジョンに挑んでも必ず成果を持ち帰れるとは限らず、ただ怪我を負って帰る者も多い。そういった事情から、実力を証明した冒険者のみが挑戦できるのです。……サギリさんもダンジョンに行きたいのであれば、まずはBランクを目指してくださいね」
「なるほど……わかりました! じゃあ、まずはBランクですね!」
「はい、頑張ってくださいね」
受付の女性に笑顔で見送られ、狭霧はそのまま掲示板へ向かう。
(たしかベルシュが言ってたよな……自分のランクより上の魔物を倒してもいいって。だったら、Bランクの魔物を狙える場所を探して、それに合わせてCランクのクエストを受ければ効率いいかも)
掲示板には、
【レッドフォックス3体の討伐】
【ライサイ1頭の納品】
【ネハネコ2体の納品】
といった依頼が並んでいた。
(討伐数が多いのは大変だから……この辺りが狙い目だな。お、このネハネコは前にヒーラ草を集めた場所の近くらしい! しかも、隣のボードにヒーラ草の採取依頼も出てる。よし、両方まとめて受けるか)
狭霧は依頼票を受付に持っていき、手続きを済ませる。
(よっしゃ、いっちょ頑張りますか)
次回もよろしくお願いします




