雷が落ちたみたいです
ローズは足元の少し濡れた地面を見つめていた。
「どうです?ローズさん、感覚は掴めましたか?」
「ど、どうって……今の見た?」
「見ましたよ!ちゃんと水が出たじゃないですか!」
「で、出たけど……こう、もっとドワッと来るのを期待しちゃうじゃない...?」
「まあ成功はしましたし、感覚も掴めそうじゃないですか?ローズさんなら大丈夫ですよ」
「やれるだけやってみるよ。こんな機会はそうそう無いからね」
そう言うとローズは持ってきていたバッグから数冊の本と、液体の入ったビンを取り出した。
「とりあえず今の魔力の感覚を忘れないうちに、この子たちで色々試行錯誤してみるよ。少し時間がかかるかもしれないけど、大丈夫かい?」
「大丈夫ですよ。僕もこっちで試したいことがあるので」
二人はそれぞれ作業に取りかかった。
狭霧はローズから少し離れた場所に移動する。
(昨日教わった精励スキル……一つどうしても気になることがあるから試してみるか)
狭霧はスキル【真剣創生】を発動し、剣を作り出した。
そして、ガレスに教わった剣術の型を一通りなぞってみる。
(やっぱり、最初に習ったときより剣の馴染みが違うな……よし、本題はここからだ)
そう呟くと、自身に【エディッタ】を使用し、【剣術】スキルを消去した。
(さて、どうなる……?)
上段に剣を構え、真っ直ぐに振り下ろす。
(……お?さっきより腕が動かしにくい。それに剣も少し重いな。よし、ここからが本番だ)
一方その頃、ローズは本を開きながら液体を飲んだり手に浴びせたりしていた。
「さっきの魔力の流れ……確かに今までの属性魔法とは違うんだよね」
体全体に巡る魔力を手へと集中させる。
「……こんな感じかな」
液体を纏った手に魔力を込めてみるが、何も起きない。
「ん~、じゃあ詠唱を……。【天より出水せし流動、大地より生起せし流動、集え――水刃】!】
草原には心地よい風が吹き、遠くからは鈍い剣の音が聞こえてくる。
「……くそ、何も起きないか。もっと色々試さないと……」
それから数時間後。
(よし、一通りガレスさんに教わったことはできた。確認してみよう)
狭霧は自身のスキルを確認する。
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富士狭霧
スキル
・エディッタ
・シンクガイド
・ローネリア語
・ローネリア書体
・次元収納
・空間認識阻害
・思念操作
・武神:剣術
・真剣創生
・剣術(NEW)
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(おお、やっぱり戻ってる!昨日より剣の馴染みも早かったし……これは体が覚えてる感じだな。魔法は分からないけど、熟練者になれば今後戦闘スキルを消しても油断はできないな)
狭霧は剣を地面に突き刺し、一息ついた。
その時、背後から声が響く。
「お!おお!この感じ来るぞ!狭霧!」
振り返ると、ローズが片手をこちらに向けていた。
「今、手に集めた魔力がムズムズしているんだよ!見ててくれ!」
直後、曇り空から雨粒が落ち始める。
「来る!」
ピカン――雲が光ると同時に、ローズの体へ雷が落ちた。
「「あ...」」
手を前に突き出したまま、ローズは倒れ込む。
その瞬間、彼女の手から天へ向かって激しい滝のような水流が放たれた。
―――ローズは【水魔法】より高位の【激流魔法】を習得したのだった。
次回もよろしくお願いします




