表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/65

すまんなゴブロウ

歩き始めてしばらくすると、視界いっぱいに鬱蒼とした木々が広がる森へとたどり着いた。

昼間なのに森の中は薄暗く、木漏れ日がまだら模様を作っている。


「ん~...?こっちであってるかなぁ...なんか怪しい森に来ちゃったけど、引き返すのもなぁ...」


しばし立ち止まって悩んだ末、森の中へ進むことを決意。

重く感じる足を無理やり前へと引っ張り、探索を開始する。


「GYAAAAURRR!!」

「GYAAAUUUAAA!」


耳障りな咆哮が森の奥から響く。

目を向けると、そこには二体の小柄な緑色の影――ゲームでよく見るゴブリンだ。


「おいおい、あれはまさかゲームとかに出てくるゴブリンってやつじゃないか!」


ゴブリンたちは獲物を見つけたとばかりに、ぎらついた目でこちらへ突進してくる。


「どうする?あの目つきはやばそうな感じだぞ...とりあえず逃げるしか――」


慌てて後ろを向いた瞬間、足元の石に躓き、派手に転倒してしまう。


「え、俺これ、いきなり死ぬパターン?」


ゴブリンが勝ち誇ったように、粗削りの木のこん棒を振りかざす――

が、振り下ろされた瞬間。


「うぅわぁぁ...痛っ?いっ...痛くない?あれ?」


「GRAAAA!!...GYAAA??」


ゴブリンたちは困惑しつつも、なおこん棒を振るい続ける。

そのとき狭霧は思い出した。

――最初に、防御とHPだけ異常に上げていたことを。


「そういえば、ステータスで防御とHPだけ異常にしたんだっけ。てかうざいわそのこん棒」


右手を軽く振り払うと、その勢いで横にいたゴブリンの顔をビンタ。

クリーンヒットしたゴブリンは数メートル吹っ飛び、木に激突して動かなくなる。


「GUUAUAUAUAAUAUA」


残ったもう一体は、相棒の突然の吹っ飛びに目を丸くしている。


「うぉ!結構飛んだな...やっぱゴブリンって弱いんだ。よかった…」


安堵しつつ、ふとスキルの説明を思い出す。

――《エディッタ》はあらゆるステータスを可視化できる。


「ってことは、目の前のゴブリンのステータスも見れるのか?」


目の前のゴブリンに向かって「エディッタ」と念じるとそれは現れた。


----------------------------------------------------------

名前:ゴブロウ

レベル:2/10

HP:9/9

MP:2/2

力:3(+2)

防御:3

速さ:2

知性:2

器用さ:3

運:1


状態:混乱


武器:こん棒(力+2)


スキル

・こん棒術

 こん棒での上達速度アップ

・ゴブ語(固有)

 ゴブリン語が理解できる


編集


----------------------------------------------------------


「おぉ、見れた! …ゴブ語? 俺が覚えたら“ギャーギャー”言うのか? …いや、傍から見たら完全に危ないやつじゃん」


混乱状態だし、せっかくだから編集を試してみることにする。


「こんなのでいいかなぁ、完了っと」


----------------------------------------------------------

名前:ゴブロウ

レベル:1/1

HP:3/3

MP:10/10

力:1(+0)

防御:1

速さ:1

知性:1

器用さ:1

運:1


状態:病気(風邪・右腕骨折)

   


スキル

・ゴブ語(固有)

 ゴブリン語が理解できる

・あほ

 知性が著しく低下

・火魔法

 火の魔法を扱うことが可能


編集


----------------------------------------------------------


完了ボタンを押すと、ゴブリンの体が淡く光り、すぐに収まる。

同時に、握っていたこん棒が粉々に砕け散った。


「なるほど、ステータスは0にはできないけど、武器は0にすると壊れるのか」


ゴブリンは壊れたこん棒を気にも留めず、咳き込みながら腕を押さえ、地面をのたうつ。

見ているこっちが少し罪悪感を覚える。


「うげぇ...我ながらえげつないことをしてしまったなぁ...」


「GYA...GYAU...GYAUAUA!」


突然、ゴブリンの体が炎に包まれ、そのまま息絶えた。


「ん?もしやふざけて入れた【あほ】スキルのせいで何もわからず火魔法を発動したのか?

まさかあんな言葉でもスキルとして認識されるとは...ほんとに何でもありだなこれ...すまんな、ゴブロウ...君のおかげで俺は一歩成長できたよ...」


こうして狭霧は、再び森の奥へ歩みを進めるのだった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ