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まだ諦めてなかったようです

ローズ家での暮らしが始まってから、数週間が経った。

ある朝――まだ太陽が顔を出し始めた頃、狭霧はベッドから起き上がり、眠気を残したままリビングへ向かう。


リビングでは、すでに起きていたルシアが心配そうな表情でこちらに駆け寄ってきた。


「サギリさん、最近お母さんの様子が変なのです。朝起きた時と寝る前に、呪文のような言葉を唱えていて…」


「呪文?どんなの?」


「毎回一度だけなんですけど、『ジゲンシュウノウ』って唱えて…それから落ち込んでいるみたいで…」


(……まだ欲しがってんのかい)


「――ああ、それなら大丈夫だと思うよ。前に新しい魔法を覚えたいって言ってたし、その練習じゃないかな」


「そうなんですね!よかったぁ……。また、何か変な呪いにでもかかったのかと思っちゃって」


「大丈夫、大丈夫。仮にかかっても、すぐ治せるから」


「ありがとうございます!サギリさんがいてくだされば、何も怖くないですね!」


(いやぁ、そんなこと……あるか。……にしても今日のルシアちゃんも可愛い……)


そんなことを考えながら、狭霧はルシアが用意してくれた朝食の席についた。

ちょうどその時、廊下からローズが姿を現す。


「お、今日も早起きだね。ところであんた、今日空いてるかい?」


そう言ってローズは狭霧の隣に座ろうとする。狭霧は慌ててテーブルの反対側へ移ったが、ローズも同じように席を移動してきた。


(……この人、逃がしてくれないぞ)


「今日はギルドに行って、何かクエストでも受けようかと思ってたんですけど」


「私と一緒に騎士団へ来てもらえないかい?」


「騎士団? ……俺、何かやらかしました?」


「例の“謎の剣士”について騎士団長と話をすることになってね。つい“知ってる”って言っちゃったのよ。……まぁ色々あってね。だから行くときは、あの格好しといてね」


「はぁ...わかりました。」


こうして今日もまた、狭霧の新しい一日が幕を開けるのだった。

次回もよろしくお願いします


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