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口を滑らしてしまいました

お城を出ると、正面奥の門のあたりではすでに激しい戦闘が繰り広げられていた。

冒険者と騎士たちが剣を交え、モンスターの雄叫びが混ざり合って響く。空を見上げれば、コウモリに似た巨大な魔物が旋回し、時折、地上へと急降下している。


「私は一度魔術師たちに指示を出してくる。あんたは先に門の方に行ってあのモンスター達を蹴散らしててくれ。私の呪いを解いた君なら簡単だろ?」


ローズの声は淡々としていたが、口元にはどこか楽しげな笑みが浮かんでいた。


「......いかないと駄目ですか...?」

「そもそも君は冒険者だからな、行かなければそれはそれで問題だぞ? ニコニコ」

彼女はにこりと笑い、わざとらしく肩をすくめる。

「はぁ、わかりましたよ。行けばいいんでしょ...でも、俺弱いんで... うるうる」

「そんな目をしても無駄だよ。そもそも先程の作業はうちの騎士団の連中ですらクタクタになるくらいにはコキ使ったのに、あんたはまるで疲れてなかったじゃないか」


(……なるほど。やたらと荷物を運ばされたり、走らされたりしたのは、そのためか。そしてローズさんがニヤニヤしていた理由も...)


「で、でもですよ、俺モンスターを倒せるようなスキルは()()持って無いんですよ?」

「ほう、自分のスキルを把握しているのかい、それにまだとは、いずれ何らかの形で身に付くのかい? ニコニコ」


(しまった……完全に口が滑った!)


「え、えええ、ええっと何をおっしゃってるのか理解できかねます」

「ふん、まぁ今はいいとして。――魔術師団が現場に到着するまでに、魔物たちを五割以上は片づけておくように。これも指名依頼の一部とする」

「依頼ってお願いですよね?そもそも人探しとはかん――」

「ん?何か言ったかい?人探しってもこれ片づけないとできないでしょ。 ニコニコ」

「分かりました。やっちゃえばいいんでしょ、やっちゃえば。いっそのこともう派手にやっちゃうもんね。だた一つ条件として俺の事やスキル等は他言無用でお願いしますよ?」

「うーむ、仕方ない。分かった、しかし派手にやるのならどのみち目立つのでは?」

「そこは、スキルでちょちょいと変装してやりますので...」

「なんと、変装までできるのか?!そんなスキルは聞いたこともないぞ。是非ともそのスキルについてだな――」

「そのへんは今の騒動が収まったら話しますね...」

「それは、非常に楽しみだな。では早速私も行動しなくてはな」


ローズは軽やかにステップを踏み、訓練所のほうへと向かっていった。


(はぁ...じゃあ俺も、スキルの準備をしながら行くかぁ)


狭霧はエディッタを開き、手早くスキルを調整する。


(とりあえず、これでいいかな。)

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富士狭霧


スキル

・エディッタ

  あらゆる物のステータス可視化、ステータス・スキル・状態の編集が可能 

  このスキルは編集不可能

・シンクガイド

  設定した目的へと案内してくれる

・ローネリア語

  ローネリア世界での標準語

・ローネリア書体

  ローネリア世界での文字を理解する

・次元収納

  別の空間に収納できる。

・空間認識阻害(NEW)

  スキル使用者を中心に指定した対象物又は距離の空間内にいる物全てに視覚の阻害をする

・思念操作 (NEW)

  スキル発動後の効果も思念による操作を可能とする  

・武神:剣術 (NEW)

  剣神の如き剣術を心得る。剣使用時ステータスに大幅な倍率効果

・真剣創生 (NEW)

  MPを使用することで真剣を作成する。使用するMPにより剣の精度が変動する

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門の付近までくると前方から見覚えのあるシルエットが走ってくるのが見えた。

「ぎゃーーーぁぁぁ!た、助けてくださああぁい」


その青年はゴブリンよりも一回りも二回りも大きい鬼のような魔物に追いかけられていた。

さらにその後方から、牙を剥き出しにしたハイエナ型の小型魔物が数体。

上空では、大きなコウモリ型の魔物が旋回しながら急降下の機会をうかがっている。


(ん? あれ、ベルシュじゃないか? またモンスターに追われてるのか……まあいい。ちょうどスキルの試運転にはもってこいじゃん!)


狭霧は「空間認識阻害」を起動。半径一キロの範囲で、自分の姿が“侍”に見えるよう設定する。

続けてMPを半分使用し「真剣創生」を発動――空間が歪み、その裂け目から刀の柄が現れた。柄を引き抜くと、真白に輝く刀身が姿を現す。


(おお、かっくいぃぃ!しかもこの刀、握っただけで力が湧いてくるぞ!)


刀を完全に引き抜くと同時に、「武神:剣術」が発動。体が軽くなり、感覚が研ぎ澄まされていく。


「そこの剣士のかたぁ!すいませんがお助けくださああぁい!!」


ベルシュは侍を見た瞬間、躊躇なく狭霧の背に隠れる。


(はぁ、この逃げ術は相変わらずだなぁ...っといっちょ斬ってみますか!)


中段に構えた瞬間、鬼型の魔物が地面を踏み砕く勢いで迫る。

視界が一瞬ぶれた――気づけば狭霧は魔物の背後に立ち、刀を振り抜いていた。

次の瞬間、鬼の巨体が崩れ落ち、肉片が地面に散らばる。


だが終わらない。背後からはハイエナ型の魔物が一斉に飛びかかる。

狭霧は半歩踏み込み、刃を横薙ぎに払った。四体の魔物がその場で吹き飛び、砂煙が舞う。

上空から影が落ちた――コウモリ型の魔物だ。鋭い爪が振り下ろされる直前、狭霧は上段から斬り上げ、翼ごと切り裂く。


(えっ?今、俺が斬ったのか?体が勝手に動いたかと思えば一瞬で二十メートルは飛んだぞ?!)


「えっ?剣士さん...今何をしたんです...か?」

ベルシュが困惑と驚きの入り混じった表情で問いかける。


(ここはクールに決めとくか)


「斬っただけだが?」


この瞬間トルマリン王国最強の「剣士(サムライ)」が誕生した。


次回もよろしくお願いします

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