あの笑顔が怖いです
ローズ大魔法事件の次の日
(昨日は丸一日様子を見ていたけど、外はあまり騒がしくなさそうだし、そろそろギルドに行ってみるか)
宿に引きこもり外の様子を窺っていたが、お城の壁が破壊された事件以外は目立った動きはなかったようなのでギルドへ向かった。
(さて、本日のクエストでも探して見てみますか)
受付横の小さな掲示板を眺めていると、受付の女性に声をかけられた。
「あっ、サギリさん、ちょっといいですか?」
「まさか...昨日誰か俺のこと尋ねに来ちゃいましたか...」
「ええ、夕過ぎに王宮魔術師団長が来られたみたいで昨日クエストを受けた人についての情報とその方に指名依頼をされていきましたがサギリさんが秘密でと言われていましたので一応何も言ってないみたいでしたが...」
「指名依頼...ですか。それ断っといてくださいよぉ」
「内容も聞かずに断るんですか?昨日対応したのはギルドマスターなので、断るなら彼に直接言ってくださいね」
「ええぇ...じゃぁ、一応ね?一応だけ内容聞きますけど、受けませんからね」
女性スタッフに案内され、ギルド奥の小部屋に通された。
「こちらで少々お待ちください。今、ギルドマスターを呼んできますので」
女性スタッフはそう言って部屋を出た。少しすると、ドアをノックして年老いた男性が入ってきた。
「こんにちわ。君がサギリ君だね。私はここのギルドマスターをしている、チェリックと言います。」
「指名依頼お断りします」
「まずは、一昨日に君が受けたクエストなんだが」
(こいつ人の話をスルーしやがったな。)
「うちの者が確認したら無事クエストはしっかりと達成していたみたいなのでまずはその報酬を渡すね」
そう言いながら、机の上にクラウンの入った小袋を置いた。
「見た感じ報酬金額が多すぎるようですが...」
「うむ、昨日訪ねに来た団長さんにまだ報酬を渡していないと伝えたら内容とは違う形で達成されたと言われ追加の報酬を渡してくれと言われ渡されたのがそれだよ」
袋の中には白金貨が10枚ほど見えた。
「え?!これ間違いじゃないですか?しかもこれを受け取ると指名依頼を断れなさそうな...」
「ご名答、その中身の一部は指名依頼の前金も含まれているみたいだよ」
(おいおい、後だし発言やめろよ。このヤロォ...)
「繰り返しますが指名依頼は...」
「そうそう指名依頼の内容だが」
「聞きたくないんですが」
「なにやら、人探しを手伝ってほしいみたいで」
「あのぉ、聞いてます?ちょっとぉ...?」
チェリックはサギリの言葉を無視して淡々と話を続けていく。
「今回の団長に呪いをかけた人を一緒に探してほしいみたいで」
「あの人団長だったの?!」
「君が来たら連絡をしてほしいって言ったから、さっきここに来る前に連絡をしておいたよ」
「は?今なんと?連絡をした?団長来ちゃうの?ここに?」
その話を聞いた瞬間、反射的に部屋から逃げようとしたのだがチェリックに腕を掴まれ止められてしまった。
「おっと、トイレですか?サギリ君の後ろの扉がトイレですよ。 ニコニコ」
(このジジィ見かけによらず俊敏で力強すぎんだろ...)
「あ、あれれぇ、お腹の痛みが突然治まりました...」
「それはよかったです。 ニコニコ」
(またステータス強化が必要かもな...)
監視されること数十分、扉がノックされて彼女が現れた。
「またせたな、チェリック、と恩人のあんた、てっきり逃げたかと思ったよ。」
彼女はそう言い、狭霧の正面に座った。
「改めて、私は王国魔術師団長のローズと言う。で、あんたの名前を聞きたいのだがまた秘密かな? ニコニコ」
(さっきからこの部屋にいる人は全然目が笑ってないんだが...)
「お、俺は狭霧って言います。どうぞよろしく」
「いやぁ、サギリ君は話せばすぐ大人しく待っててくれましたよ。ね?サギリ君 ニコニコ」
(その顔をこっち向けんな、くそジジィ...)
チェリックを睨みつけているとローズが話し始めた。
「で、早速本題なのだがサギリが解いてくれた呪いについてなのだが、あの呪いはほかの呪いよりも非常に強く私の光魔法ですらまったく歯が立たなくてね、あの一瞬で呪いを解いた君なら何か手がかりが掴めるのではと思い是非とも私と一緒に術者を探してほしいと思ってね。因みに呪いを解いた君も犯人じゃないかって疑われているからその監視も兼ねてね ニコニコ」
(あ、これ断ったら犯人扱いされて捕まるじゃん,,,)
「え、ええ、是非とも、い、一緒にその犯人とやらを、と、とっつかまえやしょうや...」
「そう言ってくれると思っていたよ。てことで早速王宮に行って一仕事しましょうか。」
ほとんど脅しのような誘いに、「はい」としか答えられなかった。
「ありがとうね、チェリック」
「いえいえ、また何かあればこちらも助けてくれればそれで」
「じゃあ、指名依頼の手続きは任せたよ」
「ええ、こちらで承りましたよ」
この瞬間からサギリは完全に逃げられなくなったのであった。
「さぁ、行きましょうか」
「なんで王宮なんですか?」
「ん?ちょっと壁の修復に手伝ってもらおうかなって ニコニコ」
ローズは強引にサギリの腕を掴み、お城へ向かった。




