俺、魔法使いになります!
「魔法かー。」
俺は美咲と魔法について考えていた。
そして、1時間が経過し俺の体は変化していた。
悪いほうに。
「おおおぉぉぉえええぇぇぇぇ!」
俺は絶賛馬車酔い中だった。
「先輩!大丈夫ですか!?」
「今日は何でこんなに車酔いならぬ馬車酔いが激しいんだ?」
俺がそうつぶやくと御者台のほうから声が聞こえてきた。
「今走ってる道は目茶苦茶、道が悪くて起伏が激しいんだ。もう少しで街に着く。それまで耐えてくれ。」
ゼフからはそんなエールが送られてきた。
「きついなー、あらゆる状態異常を完治できる魔法でもできないかな?」
俺がそんなことをつぶやいた瞬間、頭の中にとある言葉が急に思い浮かんだ。
「ヒール」
「?何ですか先輩、急に。」
俺が思い浮かんだ言葉をつぶやくと右の手がすこし熱くなり光りだした。
「きゃっ!」
美咲が驚いて声をあげた。
だが、俺にはなぜかわかった。
この手のひらを自分に向ければいいことがあるということが。
「おぉ!馬車酔いが治ったぞ!」
「ほんとですか!?」
俺は体から気持ち悪さや、頭痛が消えていることに気が付いた。
体にも異常は無い。だが少し気だるい感覚が体を襲った。
「馬車酔いは治ったみたいだけど少し疲れた気がするな」
「おい…兄ちゃん。お前さん魔法が使えるのか?」
ゼフの質問の意味が理解できなかったから俺はきょとんとしたが、俺はすぐに理解した。
「さっき急に馬車酔いが回復したのは魔法の影響なのか?」
俺は俺の体をペタペタ触っている美咲を眺めてそんなことを言ったゼフに問いかけた。
「あぁたまにいるんだ。魔法に対して適性のある人間がな。だが、たいていの人間はその魔法の力をあまり認識せずに死んでしまうらしい。」
女神は俺に魔法を作り出す能力をくれたがその能力が今のものだとしたらとんでもないチートじゃないか。
俺は再度魔法を作り出す能力を試してみるために言葉を発した。
「武器が欲しいな…」
俺がそうつぶやいた瞬間、俺の頭の中にまた同じように言葉が思い浮かんだ。
「武器生成・モード ブロードソード」
俺がそう唱えた瞬間俺の手の中には一振りの剣が握られていた。
このことで俺の能力の詳細が見えてきた。
俺の能力をまとめると、俺が願ったことが魔法という形で再現されるという能力だった。
「なっ!なんでこんなところにブロードソードが!」
ゼフが驚いている傍らで俺は魔法が使えたことに対する感動がとめどなく溢れていた。
しかし俺はこの能力を使ってあることをしようと同時に思っていた。
「俺の能力は魔力を使って様々なものを作り出すものらしいな。」
俺はこの能力を今いるゼフと美咲、俺の3人の秘密にしようと切り出した。
この能力はかなり強い代わりにいろいろなトラブルを引き寄せてしまう。
まず、お金などは作ることを避けなければならない。お金は社会を回すものであり、どこから来たかもわからないお金を使うのはまずすぎる。
「なぁ、今ブロードソードと言っていたけれどもこれってそんなにすごい武器なのか?」
俺はブロードソードを拾い上げ、軽く振ってみた。
おっ、意外と軽い。
「いや、ブロードソード自体はそこまで高価な代物ではない。だが、安いわけでもない。問題は何もないところから生み出せるということだ。」
俺はゼフの説明を聞きながら、その問題について考えていた。
物自体は大したしたことはないが、もとでなしに物が生み出せるということは金が要らずに物を入手できるということだ。
「金がかからずに剣を作り出すことができるなんてことが国や敵国にばれたら、お前は捕まり殺されるか死ぬまで武器を作り続けることを強制されるぞ。」
ゼフは恐ろしいことを言いながら、俺の出した剣を見ている。
「なるほど、国にばれなければいいんだな?」
「隠し通すことは不可能だ。武器には必ず国の印が押される。これにはそれがないからな、おそらく簡単にばれる。」
俺はゼフに短剣に書いてある国の紋章を見せてもらい俺の出した剣にはマークがないことを確認した。
「このマークがあればとりあえずは大丈夫だが、それでも足が付けば探りを入れられるだろう。」
「分かった。とりあえずこの能力では犯罪になりそうなものを作るのはやめよう」
俺はそういってブロードソードをアイテムボックスにしまった。
ここで俺はふと、美咲が先ほどから黙り込んでいることに気がついいた。
「どうした。さっきから急に静かになって。」
「…先輩」
「おう」
「…なんで」
「?」
「何で先輩ばかりそんないい力を持ってるんですか!なんで私にはそんな力一つもないんですか!」
それは当然のことながら俺が神に頼んで美咲には大した能力を与えないようにしたからだ。
ん?なんでかって?そんなの決まってるじゃないか美咲には死んでほしくないからね。
「そんなことはどうだっていいんだよ。それよりもこの魔法を使って不法じゃないやり方でお金を稼げるにならないと。」
「なんか腑に落ちないですけど仕方ありませんね。お金は大事ですし、こっちの物価事情は分からないのであれだけあっても足りるかどうか…」
俺たちは今後の生活について話し合って色々なことを話し合った。
そしてついに俺たちは街に着いたのだった。
「しかし、俺たちは何でこんなことになってしまったのかねぇ?」
「本当ですよっ!なんで私は何の能力もなく異世界転生してしまったのですかっ!」
「…そこなんですね。」
1年という時を経て帰ってきました!この木村刑事が!というわけで不定期ではありますが、連載を再開させていただきます!本当にすみませんでしたあああああああああああああああああああああああ