女神との絆
俺は、真っ白な場所で目を覚ました。
「ここはどこわたしはだれ?」
ちょっとふざけてみた。
「ここは女神の神殿だ」
俺のおふざけの半分だけ答えてくれた存在が空に飛んでいた。
「お前はラッキーじゃの」
「?」
「ここには運が良くないと来ることができぬのじゃ」
「ほぉ、俺が当たりくじを引いたということはわかった。しかし、お前はなんだ?」
俺は、自分の状況を確認しつつどっからどうみても小学生にしか見えないこのロリッ子は何者なのか尋ねてみた。
「私は女神ディーテこの世界の神じゃ。」
このロり神は超ドヤ顔で何を言っているのだろうか。
「…まぁ、女神の神殿にいるんだから神だってことは知ってるよ。」
「…」
「…」
「…怒ってる?」
「怒ってないよ」
何故、怒ってると思われたのだろうか。
「まぁ、状況理解が早くて助かるのう」
「サラリーマンだったらこのくらいは察せないとブラック企業では生きていけないからな」
俺はそんなくだらないことを言いながらふと疑問に思った。
「そういえば俺は殺人鬼に殺されたハズだけどなんで生きてるの?」
「何を言っておる死んだに決まっているであろう。」
「?」
「おぬしは天国にも地獄にも行けぬのじゃ。」
ロリ神は急にそんなことを言い出した。
「なんで地獄にも天国にも行けないんだよ」
「もっともな質問じゃな。説明してやろう」
ロリ神の説明を要約するとこうだ。
圭司は地球で死んだ。
↓
死んだけどそもそも死ぬ予定じゃなかったから地獄でも天国でも受け入れ準備が全くできていない。
↓
地球に魂を戻そうにも肉体は死んでるから戻せない。
↓
結果:願いを三つかなえてやるから別の世界に行ってくれない?
「…」
「…」
「…ふっざけんな!」
「ひでぶ!」
俺はついロリ神をぶん殴ってしまった。
「おぬし…わらわのこのプリティな顔を殴るとは何事じゃ!不敬なのじゃ!」
「お前俺がどれだけつらい思いして死んだと思ってるんだ?」
そう、俺は殺人鬼に美咲を殺れ俺自身も殺されるという苦痛を味わっているのだ。
それなのにこのロリ神は厄介払いのように俺を別の世界に飛ばそうというのだ。
「八ッ!そういえば美咲は!美咲はどうなった!」
「あぁ、お前とほぼ同時刻に死んだあの娘か。」
ロリ神は気だるそうに告げた。
「あの娘なら天国行きじゃ。少し問題があるみたいじゃがな。」
「!」
「あの娘は死ぬこと自体は確定していた。ただ、少しイレギュラーがあった故かまだ天国へは旅立っておらん」
「そのイレギュラーとは何だ?」
俺はその言葉に少々不安を覚えながら質問をした。
「言われんでもわかるじゃろう。おぬしじゃよ」
「…やはり俺か」
俺は彼女の近くで同じように死んだ。
それゆえか彼女の死に何らかのトラブルを生んでしまったらしい。
「突然話が変わるようで悪いがそろそろ願いと異世界へ行くという覚悟がほしいんじゃが…」
「…異世界へ飛ばされることは確定なんだな。」
気が付いたら異世界へ行くことは確定しており俺に拒否権も存在しないようだ。
「すまないがこればかりはどうすることもできんのじゃ」
「そうか。気にするな」
「そういってもらえると助かる」
ロリ神は申し訳なさそうにうつむいた。
「願いってのはどんな願い事も可能なのか?」
「言ったであろうどんな願いもかなうと。まぁよくある願いを増やせってのはできんがの。」
「わかった。」
俺は願い事を決めるべく様々な過去の記憶の引き出しを探り、何とか二つの願いを決めることができた。
「なぁ、俺のいく世界ってのはどんな世界なんだ?」
「おぉそうじゃったな説明しておこう。まぁ説明する程のものでもないんじゃがの」
説明をまとめるとこうだ
世界の名前はグレンガル
この世界は地球の言葉でいうと『剣と魔法の世界』である。
この世界には剣も攻撃魔法も存在しているが魔王のような存在はいない。
また、魔獣などの危険な生物やそれを討伐する冒険者などの職業も存在する。
「魔法が存在しているなら話は早い」
「そうかの。しかし、あと一つ願いを決めねばならぬぞ」
俺はあと一つの願いを決めるべく思考を張り巡らせているとロリ神からこんな言葉がとんできた。
「おぬしは後悔しておらぬのか?」
「!」
「おぬしは目の前で死んだ人間に対して何も感じぬのか?」
「…」
「おぬし…いやお前は朝倉美咲に会いたいとは思わぬのか?」
「…俺は」
「お前はあの時言われた言葉に対して何か彼女に返事をしたのか!」
ロリ女神は人が変わったかのように激昂していた。
「お前にはあの女に対して言わなければ…伝えなければいけない言葉があるんじゃないのか!」
「!」
「……おぬしはもっと自分の願いに対して貪欲になってもいいんじゃぞ?」
ロリ神の言葉で俺の目は輝きを取り戻した。
「ロリ神…いや女神ディーテ。俺の願いを叶えてくれ。」
「よかろう願いを述べよ。」
ディーテは先ほどの子供っぽい姿でも激昂した姿でもなく本当に神のような姿になっていた。
「俺の一つ目の願いは、俺に自由に魔法を作る能力をくれ。」
俺の一つ目の願いは魔法を自分で好きなように今までにない自分専用の魔法を作れるようにする能力だった。
「承認した。向こうの世界についたら色々試してみるといい。」
「わかった。」
俺はディーテからの簡単な説明を聞き、一つ目の願いは承認された。
「二つ目の願いは、あんたといつでも連絡が取れるようにしてくれ。」
俺は二つ目の願いをディーテに伝えた。
「よかろう。わらわは基本的に暇じゃからの。」
「…神がひまっていいのか?」
「いーのじゃ。わらわは神じゃからの。」
ディーテはない胸を張ってドヤ顔を決めていた。
「まぁ…いい。」
「むっ。」
俺がまじめな話をする顔になったのを見たからかディーテの姿勢と態度がこれまでにないほど変化した。
「三つ目の願いを聞こう。」
ディーテが俺に最後の願いを問う。
「…俺の三つ目の願い。」
俺が最も欲するもの
「…」
これから行く世界がたとえ前とは違う世界だったとしても共に歩んでいきたい人。
俺が唯一、心をゆるし共に笑っていたいと思えた人。
無くしたくなかった人。離れたくなかった人。
その人に俺は再開し話さなければならないことがある!
俺のすべてをささげてでも会いたい人!
「俺の願いは…朝倉美咲を、俺の大切な後輩である朝倉美咲を生き返らせて俺とともにいさせてくれ!」
俺は心の奥から魂の声に乗せて叫んだ。
「よかろう!おぬしの願いすべて聞き届けたり!」
ディーテは両手を空に掲げ、願いを承認した。
「おぬしの大切な人にはすぐ会うことができる。」
「そうか…」
「ん?どうしたのじゃ?」
ディーテは首を傾げ不思議そうな顔をする。
「いやな、記憶とか体はどうなるのかなって」
「あぁ、そこのところは心配ない。おぬしたちの記憶も体の見た目もそのままじゃ。」
「そうかそれは安心した」
俺たちの見た目や記憶が変わっていたりしたらどうすればいいかすこし心配だったのでディーテの説明を聞いて俺は安心した。
「そろそろ、時間じゃ。」
「おうよ。」
俺がディーテに返事をすると女神の神殿にどこからともなく木の扉が出現した。
「この先に美咲がいるのか?」
「まあの。しかし向こうに行く際に強制的に眠ってしまう。そして目が覚めた時おぬしは向こうの世界で第二の生を歩むというわけじゃの。」
ディーテはそういうと俺の前まで歩いてきてこう告げた。
「おぬし達にわらわから餞別をやろう。」
ディーテは右手を俺のへそあたりに置き何か呪文を唱えた。
「何をくれたんだ?」
「文字や言葉を理解することができるようにしたのじゃ。」
ディーテは俺が願わなかった言語理解を授けてくれた。
「おぉ!そうだった!忘れてたよ。向こうでも日本語とは限らないんだもんな。」
「そうじゃ!おぬしは隙がなさそうで変なところが抜けているのぉ。」
「ははは、耳が痛いな」
俺が笑っているとディーテが飛び扉を指さし微笑んでいた。
「そろそろ行ったらどうじゃ。おぬしの大切な人が待っているぞ?」
「そうだな。そろそろ行くか。」
俺は軽い足取りで扉の前まで行き振り返ってディーテを見た。
「行ってくる。」
「気を付けるんじゃぞ。そして、大切な人といつまでも仲良くの。」
ディーテと俺はうなずき合い言葉を交わすと俺は扉のノブに手をかけた。
「お前にはいつでも会えるんだ。またすぐ会いに来る。」
「そうじゃな。また会える日を待っとるぞ。」
俺は背中越しに最後の言葉を交わし扉をあけた。
「またなディーテ」
「またの」
どうも木村刑事です。
前回いただいたアドバイスを参考にして書いてみました。
自分の能力が向上していけばより良い作品が書けると思いますので皆さまからの感想やアドバイスなどたくさん頂けたら嬉しいです。それでは今後とも『異世界ほんわか転生』をよろしくお願いします。