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ブラックスカイ  作者: 魚砂漠
9/11

不幸な男との再会

マリアさんの話方が雑になっています

 ソラ達の部屋を後にしたマリアは自分の宿屋に帰ることもなく夜のフォールの街をゆらゆらと彷徨っていた。


………というか帰る所がない。


 実を言うと彼女、マリアは力はあるが冒険者になったのは最近であり有り金は全部使ってしまい泊まることすらできない状態だったのだ。


「はあ…

 これじゃ私の作戦が台無しじゃあないか。

 せっかく見つからず泊まれると思ったのに…」


 そう、この人力だけはあるのだ。

 彼女からすれば白剣団の全員と同時に相手しても互角かそれ以上の強さで戦えるだろう。


「て言うか、お腹減ったな

 最後の銅貨五枚使おうか…」


と、その時偶然あまりにも偶然…


「おい、調子に乗るなよガキ

 この俺様に逆らうってか」


 通りがかった路地で、大柄の男が、始めたてと言わんばかりの初期装備の冒険者を、追い詰めていた…


……あ、いた……


(これは私の金の足しになるのではないか?

 助ければお礼として少し貰えるかもしれない。

 それに逆に少しやればお金を置いて逃げるかもしれない。)


よし決まり!

すぐに判断して行動する…いや彼女の場合考えるより先に手が出る感じだった。


 それよりも、初期装備の冒険者を追い詰めている大柄の冒険者だ。その大柄の冒険者はソラや他の冒険者達を騙してリーサに襲わせた大柄の冒険者なのだった。

 そんなことはつゆ知らずマリアはその男に向かって呼びかける。


「おい、そこな外道!

 貴様一体何をしているのだ。」

「あ………なんだ?」


 啖呵を切ったマリアそして唖然とする大柄の冒険者、目が合う。


「おーいたいた、マリアさーん?」


 そして唐突に現れるソラ、目が合う。

…え、何ですかこの雰囲気、って言うかなんでソラさんがいるんですか。


 マリアが出て行った後ソラの部屋より


 ソラはうつぶせでベットの上に脱力していた。

 リーサはそんなソラを訝しげにそして様子を見るようにして話しかける。


「お、おい大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ

 今は僕の精神回復で精神的な疲労を回復しているだけだから。

 それよりもうすぐしたらそこし出るからリーサはは部屋にて待機するよーに」

「は、はぁぁ

なぜじゃ、なぜわしを連れて行かんのじゃソラ!」


 ダンッ、リーサは勢いよく立ち上がると同時に部屋の中心にあった小さな机に両手を付いて言った。が、ソラはそんなことには気にせずに適当に返事を返す。


 ふと思い出したようにソラは顔を上げる。

「うーん、そろそろかなー」

 ゆっくりとした動作で部屋の中央に座っているリーサの前に立つ、そしてソラは自分の右手をリーサに見せるように開く。


「お、なんだわしも行くぞさあ連れていーーーーー」


 リーサは立ち上がりながら言ったその言葉は言い終わることはない。床に倒れそうになるリーサの体が突然浮く、それはソラのサイコキネシスによるものだ。


「少し大人しくしてなよ。

 君が行くと話がややこしくなりそうだね。」


 独り言を言うとリーサをベットに運びそのままソラはテレポートによる移動でマリアの前に現れた。


 そして現在に至るのだが…

 もしかして僕出るタイミング間違えたかな…


「お、お前なんでここにいやがる」


 口を開いたのは大柄の冒険者だった。


 彼は本来ソラを含める冒険者達をリーサに食わせてフォールの街へ戻り、今頃は仲間達と宴を楽しんでいる、はずだった。

 だが、彼らの帰り道事故が起こる。

 突然の地鳴り、それにより混乱する馬達、荒れ狂う馬を抑えようと近ずいた仲間の一人が踏み潰された。もう一人が近ずくが二頭の馬を鎮める際、地鳴りによる森の魔獣達の一体に踏み潰された。


そして現在一人無様に逃げ帰ってきたクエストの報酬は冒険者名簿のプレートが必要だった。


だったのだが彼は無様にもそのプレートを魔物に奪はれてしまっていたのだ。


(だから、街にいるやつでよぉ

街にいるやつにたかってるつぅのによぉ

…まあいいあいつからも奪ってやればいい話だからな)


 彼、ガンロウは今日の今襲っている冒険者だけではなく他にも二、三名ほど金を奪い使っていた。仕方のないこと強さで言えばマリアには劣るもののこの街にはそうそういないランクの冒険者だからだ。


 だからガンロウは驚いた、初心者でありながらガンロウすら恐怖する地龍を相手に生還してきたのだから、それに一見して傷がないというのも恐怖を煽るのにはいい材料だった。


「なんでと言われても、

……倒してきたんですよあの地龍、ですけどこっちとしては足がなくなった方のがいたかったですかねなんであの時帰ってしまったのですか?」


 強がり、と相手は思うかもしれないがこの言葉の本質はそこではない。


ガンロウも最初は嘘なのか、強がっているのか、わからなかったがそれの本質に気が付いたとき顔が強張る。


(こいつ…)


 それは戦闘、対人間という種類において相手の内側を探るところから精神の戦い、どちらか先に相手が自分より強いものだと錯覚してしまえば負けなのだ。


「そうかいそいつぁすまねぇな。

こっちも急用ってのを思い出しちまってよ。」

「へぇ、それってクエストよりも大事なものなのかな?」

「あ?ああ、そうだよこれからの生存に関わるかもな。

それでどうなんだよあんたと一緒にいたお仲間さん達は?」


ガンロウはうまく自分の流れに持っていけてるとでも思っているのだろうか、だんだんと言葉に焦りがなくなってきていた。

そんなこともソラの思い通りだと言うというのに…


「離れていてくれソラ

そこの男はさっき弱き冒険者から金強奪しようとしていたのだ。

それに君は知り合いのようだがここは私に任せてほしいんだ。」


 つまりマリアはいきなりはいってきて自分の相手を取らないでほしいと言うことだ。それにこの展開、マリアが口を挟んだことでソラが不利になる。何故か、マリアにガンロウの相手を任せること、それは見方を変えればソラがガンロウから逃げることになるのだ。

 そうなればこの勝負はソラの負けになってしまう。


 ガンロウがこの好機を逃すことはないさらなる追い討ちを仕掛ける。


「だそうだ、おまえは邪魔なようだぞ。

 それにそこの女が言った通りおまえは勝手に入って来て勝手に俺と話しを進めているだけだしな。」


ガンロウはマリアの話に乗りなおかつ相手が否定できないよう話に隙を作らない。かと言ってソラは無理に否定をすればソラに隙ができてしまう。ここでソラが肯定すればソラは逃げる事になり否定すれば隙が生まれる。予測不可能なことさえ起こらなければ…


「そんなところでいいじゃないですかソラの兄貴。」


 予想外も予想外その声の主は見えないがガンロウは忘れることのない声だ。つまりは死んだ筈の仲間の一人、ロンと呼ばれた男の声だった。


「何⁉︎

 ロンなのか?おまえ生きていたのか⁉︎」

「ええ、まあ、ソラの兄貴に助けてもらわなければ今頃魔物の餌ですよ。

……仲間を俺たちを見捨てたあんたのせいでね!」

「な、何を言ってる、あれは仕方がなかった!あの方のため俺は死ねなかった!

 だが、おまえなんでそんなガキに着いたんだ?助けたからってだけでおまえがあの方に使える俺やアイツを敵に回すとは思えねぇぞ!」


 あの方?アイツ?

 コイツら理由もなく初級者を狙って狩をしていたわけじゃないのか?

 ソラの能力である思考解読と言う超能力は触った者にしか効果を出さない。それに最も人間が秘密にしているところまでは解読できない。そして死者に能力は発動しない。


 そう、このロウと言う人間、ガンロウは死んだところを目撃した。死者蘇生なんてものじゃない、ただ死体を操っているのだ。

 そう、今ソラはガンロウ達のことをあまり知らないと言うことだ。だからソラはロウと言う切り札を導入したのだ。


「ハッ、そう!そうですとも!裏切ってやりますとも!あんたもあの方も!………」

ズサ、そこまで言うとロウが倒れた、まるで人形のように…

「………?

………………………………………ッ⁉︎」


 それはソラが死体操作を解除した途端だった。そしてガンロウもきずいた。ロウの仲間の死体が操られていること、それを見てソラが笑っていることそこに猛烈な怒りが湧き上がるのをガンロウは押さえつけるのが出来なかった。


「おまえぇぇぇぇぇぇぇ!」

「ソラ!下がって!」


 ガンロウが叫びながらソラに向かう。拳を握り自分に巡る魔力を拳に集めソラを殴る。対するソラは悠々とした表情で両手をポケットに入れたまま棒立ちのままだった。

 グゴシャァと頬を殴られ顎がずれて頭の中が震え赤黒い液体が口から吐き出される。

 が、それだけだった。倒れてのたうち回るでもなく、頬を抑え涙目になって相手を睨むのでもない。ソラは平然と同じようにポケットに手を入れて気だるそうな目でガンロウを見ていた。そのうち口からペッと血の塊を吐き出すとガンロウに挑発をかける。


「これだけか?君が僕が君に与えた怒りはこんなものかい?」

「な、いいやまだだ、おまえを殺すまで辞めねぇぞぉぉぉぉ!」


 再びガンロウが拳を握りソラに殴りかかる。傍にマリアが剣をつかむのを見るがソラには要らない心配だ。

結果はすぐに訪れる。グゴシャァと肉の潰れる音がこだまする。

 ……立っていたのはソラだけだ。それにガンロウからの返り血が不自然に宙に浮いているのだ。それに膝魔ついているガンロウの右手は不自然に曲がり、何が起きたか理解できずにいるようだった。そもそもガンロウが殴ったのはソラだったのかわからない。


「僕の周りにバリアを張った。そのバリアに衝撃反転を付与し、君の拳を受けた。

 どうしたんだい?君は僕を殺すまで殴るんだろう?

 だけど僕もサンドバックになってあげるわけじゃないよ?でも君がまだやるなら僕は何度だってこれをするし、君は何度だってこれを受けることになるよ?」


 ガンロウは目の前のこの男を改めて認識する。

 ああ、コイツは俺の獲物じゃない、俺がコイツの獲物だったんだ。ガンロウの顔は青ざめその意識すら投げ出しす。


ーーーーーー

ーーーーー

ーーーー


 沈黙。

 ソラはその沈黙をもろともしない。

 気絶したガンロウの懐に手を入れて小汚い袋を取り出す。それは手のひらに乗るくらいだが、多少の重さはあるようだ。

 それをマリアに投げる。


「これだろ

僕はこいつの金目当てでもないしマリアさんにあげるよ。

それと、僕と話をしないかい?してくれるなら僕たちの宿に泊まっていいしいい考えだと思うんだけどね。」


マリアは少し悩んだ末にその『いい考え』とやらを了承した

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