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 ゆきが去った後、勇介は公園のベンチでしばらく空を眺め続けていた。クリスマスまで一週間を切った今日、勇介はゆきに振られた。その割に落ち着いて見えるのは彼の経験の豊富さ故だろう。

 経験豊富と言っても彼の場合は、恋愛経験というよりは失恋経験だ。勇介の容姿はクラスで三番目と評される程なので、告白される事は多い。しかし、彼に告白した女子は何故か二週間と経たない内に彼に別れを告げる。勇介自身も既にその事に慣れてしまっていた。


「またシングルベルか…」


 ベンチの背もたれに全身を預け、目を瞑る。思い返されるのはゆきと過ごした一週間。普通の女子に振られることには慣れている勇介であったが、彼女との一週間は今までの彼女とは少しだけ違った。最後まで楽しそうにしてくれていたのだ。

 大概の女子は四日もすれば彼の反応の薄さに飽きてきてか、段々と一緒にいる時間も短くなっていく。デート中でさえ携帯をいじったりしだす始末。そんな果てに振られるのだからある程度覚悟はできてしまっている。

 何なら後何日持つか、なんてゲーム感覚の時さえあった。だがそれだけに、ゆきの態度は勇介に淡い期待を抱かせた。


「ちょっと期待した分、辛いな……」


 そう言って上体を勢いよく起こすと頬が濡れていることに気付く。先程まで公園で遊んでいた子供の嬌声や、散歩していた老人の声もいつの間にか聞こえなくなっていた。


「今日雪じゃなかったのかよ……」


 公園で独り、こんな風にしている自分は周囲からどのように見られるのだろう、と益体無い事を考えながら、また空を見上げる。雲はどんどん厚くなっており、雨も強さを増していく。

 鞄を頭の上にかざし、時折時計を気にしながら足早に通り過ぎていくサラリーマン。「きゃー」だとか「ありえなーい」などと騒ぎながら楽しそうに駆けていく女子高生。

 色々な人が雨を避けようと彼の前を急いで通り過ぎていく。そんな彼らを見送りつつ、勇介はこのまま雨に打たれていたいとさえ思っていた。

 この雨の一粒一粒が自身の辛い気持ちを穿ってくれるのではないかと期待していたのだが、彼は惨めさを増していくだけだった。

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