わたしって昔と変わったの?
わたしは興味はなかったがせっかくなので風景のスケッチをすることにした。いま来ている公園は山間にあるため池のほとりにあって、様々な樹木が生い茂り遊戯施設もいろいろと置かれていた。そうしたなかわたしはため池にかかる鉄製の太鼓橋をスケッチした。
小一時間して完成したけど千尋が意外な事をいいだした。あなたってそんなに絵がうまかったの? と。
「詩織、あなた小五の写生大会の事を思い出さない? あなた確か動物園の鹿の絵を描いたのに幼稚園児がかいたように先生からからかわれて、まるでネコを描いたようにしかみえないと、からかわれていたじゃないの。
なのに詩織の描いた太鼓橋、まるで写真のように正確だし陰影もよくできているわ。あなた中学の間努力したの?」
「千尋、わたしってそんなに絵が下手だったの? 自慢じゃないけどわたし事故より前の記憶が抜けているのよ。でも、そんなに変わっているというの?」
そういうと千尋はわたしの前に立ってちょっとした事をはじめた。わたしの胸を揉み始めた!
「そうねえ、詩織とは中一の時に引っ越したので別の中学校に行ったからわからないけど、その時よりも胸が大きいし美人に成長したと思うよ。でも、基本的には変わっていないわよ。あなたの人懐っこい表情とその雰囲気は。それにこんな風に揉んでも怒らないし」
わたしはうろ覚えであるけど小学校の時に千尋に同じような事をされたような記憶があった。でも、それは幻のようにしか思い出せなかった。そう、ほかの記憶と同じように不鮮明だった。
「そうねえ、でも千尋あまり人の胸を揉むのは良くないと思うよ。たしかにわたしって知らないうちにかわったのかな? あの日ダンプに轢かれてから。まあ、うちのおばあちゃんには生まれ変わった気持ちで高校受験を頑張れなんていわれたけど、本当に生まれ変わったのかしらん?」
「生まれ変わったなんて大げさよ。そうそう、この公園の奥のエリアに行ってみない? 綺麗に整備されたジャングルエリアがあるというから。もうちょっとで集合だけど見るだけだから」
千尋に誘われそこに向かったが、あいにくそこには工事中の札がたてかけていた。わたしたちは作業員がいないから大丈夫と思って入ったが、そこから先にはわたしの運命を変える恐ろしいものがうごめいていたとは考えていなかった。




