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ほかのみんなは?

 「マリーさん。ほかのメンバーはどうされているのですか?」貴子はコーヒーカップをいじりながらいっていた。こうして機械化された身体を捨て、ほぼ生身の身体を手に入れたことがうれしくってたまらなかった。


 それに戦場で殺される心配もないのもうれしかった。しかし、それにも暗雲が近づいてきていたけど。マリーさんの話は深刻な内容だったから。


 「ええ、あなたよりも先に地球人化した二人だけど、一人は自殺した女の子を再生して、もう一人は殺害されたのを再生したのよ。

 まあオリジナルは完全に消滅していたからありがたかったけど、あなたの場合は病死だったのよね? 脳組織が完全に腫瘍化していたから。その分オリジナルの人格が呼び出せなかったから結構苦労したのよ。再構成するのに」


 「その際はお世話になりました。でも、だからと言って半年も教えてくれないなんてあんまりじゃないのよ! 教えてもらったときの驚きと言ったら・・・・でも、なんで呼び出したの? 一生忘れさせてくれたってよかったのに」


 「それはねえ、困った問題が起きたのよ。このティルスのイボン、いえ地球の日本というのよねここは。この星って中立緩衝ゾーンの中にある保護星だっだわね。アギュラッシュ戦時協定で文化的社会的干渉を一切禁止されているじゃないの。

 しかしこの星の住民は核融合兵器を開発運用しているということなのよ。知っているでしょ、あの協定の内容を貴子さん?」


 「ええ、確か核融合技術を保持し生存している星の引力圏を脱出できる技術を得た文明は、場合によっては侵略の対象にしてもいいというものでしょ。あっ、まさか?」


 貴子は素体の貴子の知識から、不完全なものではあるが、その双方の技術を地球が持っていることに気が付いた。


 「そうなのよ。でも幸いにして核融合は破壊にしか使えず、地球の衛星から遠くには有人飛行できない状態だから問題ないはずだったけど、先にこの星に亡命した人に偶然お会いしたのよ。

 その人のお話では、我々の軍と敵対していた勢力が侵略の機会をうかがっているということなのよ。しかも、この星の文明にあり得ない手段を使って。

 そうなると分かるでしょ?」


 「はい、それを理由にアギュラッシュ戦時協定の適用を解除し・・・地球が侵略されるという事ですよね」


 「そうよ、そうなると私たちが脱走兵であることがばれて、悪くすれば消滅刑でしょうね」


 「そんなの嫌よ。せっかく戦う必要はなくなったというのに・・・でも、やっぱり阻止するには私たちも戦わないといけないかもしれないってことよね」


 「だから、あの子が必要なのよ。高橋詩織さんが!」


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