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龍が混乱し、パニックになりそうな顔をしているのを見て、
柳白が
「この者、どうしますか?……」
そばにいる孔遊に尋ねた。
孔遊は腕組みをし、龍のことを見詰めながら
「そうですね~ 親方さまは都の焔火【えんか】に
出向かわれているし…… この者をこのまま、
ここに放置したら、また奴らに
教われるだろうし……」
困った。
困った様子の孔遊を察し、
「……なら、我らの砦に一先ず、連れて帰りますか?」
柳白は孔遊にそう言った。
「そうだな…… それが一番、良いかもしれん……」
孔遊は柳白の意見を聞き入れ、龍を自分らが守る
砦に連れて帰ることにした。
孔遊らが守る砦はこの異世界【龍炎国】の都【焔火】から
北西にある小さな砦だった。
この砦は北方の蛮族・黒龍党から龍炎国を守る小さいながら、
重要な砦なのだ。
この砦を守るのが孔遊らの頭【かしら】の
劉儀【りゅうぎ】だった。
だが、その劉儀は都の焔火で行われている会議に出ていて、
不在でその不在を守るのが劉儀の部下である孔遊らだった。
「ここが我らの砦だ! お頭が帰って、君のことを
どうするかが決まるまではここにいてもらうから……
自分の家だと思って、ゆっくりとするといい!」
孔遊は龍に自分らが守る砦内を簡単に説明した。
龍は簡単な木造の砦を見回し
『自分の家だと思えって……』
と思いながら、驚きを隠せなかった。
龍の素直な表情に孔遊も龍が言いたいことを
薄々感じていた。
しばらく、砦を眺めていた龍は
「あの~…… 一体、ここは何処なのですか?」
自分が抱いている素朴な疑問を孔遊に投げかけた。
孔遊は龍の質問に不思議そうな顔をしたが
「……ここは龍炎国の北の砦・伯濠【はくごう】」
と答えた。
『龍炎国?…… 北の砦?…… 伯濠?……』
やはり聞いたことがない地名に龍はパニックを
起こしそうだった。




