#001: Agreement
女の子と剣と銃とアクションが好きな人向けです。
私はそこで目が覚めた。
体を引き裂かれた激痛、暗い影が迫ってくる恐怖、そして、全てを失う喪失感。今さっきまで感じていたはずのそれらは、目が覚めたときには全て感じられなくなっていた。
夢……?
とても、とても怖い夢だった。
現実には絶対にありえないことばかりで、変な生き物が襲ってきて…………何が何だか分からない夢だった。
それにしてもここは暗い。目を開けているのに何も見えなくて、ただ暗い闇だけが私を包んでいる。
……何だろう、すごく気持ち悪い。
体中をジメジメしたモノがまとわり付いている。きっと気持ち悪いのはこれのせいだ。
そうだ、起きなきゃ。起きて電気を点けて、点けて……。
あれ……布団が重い。これじゃあ起きれないよ…体が、動かないよ……!
ここ何処?私、何処で寝ているの?ここって私の家だよね?誰も居ないの?お母さんもお父さんもお姉ちゃんも、居ないの?
気持ち悪い…嫌だ、こんなとこ、居たくない。早くみんなに会いたい…
きっとこれも夢なんだ。よく分からなかった夢の続きなんだ。だから、早く終わってよこんな夢。早く起きて。早く早く…!
ただそこでじっとしたまま私は私に叱咤を飛ばしていた。その時、
――ほう、肉体は喰われても、魂だけは守り残していたか
誰だか分からない男の人の声が聞こえた。
…誰?
――我が名はアラストル。お前は魔界の者に肉体を喰い尽くされ、残ったお前の魂もこの魔界に飲み込まれたのだ。そして、その魂もまた、闇に喰われようとしている。
何言ってるの?これは夢でしょ?だから私は死んでなんか…
――違う。お前の肉体は既に滅んだ。これも夢想ではない。
嘘。
――事実だ
嘘だ!だって私……
――現世に存在していたお前は、もう死んでいる。
じゃあ、あの夢は…夢じゃなかった…?
途端に寒気がしてきた。
あの時、あの瞬間、溢れかえる血色に染まった私の体。引き千切られ、砕かれ、租借される私の体。鮮やかな血の赤と中から露出した白い骨のコントラスト。
走馬灯のようにあの瞬間が駆け巡る…ううん、きっとこれは走馬灯なんだ。だって私は……
そこまで考えて、今度は寒気とは別のが私を襲った。ただ事実を受け入れたくない我儘な否定。
嫌だ、嫌だヤだヤだ!まだ死にたくなんかない!
――今、我と契約すれば現世へ復活できるが、どうする?
生き、返る?私が?
――そうだ。過去を捨て、我のために働いてもらう。
それで、みんなに会える?
――違う。過去を捨てる、そう言った筈だ
嫌だ…!
――勘違いするな。お前の選択肢は一から生きるか、ここで死ぬか、だ
…………生き、たい…
――契約は終わった。
次の瞬間、私は光に包まれ、意識を無くした。
まだまだ序盤です。感想、ご意見などお待ちしてます。このタイトルどこかで見た聞いた!なんてご意見はご遠慮ください。本人も分かってます……。