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CO 細かい設定の差違には目を瞑ってもらえるといいな。

 エリスは、自分を異世界の人間だと言った。


 最初は半信半疑だったが、いろいろなことを教えられる内にその疑惑も晴れた。


 教えられたのは、特に世界の成り立ちなどについて。


 細かい話を抜きにすると、なんでも人間なんかがいる世界は全部まとめて世界群と呼ばれ、天界とかいうとこで、天使やら神様が管理を行っているらしい。聞いた時には、どこのファンタジーかと笑ってしまった。


 他にも、魔界があるようだ。


 俺の世界を襲った《魔界》ではない。悪魔とかがいる場所だとか。


 ちなみにその天界と魔界、仲が悪いかと思いきや、どうやら最近はそうでもないという話だ。


 なんでも、少し前にあった大規模な戦いで天界と魔界は協力して一つの敵に立ち向かて、それが切っ掛けに、ということらしい。その戦いについては詳しい話は聞けなかった。


 長くなるので、またそのうち、らしい。


 それと、あの《魔界》のことだが、どうやらエリスはなにやら知っているらしい。それについての話もまた今度、ということ。けれど正式な名称が《世界樹》ということだけは教えてもらった。


 《世界樹》ねえ……。


 まあ、それはいい。


 ここからが肝心な話だったのだが……どうやら現在、やばいことが起きているらしい。それも、天界、魔界、世界群の全てを含めて。


 とある世界で発生した生物が、次々に世界を滅ぼしているのだと言う。


 そう……。


 あの獣だ。


 あの獣は《顕現》を可能とする。


 それが群れとなって、次々に世界を侵食するようにして、増加しているらしい。


 確かにそれは、まずいだろうな。


 《顕現》に対抗できるやつなんて、そうはいない。なにせ同じく《顕現》出来ないといけないのだ。


 天界や魔界、神や魔王なんかでも、対抗は出来ないらしい。いつのまにか俺、神様越えたぞ。


 エリスの知り合いが六人、《顕現》可能で、今のところそちらに雑魚の獣は任せているようだ。なお、恋人で彼女達とか言っていたがそこは無視した。リリーの前例があるから別に、な。


 多人数ということには驚いたが、どうやら円満らしいのでいい……のだろうか?


 それでエリスはなにをしているかというと、獣のリーダーを叩いて、事態を収束させるつもりらしい。


 確かに頭を失った獣の群れは脆いだろう。


 でも、そのつもりが、なんと、一度リーダーを目指して獣のテリトリーである世界に飛び込んで、リーダーに届くことすら出来ずに負けて逃げだしたらしい。


 一目で規格外と分かるエリスがやられるなんて、どんだけだよ。



「そこで、貴方の力を借りたいのよ」



 エリスが俺を見る。



「私と同等の《顕現》が出来る貴方が協力してくれれば、それほど心強いことはないわ」

「《顕現》出来るようになったばかりだぞ?」



 エリスと同等、ねえ。


 どうしてだか気が引ける。


 人外と言われたような気分だ。



「《顕現》に期間なんて関係ないわよ」

「ま、そりゃそうかもしれないが」



 要は、どんな自分を信じているか、だからな。



「ぶつかったら、私と貴方の《顕現》なら五分と五分でしょう。勿論そうなったら、負けるつもりはないけれどね」



 なら五分と五分とか言うなよ。



「公正な目線から見た話よ」

「考えを読むな」

「失礼。つい」



 こいつは……。



「にしても、悠希は可愛いわね。羨ましい」



 こいつは……っ!



「無駄話なんてしてる暇はあるのかよ」

「あら、不機嫌にしてしまったかしら?」

「……さあな」



 エリスが笑う。


 ああ、くそ。


 調子が狂う。



「まあ、からかうのはこのくらいにして……臣護。手伝ってくれる?」



 また、エリスが俺に手を差し出してくる。



「……あのな、ここでノーと言えると思うか?」



 世界群の危機。


 俺だって無関係じゃない。


 守りたいものなんて、数えきれない。



「イエスだよ」



 エリスの手を握る。



「ふふっ、いい返事ね。思わず、惚れてしまいそうだったわ」

「そうかい」



 すぐに手を離す。



「あら、つれないわね」

「生憎、お前の連れの嫉妬にあったら、生きてられる自信がない」

「それはそれは……可愛い子達よ?」

「だからなんだ」

「惚気にくらい付き合ってくれてもいいじゃない」

「遠慮するね」



 苦笑して、エリスが翼を羽ばたかせる。



「それじゃあ、行きましょうか?」

「ああ」



 ふと、エリスが思い出したかのように口を開く。



「その前に悠希に挨拶くらいしていったら?」

「すぐに解決すれば問題ない」

「不倫だと思われるかも」



 エリスは悪戯っぽく言う。



「そこまで軽い付き合いじゃない」

「妬けるわね」



 肩を竦めたエリスの真正面に、虹色に歪む空間が現れる。



「行きましょうか」

「ああ」



 その中に踏み入れる。


 さて……面倒くさいことになった。


 しかもこれ、タダ働きだろ?


 やってらんねえなあ。



 そこは、荒廃した大地だった。


 ……おい。


 待ってくれ。


 話と違うぞ。


 この大陸は……緑に溢れるんじゃなかったのか?


 そういう話を聞いたからやってきたのに……。


 いや、荒廃しているだけなら、まだいい。


 話が違う。そう、ちょっと不満に感じる程度で済む。


 だがこれは……普通じゃない。


 荒廃の仕方がまずおかしい。


 俺はそれを、空高くから見たから分かる。


 まるで巨大な爪牙に抉られたかのように、大陸に大量の傷が付いている。


 一つ一つが、街よりも大きい跡だ。


 中には、大陸の端から端まで刻まれて、河のようになったものまである。


 自然な荒廃ではない。


 戦争だとか、そういった人為的なものでも有り得ない。


 俺ならまだしも……俺はもちろんそんなことしていないし、この世界に俺に並ぶ存在がいるとはとても思えない。


 ならば、どういうことだ?


 大地に降りる。


 まるきり、何も存在しない。


 けれど……なにか、そう。


 人の温もりの、残滓を感じた。


 まさか……。


 全身を蟲を這うような感覚。


 まさか……。



「少し前まで、人がいたのか……?」



 けれど今はいない。


 少なくともこの大陸には、一つたりとも命は存在していない。


 つまりそれは……。



「なんだ……」



 声を振り絞る。



「なにが、ここをこんな風にしたんだ!」



 俺のその問いに応えるように。


 俺の頭上から、黒いものが迫ってきた。




というわけでとりあえず三話更新。いえー。

ちなみにCOはクロスオーバーの略。


ああ、そうだ。

感想の最後の一言で出てきて欲しいキャラいたら、感想入れるより先に活動報告とかで指定しといてくれれば出来ますよ。

べ、別に毎回どのキャラ出すか悩んでるからその負担を解消させるためとかじゃ、ないんだからねっ!?

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